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バス釣り(ブラックバス) パワーフィネス スピニング

バス釣り「パワーフィネス」の流派を築いた男たち

望月俊典

望月俊典

2021.03.05

本気のヘビーカバーを、スピニングタックルで臆することなく攻める、パワーフィネス。スピニングタックルを使ったテクニックでは、一端の極致といえるだろう。その流派の分類、成り立ち、特徴を、独断と偏見を交えながら解説していきたい。

まさかの大復活を果たしたカムバックメソッド

まず、最初にお断りしておきたい。このページは、当誌の横沢鉄平さんによる連載「※諸説あります。」のように諸説あるテクニック、例えば「i字系」などのルーツや真相を明らかにしたりするのが目的ではない。今回はそのあたりをあまり深追いせずにそっとしておこう。

さて。まず、パワーフィネスとは何か。その定義ですら揉めそうだが…今回は、「1〜2号以上のPEラインを巻いたスピニングタックルで、ヘビーカバーの奥へ直接撃っていく釣法」ということにしたい。なので、ベテランが言いそうな「大昔、ギド・ヒブドンがナイロンの16ポンドを巻いた大型スピニングリールのタックルで桟橋にスキッピング決めてたよ」とか、「昔、バスメイトでライトフリッピングロッド売ってたぞ、クローズドフェイスリールでやるやつ」とか、「村上晴彦さんが最初にバス釣りのスピニングにPEを導入したのでは?」とかは(それはそれで素晴らしい先見性ではあるが)、今回は該当しない。2000年代前半を起源とするPEラインのカバー撃ち釣法に限定させていただくので、そこはあしからず。

2000年代前半に最初のブームが起きかけたが、いったん収束し、ベイトフィネスブームの影に完全に隠れたと思われたパワーフィネス。しかし、2017年頃に誰もが予想していなかった大復活。しかも、かつてのプチブーム以上に定着した感がある。では、その技術体系の流れを見てみよう。

第一次パワーフィネス興亡期

あまりに尖りすぎて理解されなかったメソッド

おそらく、PEラインを使用したパワーフィネス釣法を最初にメディアで紹介していたのは阿部進吾さんだったように思う(異論はもちろん認めます)。当時からスーパーメジャーレイクだった亀山ダム、その多彩なヘビーカバーに潜むスレたバスを釣るためのテクニックとして考案されたのだ。ベイトロッドであるテムジン・コブラのガイドやリールシートをスピニング仕様に変更したモデルを試作。2004年のJBワールドシリーズで実戦投入され、安定した好成績に貢献した。その改造したコブラを今江さんに認められ(見つかって?)、正式なモデル「スピンコブラ 」として、世に出ることになった。その時にメソッドとともに紹介されたのが、第一次パワーフィネスプチブームのきっかけだっただろう。

しかし、高度な技術が必要とされるせいか、当時そのメソッドを使いこなせていたのは一部のエキスパートだけで、一般アングラーに浸透する前に一旦鎮静化し、その後に登場したベイトフィネスにニッチを奪われたように見えた。

興亡期に属するアングラーたち

阿部進吾
斎藤真也
折金一樹
千藤顕

阿部さんがテムジン・コブラをスピニング仕様に改造したのが、斎藤真也さんだったそうな。2005年の夏には千藤顕さんが某雑誌にて、サイドワインダー・ブームスラングに太いPEラインを巻いて、岸からのヘビーカバー攻略を紹介していた。

阿部進吾の証言

【Profile】
阿部進吾(あべ・しんご)

1972年、秋田県生まれ。シャローのカバーフィッシングを得意とする、パワーフィネスの先駆者。現在も高滝湖でガイド業を営む。ワカサギ釣りも超一流の腕前。

もう昔すぎて記憶が定かではないんですが…

阿部「亀山でカバーを撃っていたんですけど、当時はテキサスとジグくらいしかやることがなくて、カバーの中には間違いなくいるであろうバスが反応しないんですよ。それに対して、普通のスピニングでライトリグを撃ったら食ったんです。でも当然、獲れない。ラインを5lb、8lbとだんだん太くしていくと…スピニングでは扱いづらい。それをPEにしてみたら…おお、イケそうだぞ!と。最初は1号だったんですが、その後、使いやすさと強度の兼ね合いで1.5〜2号くらいに落ち着きました。結節はあればあるほどリスクなんで、リーダーは使わないです。

