アジング王BATTLEはルアーマガジンソルト誌で連載中のアングラー対戦企画。本誌によって選出されたプロアングラー8名が1vs1でアジング対決を行い、勝った4人が決勝戦に進むというルール。2018年の年末、壱岐島アジ祭2018の直後に行われた決勝戦でいったい誰が勝ったのか……。ご紹介しましょう!


決戦の舞台は壱岐島

画像: 2018年シーズンを勝ち残ってきた4人。

2018年シーズンを勝ち残ってきた4人。

画像1: 【2018アジング最強は誰だ!】アジング王BATTLEセカンドシーズン壱岐島決勝戦! 二代目アジング王がついに決定。その名は……

決勝戦はご存知、長崎県壱岐島。アジング王BATTLEセカンドシーズンは全編この島で試合が行われた。

理由はいくつがあるが、まずアジのストック量と平均サイズが大きいこと。そして、あらゆるシチュエーションが内包されていて、全国の釣り場にその技術が落とし込めること。その条件を満たしたまさにアジの聖地だからだ。

さて、セカンドシーズンの決勝進出者は4名。ファーストシーズン覇者であるトミー敦さんは2年連続のファイナリスト。渡邉長士さんも同じく2年連続(前回準優勝)。藤原真一郎さんと、丹羽喜嗣さんは今シーズン、初めてファイナリストとして名を連ねた。

諸々はルアーマガジン本誌1月21日発売号で公開されているわけですが、担当者目線でこちらでは決勝の様子をお伝えしていくとにしましょう。

ではファイナリストを4人を勝手に分析&紹介!

■藤原真一郎(ふじわら・しんいちろう)

ファースト・シーズンでは渡邉長士に破れ辛酸を嘗める。これによりアジングを見直し覚醒。横浜の激戦区で牙を研ぎ澄ませるテクニシャン木村壮大を下しファイナリストへ。
Fシステムの根幹をなす「シャローフリーク(アルカジック)」などの堅実かつ効果的な遠距離砲を持つことから、大味なイメージがあるかもしれないが、真骨頂は近・中距離戦にあり。
状況に合わせて細かく釣りを変化させるアジャスト能力に注目。
ラグゼ宵姫 天 S61L-Solid(がまかつ)」と「ラグゼ宵姫 華 S82H-Solid(がまかつ)」の2本を持ち込み死角なし。

※本誌にて使用ロッドがラグゼ宵姫 天 S210ML-Solidとの表記がございますが誤表記です。また、キャプション解説にて重量が41gと掲載されておりますが、正しくは42gです。関係者及び読者の皆様にご迷惑をおかけしました。

画像2: 【2018アジング最強は誰だ!】アジング王BATTLEセカンドシーズン壱岐島決勝戦! 二代目アジング王がついに決定。その名は……

■丹羽喜嗣(にわ・よしつぐ)

強豪、松本幸雄を下しての決勝進出。
ウルトラシュート(シマノ)」などの遠距離特化型フロートリグを開発、運用することから、藤原さんと同じく「遠距離に強い」イメージがあるかもしれないが、ジグ単の達人でもある松本さんに、そのジグ単による近距離戦を制して勝利。
普段、デイアジングを楽しむことから、よりシビアな環境でのアジングが本戦でも活きたといえる。
また、釣りが非常にロジカルで効率的。ロッドは「ソアレCI4+AJING S608UL-S(シマノ)」と、「ソアレCI4+ S900M-S(シマノ)」の2本を持ちこんだ。

画像3: 【2018アジング最強は誰だ!】アジング王BATTLEセカンドシーズン壱岐島決勝戦! 二代目アジング王がついに決定。その名は……

■渡邉長士(わたなべ・たけし)

マルチアングラーとして知られ、アジングは大の得意。
ファーストシーズンでは僅差で準優勝に甘んじたものの、その堅実なテクニックと試合運びにはベテランらしい細やかな戦略が見られる。
天才と注目される杉山代悟さんとの乱打戦を制して、ファイナリストへ進出。あらゆる状況に対応する経験値は4人でもトップクラス。
アジング王優勝への拘りも強く、精神面でも充実した状態で決勝へ。
ロッドは「月下美人AIR AGS アジング55ULXS(DAIWA)」と「月下美人EX711アジング(DAIWA)」の2本。

画像4: 【2018アジング最強は誰だ!】アジング王BATTLEセカンドシーズン壱岐島決勝戦! 二代目アジング王がついに決定。その名は……

■トミー敦(とみーあつし)

