「おっかしぃな、大潮なのに今日、全然、潮が動かねー」もしくは「あれ? 小潮なのに潮が意外に動くなぁ…」これ、釣り人あるあるですよね。基本的に潮流は潮汐(月の満ち欠け)によって大小が決まる。大潮ならば潮が速く、小潮、若潮ならば流れは緩く…。しかし、そんな単純な問題でもなかったりというお話です。


画像: 大潮なのに潮が動かない。その原因「潮位偏差値」のカラクリ。釣れない釣り人よ! 新たな言い訳がまたひとつ…。

潮位変化の誤差、潮位偏差値に注目せよ

今回、その原因のひとつを解説してくれたのは、ルアマガのアイテムブランド「LML」のテスターでもある「フッキー」氏。フッキー氏は、一時期、湾岸ランカーシーバスハントに目覚め、足繁く東京湾に通っていた。そのとき、大物が釣れたタイミングや理由、逆に釣れなかった理由などを様々な角度でデータ化したのだそうだ。データ収集のひとつが潮位データを確認すること。そのデータの蓄積と確認で気づいたことのひとつが、「潮位変化の誤差」つまり「潮位偏差値」だったと言うのだ。ちなみにこのデータ。気象庁のホームページで確認することができる。

「潮汐(月の重力に起因する海水位の変動)以外にも潮流が発生する、様々な原因があることは、多くの釣り人は理解しているかと思います。特に陸っぱりや内湾部で釣りをする人なら気づいている方も多いのでは? 単純なところで行くと、雨が大量に振ったら川が流れ込んでいるような湾は当然ながら海と言えど潮位に影響を受けます」

確かに、雨が降れば水が増えるは同意。外洋ならともかく、内湾部や岸辺に近い場所ならば海と言えど影響を受けるだろう。

エクマン輸送(風)。副振動(あびき)。暖水渦。海流。そして…

あぁ、それぞれで記事が書けちゃうくらい面白ぃ…。取材をすすめていくと、様々な水位変動の要因があることがわかりました。ひとつひとつがすごく面白いので、これについては近いうちにひとつひとつ記事化していきます。今回はざっくり解説します。

画像: エクマン輸送(風)。副振動(あびき)。暖水渦。海流。そして…

【エクマン輸送】

風による潮位変動。これ、エクマン輸送という現象で引き起こされます。例えばなんですが西風が吹くと日本海側の潮位が上昇するなんてのは有名なエクマン輸送効果。風の吹く方向90度右側の陸地の潮位が上がるとざっくり覚えておいてください。潮の動く方向はレンジで変わるんですよ!…ってこの先は次回に。よだれでちゃうネタですね。

まぁ、普通に考えたら風があたる面が水位上昇すると思ってたんですが、そんな単純な問題じゃないんですね。これ、たぶん規模は小さくなりますが、湖内でも起こり得る現象だと思うので、西風が吹いたら南岸にベイトが溜まりやすいかもとか妄想力働かせられそうで良いですね。

【副振動(あびき)】

副振動は、つい先日も長崎県でニュースになったほどの現象。簡単に言うと、様々な気象要因で波長の長い波が海洋で発生し、それが沿岸部に伝わり振動を起こし、その振動が増幅されて潮位変動をもたらすのであります。

もう、自分で何言ってるかわからないですが、そういう現象があるんです。ちなみに「あびき」は長崎地方特有の副振動現象の呼び方で、東シナ海で発生したなんらかの海洋現象で副振動が発生し、長崎近海に影響を及ぼす現象だそうですよ。

【暖水渦・冷水渦】

暖水渦が発生するとその影響で、水位上昇。冷水渦が発生すると水位下降。これもざっくりこう覚えてください。仮に湾内にそのどちらかが発生していたり、近隣海域にそれらが発生していた場合は、その影響で水位変動がみられます。こちらは推察するに、それぞれの発生のタイミングで慢性的に状況が続くことから、潮汐潮位と連動するのではないでしょうか。