ラインが強くなった分、並のスピニングロッドだとカバーから出すパワーがない、という問題に直面したんです。当時、ベイトのコブラというロッドが好きで使っていたんですが、それをスピニングに改造したという流れですね。

最初は、近距離パワー型のパワーフィネスだったんですが、そこからちょっと距離をとってキャストで狙うような、今でいう吊るしで狙う釣り方になったり(ラインは0.8号)、近年だと0.6号くらいのPEで、ロッドもL〜MLくらいでカバーギリギリのラインをセコいノーシンカーなんかで撃っています。でも、もうパワーフィネスとはいえないのかな?(笑)」

使用ルアーの変遷

初期のパワーフィネス

当時、3.5gの自作スモラバ+ハンハントレーラーなどを使っていた。実物が残っていない…ということで、今ならアベラバ2.2〜3.5g+アンクルゴビートライデントが最も近いそうだ。

投げるパワーフィネス

虫系ルアーであるアベヤンマをカバーに投げて、今でいう吊るしで使っていた。残念ながらボックスに残っていないそうで…写真は当時使っていた自作の虫。ミニスワンプなどミミズ系も使っていた。

ウルトラパワーフィネス

比較的最近の、0.6号クラスで使うシリーズ。小さなオフセットフックにラバーを巻いて小さいワームをセット。超スローフォールで使っていた。スワンプミニのノーシンカーワッキーもカバーへ投入。

亀山梁山泊派

亀山ダムで切磋琢磨されたPFは世界と戦うことに…

2004〜2005年あたりに勃発した第一次パワーフィネスプチブームは一般アングラーに広く浸透した…とまでは至らず、やがて忘れられていった。しかし、房総リザーバーのエキスパートたちはその有効性に注目し続け、技術やタックルの進化は止まっていなかった。亀山ダムのローカルトーナメントなどでは相変わらずパワーフィネスが活躍していたのである。

しかし、2016年あたりから伊藤巧さんがメディア取材やネット動画などで多用し始め、再びこのハイエンドな技術が注目を集めるようになる。その源流には亀山に集まる凄腕たちの教えがあったのだという。

亀山梁山泊派に属するアングラーたち

斎藤真也
鶴岡克芳
伊藤巧

他にも亀山にはパワーフィネスの使い手はたくさんいた。しかし、全国的にブームを再燃させたのが伊藤巧さん、そして彼にその技術を伝えたルーツが斎藤真也さん、鶴岡克芳さんとなる。

伊藤巧の証言

【Profile】
伊藤巧(いとう・たくみ)
ボートのみならず岸釣りでも釣りまくり、パワーフィネスブームを復活させた張本人。アメリカのトーナメントでも大きな武器にしている。

もう無理…っていうカバーを釣るのが亀山流

伊藤「僕がパワーフィネスを教わった亀山ダムは、カバーの奥のゴミだまりとか、密集した竹のレイダウンとか、そういうものが非常に多いフィールド。混み入ったというレベルじゃない超ヘビーカバー。その隙間を撃ち抜いて釣る、というのが亀山流パワーフィネスなんです。

ベイトフィネスでは本当のカバーの奥からは獲れない、フリッピングスティックではスモラバは投げられない、でかいルアーでは食わない。だから、亀山流パワーフィネス。2号のPE直結で、食った瞬間に一気に上アゴに掛けて引きずりだす。だからロッドティップがめちゃくちゃ硬い。ティップが柔らかいパワーフィネス用ロッドはたくさんありますが、利点は投げやすいこと。でも、突進された時にバスが下を向けちゃう余裕があるから亀山だと通用しないんですよね。逆にティップが硬いパワーフィネスロッドってめちゃくちゃ投げづらいんで、難易度的にはたぶん一番高いですが、キャッチ率は高いです。

亀山流のジス・イズ・ザ・オリジナルはわからないんですが…広めたのは斎藤真也さん。僕に伝授してくれたのは鶴岡克芳さん。それが7年くらい前かな。ジャングルスピンを作り上げてくれたのも鶴岡さんです。斎藤さんは第一次ブームの頃からハリアーをスピニング化してましたね。ただね、時代がついていけてなかった」