本名は富永敦。初代アジング王
ファースト・シーズンでは1度、松本幸雄さんに敗れるも決勝進出者の辞退もありルールにより敗者復活。そこでリベンジの優勝。
セカンドシーズンはマルチアングラーでなおかつ、フィネスな釣りを得意とする蘆原仁さんをしっかりと下し決勝へ。
高いアジャスト能力と日本各地をアジング行脚して得た知識と経験、そして技術を武器に本戦に挑んだ。
装備品などを見てもコンパクトで的を絞り込んだ釣りを展開することから、多くのアジングファンの指標となるアングラーだ。
ロッドは「SRAM EXR-57Sプロトタイプ(ティクト)」と「SRAM ER-73S(ティクト)」の二段構え。

画像5: 【2018アジング最強は誰だ!】アジング王BATTLEセカンドシーズン壱岐島決勝戦! 二代目アジング王がついに決定。その名は……

決勝戦のメインステージは2箇所

まず、決勝戦は壱岐島の「郷ノ浦港・東南部」。そこは、壱岐島でも夕マヅメのポイントとして知られ、なおかつマヅメ絡みの沖の回遊をアテられると尺を超えるアジが釣れる場所だ。

そのこともあり、意識的にファーストポイントに選んだ(提案した)のは、遠距離攻略の武器を持つ渡邉さん、丹羽さんの両名(渡邉さんは鯵天、丹羽さんはウルトラシュートのフロートリグ系アイテムがある)だった。

画像: 下見では芦辺港なども調査され、候補に上がっていたが……。ちなみに芦辺港は直前に行われた、一般参加者向けのアジング王BATTLEオープン、優勝者のメインステージ。

下見では芦辺港なども調査され、候補に上がっていたが……。ちなみに芦辺港は直前に行われた、一般参加者向けのアジング王BATTLEオープン、優勝者のメインステージ。

画像: 郷ノ浦港・東南部にある砂置き場前。水深がありアジの回遊が常にある壱岐島鉄板のポイント。

郷ノ浦港・東南部にある砂置き場前。水深がありアジの回遊が常にある壱岐島鉄板のポイント。

「遠距離戦になればトミーさんを封じられる」

こう語ったのは試合巧者の渡辺さん。

それに対し、トミーさんは、特にプラクティスで壱岐島を事前に回っていたわけではないが、イベント滞在中にちょうど滞在ホテルが郷ノ浦港であったことから、ファーストポイントの状況をある程度把握しており、近距離のジグ単戦になったとしても、それなりの結果を出せる算段があったようだ。

藤原さんもFシステムという遠距離攻略のためのアイテムを持っていたことから、特に郷ノ浦港でのスタートに対して反対する意味を感じなかったのだろう。ということでスタートポイントがここであることに4人すべてが異存がなかったことになる。

意外な誤算により初代アジング王が苦戦

画像: 試合時の配置。港の角とはMAP中央。

試合時の配置。港の角とはMAP中央。

元々アジャスト能力の高さに定評のあるトミー敦さんだが、こと郷ノ浦港のパターンとして把握していたのは、港の地形の角に当たる部分に比較的ポイントを見込める大型のアジが溜まることだった。

しかし、いざ、現場に到着してみると、試合前の数日間には停泊していなかった台船がそのスイートポイントに居て攻略不能な状態に……。

近距離戦では総合力の高い釣りを展開できるトミーさんだが、一転、その力が活かせる状況を封じられる形になってしまった。

交錯する思惑

画像: 鯵天は遠距離の鯵をジグヘッド+ワームで釣るための飛ばしウキシステムのひとつ。 渡邉さんはこの鯵天をさらに遠距離仕様にチューンして沖の回遊アジを狙いにかかった。 それが功を奏して、ファーストヒットに尺アジをただき出す。 ルール上、尺アジには通常より高いポイントが加えられる。

鯵天は遠距離の鯵をジグヘッド+ワームで釣るための飛ばしウキシステムのひとつ。
渡邉さんはこの鯵天をさらに遠距離仕様にチューンして沖の回遊アジを狙いにかかった。
それが功を奏して、ファーストヒットに尺アジをただき出す。
ルール上、尺アジには通常より高いポイントが加えられる。

元々、このポイントでは遠距離戦を意識していたのが、渡邉さんと丹羽さん。

思惑それぞれ異なっていたが、結果的にトミーさんの得意とする釣りを封じる展開になり、なおかつ鯵天というフロートリグを使いこなす渡邉さんがファーストヒットに尺アジを叩き出す展開に。

トミーさんも自社のMキャロをスタンバイするも思った結果は得られず……。

ちなみにだが、ルール上、バディ対戦方式が組まれており、筆者はトミー敦・渡邉長士組についたことから、もう一組のバディ、丹羽喜嗣・藤原真一郎組の細かな様子については遠目から観察していたに過ぎないのであしからず。