【海流】

黒潮などの潮流の影響を受けて変動することも多々あるとのこと。直接当たらずとも、強力な流れをもたらす海流は潮位にも変動をもたらす。



潮位偏差要因で最も予測しやすいのが「気圧」

「いろいろ、原因を挙げたらきりがありませんし、予測も難しく複雑になってくるのですが、ただ、そういった要因よりも注目したいのが、【気圧】なんですよね。気圧によって、この潮位偏差値の下降、上昇が認められるのですが、それは潮汐と同じで割に予測しやすいです。

画像: 単純に晴れると気圧は上がり、海水面がおしつけられる(潮位が下がる)。でも朝夕などでも変わってくるので、そのへんも加味しておくとおもしろい。

単純に晴れると気圧は上がり、海水面がおしつけられる(潮位が下がる)。でも朝夕などでも変わってくるので、そのへんも加味しておくとおもしろい。

単純に気圧が低ければ潮位上昇。高ければ潮位下降。このセオリーは覚えておくと良いです。前述したように、この要因だけでは潮位偏差を予測できないので、潮汐予測程度のセオリーだと考えると良いと思いますが、潮位偏差の大きな要因のひとつだとは言えます」

潮位偏差のタイミングで潮の動きが大きく変わることがある。

さて、様々な要因で潮位って変わるんだよ。ということはわかりました。もうお気づきかと思いますが、例えば、潮が上げる方向で動くタイミング…潮汐の予測で+20cmというタイミングで、潮位偏差値が-20cmだったら? 一概には言えませんが、潮が思ったより動かない…なんてことにもなり得るわけです。その逆もしかり。予報では小潮なのに潮位偏差値が大きければ、思ったよりも潮が動くなんてことはママあるってことです。

画像1: 潮位偏差のタイミングで潮の動きが大きく変わることがある。

下に1例として今年の5月東京湾の気象庁発表による潮位変動値と潮位偏差値のグラフを貼り付けました。例えば5〜6日の潮位変動を見てください。下側のグリーンのグラフが潮位偏差値ですが5〜6日は、最大-15cmの偏差があったことが読み取れます。上の5〜6日の潮位グラフを見ると、干潮側にグラフが大きく振れていることがよみとれますよね。つまり、潮位偏差により、この日は潮が引くタイミングのほうが潮が大きく振れていることがわかります。

画像2: 潮位偏差のタイミングで潮の動きが大きく変わることがある。
画像3: 潮位偏差のタイミングで潮の動きが大きく変わることがある。

全体的に今年の5月の東京湾の潮位偏差はマイナス側に振れがちだなぁと読み取ることができますよね。ということはこの傾向が続くなら、上げよりも下げの潮の動くタイミングのほうがチャンス! と考えることもできるわけです(あくまで1例です)。逆に21〜22日の大潮絡みの日には、潮位偏差値が+20cmを超えています。この日の干潮時の潮位グラフを見ると、意外に下げきってない…。つまり、大潮だったのに潮がイマイチ動いていなかったのかもしれません。

と、気象庁のホームページでこういったデータも閲覧することができますから、確認してみるとおもしろいですよ。副振動があった、なかったなんてのも見れちゃいます。

釣り人よ! 潮汐予報だけでいい悪いを判断するべからず!

……。ん、ちょっと待ってくださいよ。総合的に今回の話に結論をつけるとすると、確かに潮汐による潮の動くタイミングはバックボーンとして重要な情報ではありますが、「潮汐で潮が動いていないタイミング=釣れない」ではない。と読み解くこともできますよね。

「はい(笑)。ある程度フィールドに通いこんでいると、もちろん基礎データをもとに、海況を確認して釣りのオンオフを作ることはできますが、全ては予測通りにいかないということです。

つまり、キープキャスティングが一番じゃないでしょうか(笑)。敢えていいますが、今は潮が動いていないから釣れないと、海況を確認せずに潮汐表だけで判断するアングラーは………です」

ははーん。◯月◯日は潮が悪いから釣りはキャンセルとか言うアングラーは修行不足ってことですね!! 大事なことだからもう一度いいますよ!

「潮が悪いから釣りはキャンセルとか言うアングラーは修行不足!」

ということで、せっかくの休みなのに潮が悪い、釣れないかも…って嘆いている諸兄! 安心してください!我々には潮位偏差という強い味方がいる!

「釣れなかった言い訳にも使えるかもしれませんね」

ですよね…。うふふふ。



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