使用されるルアー

カメラバ+スイッチオントレーラー(ノリーズ)

パワーフィネス用に開発され、市販されたのがカメラバ。名前の由来はもちろん、亀山湖だ。多少カバーが薄いところではネコリグも投入される。サンカクティーサンもパワーフィネスを意識して作られた。

サンカクコティーサン(ノリーズ)ネコリグ

代表タックル

【ロッド】ロードランナーヴォイスジャングル700JHS(ノリーズ)
【リール】ヴァンキッシュ2500SHG(シマノ)
【ライン】スマックダウンフレッシュグリーンブレイド30ポンド(クレハ)

ヘタなジグロッド以上に硬くてパワーのあるガチカバースピン。リールはハイギア を使用。

琵琶湖無頼派

琵琶湖の非主流派カバースピニングスタイル

いわゆる関東流のパワーフィネスがほとんど定着していないといっていいのが琵琶湖。スモラバではアピール力が弱い、沖のウィードがメイン、ベイトのカバー撃ちでも食う…などの理由があるのかもしれないが、とにかく流行っていないのは間違いない。

しかし、琵琶湖北湖の著名なでかバスハンターのなかには関東流とは違う独自路線のパワーフィネスを使いこなす者もいる。

例えば、鉄作に囲まれた取水塔からファットイカなどで食わせたでかバスを強引に引きずり出す奥田学さんの映像を見たことがある人もいるだろう。山田祐五さんは4000番台のリールにMAXで5号のPEラインというパワーフィネスの範疇を超えかねないタックルを使用している。また、関東流のようなヘビーカバーをスモラバやネコリグで撃つ、というのとは違って、取水塔や魚礁のなかなどにある程度ボリュームのあるワームを送り込んでいき、強引に取り込む、というスタイルとなっている。

琵琶湖無頼派に属するアングラーたち

奥田学
山田祐五

北湖のでかバス2大巨塔が代表格か。お二方とも関東のパワーフィネスに輪をかけてヘビーなタックルだが、とくに山田さんはおよそバス釣りのスピニングとは思えないようなタックルまで使う。

証言

【Profile】
奥田学(おくだ・まなぶ)
琵琶湖北湖をホームとする孤高のでかバスハンター。高比重ワームなどを使って琵琶湖のカバーをスピニングで攻略してきた。ちなみに、基本的に、パワーフィネスではなくパワースピンと呼ぶ。

「琵琶湖じゃあだいぶ古くからやっとるよ」

奥田「まず、前提としてあるのはPE直結じゃない、ということ。北湖はとくにクリアウォーターなんで、ラインが見えやすいのと、PEの糸鳴り音をバスが嫌う。なので、フロロのリーダーを組んでる。

撃っていく場所は、取水塔や桟橋などの人工ストラクチャー、ロックエリア、あとはウィード。要するにカバー全般。関東のパワーフィネスはかなりボートの距離が近いよね。琵琶湖であの距離をやると逃げるもんで、極力ロングディスタンス。食わせるのと獲れる距離感が大事やね。

リールは4000番台とかを使う理由は、ハンドル1回転の糸巻き量が断然長いのと、パワーがあること。

最初は僕もベイトでカバーを撃ってたけど、細かい操作感はスピニングに負けるんだよね。あとは、カバーの奥や取水塔の中にスキッピングで入れる時に、ベイトだとモノや波に当たってバックラッシュする。だけど、スピニングだとそのリスクが排除されるでしょ。あと、ドラグ性能がスピニングとベイトでは圧倒的に違う。魚を怒らせずに寄せてくる、というのはスピニングが長けてるよ」

使用ルアー

マンバ(シグナル)

GXマッスルクローラー(ストーム)

デスアダースティック(デプス)

ボウワーム12in(エバーグリーン)

バックスライド系、ストレート系、スティックベイトを多用する。存在感をアピールするために、サイズだけでなく重さも重要だという。関東系とはルアーがまったく異なる。

タックル

【ロッド】バンタム274MH(シマノ)
【リール】ステラ4000XG(シマノ)
【ライン】PE1〜2.5号
【リーダー】フロロ16〜30lb

望月俊典

望月俊典

2021.03.05

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