※バディを組むといっても、チーム戦ではなく個人戦になっている。ただ、このバディ同士の駆け引きも本戦の面白さにもなっている。

戦術的ミスにより窮地になる渡邉・トミーペア

さて、時間は進み、ポイントを重ね始めた4人。わずかながらに、最初に入った郷ノ浦港で、リードを広げていたのは港の北東部護岸を陣取った丹羽・藤原のバディ。途中、丹羽・藤原のバディが港南岸に位置どっていた、トミー・渡邉バディのエリアに足を伸ばしたものの、状況が芳しくないことを悟って、元の北東部護岸に戻った経緯もあった。

思ったより、トミー・渡邉ペアがポイントを重ねていない?  その事実を知り仕掛けたのが丹羽さんだった。

丹羽さんが移動先候補として提案したのは、予選でコンフィデンスがある湯ノ本の堤防。提案したタイミングで移動できれば、乱打戦が予測される湯ノ本で釣座の優先確保権を得ていたことから、有利な釣座で試合を展開できる。そうすればポイントを重ねられる。

なおかつ、バディの相棒である藤原さんは、丹羽さんが釣座を確保したいと考えているピンではなくセオリーどおり、常夜灯が絡む突端部を選ぶことが予測できる。となると、アベレージが安定したアジが釣れる狙いのパワーポイントを抑えられれば、バディの藤原さんすら出し抜ける!

しかも、トミー・渡邉ペアは郷ノ浦港で釣れていないことから、攻めあぐねていることが予想され、おそらくこの移動提案に賛成するだろう。そして、同ペアには釣座主張権は湯ノ本では持っていない! まさに完璧な戦略!

バディの藤原さんはこの丹羽さんの移動提案に快諾。あとは、トミー・渡邉バディがその提案に乗ってくれれば勝機が開ける! しかし帰ってきた答えは……。

「移動を拒否します」

「えっと、トミー・渡邉のバディチームは移動を拒否することでまとまりました」

動揺する丹羽さんだが、ルールの上で移動を主張をする2名、移動を拒否する2名という構図になった。そこで、バディの代表者による「じゃんけん」でそれが決することになったのだ。その勝負に勝ったのは移動を拒否する、トミー・渡邉ペアだったのだ! 一度、移動を拒否すると1時間は同ポイントから動けないのが本戦のルールでもある。

 しかしなぜ、2人は郷ノ浦港で釣れていないのに移動を拒否をしたのか??? 丹羽さんはまさかの展開に狼狽し、なおかつじゃんけんの勝負まで負けてしまった。まさに丹羽さんのプランがここで音を立てて崩れ落ちた瞬間だった。

ちなみに、二人が丹羽さんの移動提案を拒否した理由はこうだ。

「釣座の優先権は、次は向こうにあります(最初の釣座優先権はトミー・渡邉ペアにあったため)。となるとおそらく、実績のある常夜灯付近に二人は陣取るはず。そこで、僕たちは、ルールで認められているマイフィールド宣言(宣言者自身を中心に半径5mへの侵入を30分間拒否できるルール。1試合に1名が1回使用することができる)を堤防の突端、常夜灯直近に二人で侵入して宣言し、2人を追いやりたい。でも、今、移動したら、そうはいってもアジの数が多いポイントで乱打戦になる。であれば、終了時間を見越したタイミングでマイフィールド宣言して、効果終了時からでは巻き返せないようにしたいんです。現在、見ていると、今いる郷ノ浦港では単発的にポイントを重ねるから、大きな差はつかないと思うんです」

つまり、乱打戦の前半を優位にすすめて叩きまくった後ならば、常夜灯の影響を受ける一番のポイントに入られてもそのままリードを保てると読んだのだ。

様々な思惑が交差するなか、実はそれぞれに誤算があった

振り返ってみると、この状況であれば、実力の拮抗する4人ならば、郷ノ浦では大きなポイント差はつきにくいハズという渡辺さん、トミーさんの読みだったかもしれない。しかし、そうはならなかったのだ。

大差がつきにくいと思われていた、郷ノ浦港のシビアな条件下の中、唯一、アジのハニースポットを見つけてポイントを伸ばしてきたアングラーがいた。そう、藤原真一郎さんだ。

画像: 様々な思惑が交差するなか、実はそれぞれに誤算があった

結局、郷ノ浦のポイント終了時点で、藤原さん11尾11ポイント丹羽さん6尾6ポイント渡邉さん4尾6ポイントトミーさん5尾5ポイントというスコアになった。

ここで、規定の1時間のポイントホールドタイムが解消され、湯ノ本に向かうことができるようになった。藤原さんが頭一つ抜けたとはいえ、乱打戦の期待できる湯ノ本ならば、まだ巻き返せる。差をつけられた全員がそう思っていたに違いない。

湯ノ本というパワーポイントの誤算

画像: 突端に常夜灯。 渡邉、トミーの両名は思惑通りの突端部常夜灯絡みのパワーポイントへ。 ちなみに防波堤西面が強いとい言われているポイント、乱打戦ならかなり強い釣座。 丹羽さんは常夜灯の絡む突端部はアジのスレが早く、難しくなることを予選で確認していたことから、渋い状況になると格段に強くなる常夜灯との明暗部のピンに居座った。 藤原さんが結果的には、オーソドックスな常夜灯直下に入ることになったのだが……。

突端に常夜灯。
渡邉、トミーの両名は思惑通りの突端部常夜灯絡みのパワーポイントへ。
ちなみに防波堤西面が強いとい言われているポイント、乱打戦ならかなり強い釣座。
丹羽さんは常夜灯の絡む突端部はアジのスレが早く、難しくなることを予選で確認していたことから、渋い状況になると格段に強くなる常夜灯との明暗部のピンに居座った。
藤原さんが結果的には、オーソドックスな常夜灯直下に入ることになったのだが……。

さて、アジの乱打戦が期待されるパワーポイントである湯ノ本に到着した4名。それぞれの思惑通りに釣座を確保した。

丹羽さん、藤原さんともにトミーさん、渡邉さんが想定していた釣座を確保しなかったこともあり、マイフィールド宣言行使には至らなかったわけだが……。

さて、ここからは乱打戦が始まり、写真撮影や計測などが忙しくなる……ハズなのだが、湯ノ本でのアジの反応が予想以上に渋い。常夜灯周りのアジの反応が芳しくないのだ。どういうことだ?? ここの近々のポテンシャルを把握していた数名に動揺が走る。

そこで、試合経過を観察していた地元のスーパーロコ、長嶋博雅さんがぽろり。

「この潮と風、時間帯……。いわゆる、めちゃくちゃ釣れるタイミングはちょうど終わりましたね」

そんななか、パワースポットの残り香を淡々と仕留めていったのが、戦術や策謀に溺れず、目の前のアジングに集中していた藤原さんだったのだ。平常心と安定したテクニック。現場の変化に的確に合わせていく繊細なアジャスト能力……。

着々と、戸惑う3人を尻目にポイントを重ねていく。



結果発表! キーワード平常心

結果。藤原真一郎さん13尾13ポイント渡邉長士さん7尾9ポイント丹羽喜嗣さん8尾8ポイントトミー敦さん6尾6ポイント

二代目アジング王に輝いたのは、ペースを崩さず、平常心で釣りを続けた藤原真一郎さんだった! 

そしてじっくりと本誌と別冊付録予定の決勝DVDをご覧いただければわかるが、その釣りの技術の高さに注目してほしい。ニコニコと優しい笑顔で実にえげつないアジングをするのである(笑)! この優勝はもしかして必然だったのか?? と思わざるを得ない対応力は必見です!

総括すると、初代王者のトミー敦さんは、最初のポイントでの誤算と、29.5cmというジャンプアップできるサイズに5mm足りなかったことによるメンタルの動揺、他、3人の王者包囲網により実力を出しきれなかった。まさに強者ゆえの敗戦。競技ゆえの妙に翻弄された形に。

画像1: 結果発表! キーワード平常心

丹羽さんは、後半の湯ノ本で追い上げの糸口を掴むも、トミー・渡邉ペアの仕掛けた移動タイミング遅延の策が結果的に足かせになりタイムアップ。もう少し早く湯ノ本に入っていればと思うとまさにそこが勝負のアヤだったように思う。

実力的には非常に注目していたが、やはりその自力侮れず。ペアを組んだ藤原さんとの実力的差はほぼないように感じた。が、勝負事への負けん気が、今回に限っては不利に働いたか……。

移動提案時のジャンケンの敗北がメンタル面でも動揺をさそったようにも思えた。

画像2: 結果発表! キーワード平常心

渡辺さんは最初の郷ノ浦で得た尺アジのポイントもあり、準優勝。全体的に試合運びは誤算はあれど実に効果的な立ち回り。優勝した藤原真一郎さんが郷ノ浦であそこまでポイントを伸ばさなければ、巻き返しのチャンスは十二分にあったはずだ。鯵天のチューンも有効に働き、尺超え鯵も最初のポイントでは叩き出していたこともあり、チャンスは大いにあった。

画像3: 結果発表! キーワード平常心

二代目アジング王藤原さんおめでとうございます! 

画像: 二代目アジング王藤原さんおめでとうございます!

ということで、次回記事では藤原さんの使ったタックルについて、もう少し詳しく解説しますね!

ちなみに3年目を迎えるアジング王BATTLEサードシーズンは決勝進出者4名と、壱岐で行われたアジング王オープンの優勝者、河本庸介さんを加え、パワーアップして開催予定。競技として面白いアジングの魅力を、お伝えしていきますよ! ルールも大幅変更予定です!

アジング王BATTLEについてはこちらをチェック!



This article is a sponsored article by
''.