さて、アジング界のパイオニアとして知られる家邊克己さん率いるサーティフォーから、新たなメソッドとしてベイトフィネス・タックルを使ったアジングが提案された。まず皮切りに市場に送り出されるのはアジング用のベイトフィネスロッド…。さて、この提案。真剣に考えてみたぞ。


そもそもベイトフィネスってなんぞ?

ざっくりですが、ベイトシステムとはベイトキャスティングリールを使ったルアーフィッシングのこと。本来、ベイトリールを使ったルアーフィッシングは、ルアーにある程度の自重が必要だったのだが、昨今のリールの進化により、比較的軽い自重のルアーでもベイトリールでキャスティングが可能になってきた。

その性能アップに可能性を感じたアングラーは複数いた。特にJBトップ50に所属するバスプロアングラーのひとり、沢村幸弘さんがその性能の進化にいちはやく目をつけ、軽いルアーをベイトのシステムでアプローチすることで、スピニングリールでしか扱えないようなフィネス(繊細で小さなリールやワーム、ラインを使うアプローチの表現)を実現しようと考えた。

その試行錯誤で完成したのがベイトフィネスと呼ばれるシステムだ。当初は比較的太いラインで(8〜10lb)、繊細なリグをアプローチできることから、スピニングでしかなし得なかった繊細なリグが、カバーなどの障害物廻りで扱えるようになり、このシステムは一世を風靡した。

その後、様々な進化を遂げ、多様化したシステムとなり、現在はバスフィッシングのひとつのタックルジャンルとして確立されている。

アジングベイトフィネスの「可能性」と「疑問」

さて、今回、サーティフォーの家邊克己さんがアジングのベイトフィネスタックルを作ったとのことで、興味を持ち、編集部としても取材を敢行。まず、その新提案の根幹となるベイトロッドを触らせていただいた。

画像: アジングベイトフィネスの「可能性」と「疑問」

このロッドに関しては、さすがと言いたくなるアクションだった。まさにアジングという釣りを知り尽くした家邊さんのチームだからこその完成度。ベイトロッドながら確かにアジングロッドだったのだ。このロッドをどう使っていこうかという可能性を模索し、想像し始めたくらいなので、この新しい提案については多くの人に伝えたいと考えたほどだ。

しかし、当の家邊さん自身は、ベイトの釣りそのものには疎いと発言しており、取材中も「こと陸っぱりのアジングにおいては、そのアドバンテージはスピニングと比べて、あるわけではない」と語っていた。それなのにではなぜ、ベイトフィネスのアジングを提案したのかと質問すると「ベイトロッドを使ったアジングをしたいという層がいる。その楽しみ方を否定したくない」と答えている。

さて、その可能性については理解できる。しかし、家邊さんが正直に発言している通り、スピニングを使ったジグ単の釣りに比べてのアドバンテージに関しては、現時点では感じていないという一連の流れには、どうにもしっくりこない。個人的には、このシステムを煮詰めていけば、スピニングにはないアジングの利点を体現できるのではないかとワクワクしてしまっているからだ。

だからこそ、まずは家邊さんによる現時点のアジングベイト・フィネスを観察することにした。

ベイトフィネスの創生を知らないからこその勘違い?

家邊さんが、アジング用ベイトフィネスロッドに装着したのはシマノの名ベイトフィネスリールとも言えるアルデバランBFS XG。これに0.25lbのPEを巻き込んだ。

確かにベイトフィネスというシステムの進化の過程で、細いラインを使用するという選択肢は無いわけではないが、ベイトフィネス=細いラインを使うシステムという図式では正確に言うとない。

画像: 苦戦しつつも、1.5gジグヘッド&PEというシステムでシビアなアジを釣り上げた家邊さん

苦戦しつつも、1.5gジグヘッド&PEというシステムでシビアなアジを釣り上げた家邊さん

ただ、家邊さんとしてはアジングという釣りの性質上、細いPEラインを使うというのは、ごくごく当たり前の常識で違和感のない事象なのだろうが、ベイトキャスティングで楽しむ釣りのシステムとしては、このラインの細さはギリギリに感じた。バスフィッシングの経験がある筆者でも、少なからず扱いに窮するシーンがあった。

そもそも前述したようにアジングそのものがフィネスな釣りなこともあり、アジンガーにとっては違和感のないタックルバランスなのかもしれないが、いくらベイトフィネスのリールにセットするにしても細すぎるのだ。

さぁ、兎にも角にも実釣が開始される。1.5gのジグヘッドを装着し、アプローチを開始した家邊さんだが、家邊さんにとっては1.5gのジグヘッドを扱うアジングはコントロールしにくい釣りのようだ、

普段より、プランクトンを捕食するアジを意識し、フォールとレンジキープというメソッドを重視する家邊さんだけに、現状の最小取扱1.5gというのは、家邊スタイルのアジングとしてはギリギリなのだ。しかも水に馴染みにくいPEラインときている。普段の家邊さんのスタイルとはある意味かけ離れていることもあり、釣りそのものは苦戦している。

家邊「普段からエステルラインの釣りを提唱してそのメソッドを行っていることもあり、PEは正直使いづらいです」

そんなボヤキが出るくらいだ。ベイトフィネスのメリットはスピニングに比べてほとんどなく、趣味趣向だと本音が出る気持ちもわかる。だが、何度も言うが、趣味趣向だと片付けるにはもったいないロッドとしての完成度なのだ。ベイトフィネス・アジングという新ジャンルの提言をそれで終わらせてしまってはもったいない。

与えられたシステムをアングラー側で昇華させても良いのではないか?

遊び方のバリエーションとして、現状は提案されたベイトフィネス・アジング。確かに、今のアジングからすると「細いラインをセッティングする」は「常識」でもある。だが、ベイトフィネス創生の歴史を紐解くと、比較的太いラインを専用のベイトリールに必要なメートル数だけ巻き、リールの慣性力を高めキャストフィールを向上させるというセッティングがそもそもであったことを思い出した。

そこで、アジングの常識、細いラインを使うという概念を一度捨ててしまってはどうかと、素人ながら家邊さんに提言してみた。すると家邊さんも少し考え込み「面白いですね」と答えてくれた。



画像1: 与えられたシステムをアングラー側で昇華させても良いのではないか?

エステルラインの強みである水馴染みの良さと、伸びのなさからくる感度の良さ。0.25〜0.4号程度の細いラインで1g以下のジグヘッドを使う繊細な操作…。

この強みを活かせるのは普通に考えるならベイトの釣りではない。でも、だからこそ逆転の発想があっても良いではないか。

例えば、6lbから10lb前後の太めのエステルラインを、攻略するフィールドのレンジ+キャストする飛距離分くらいリールに巻き込み、スプールの重量を軽くする。スプールギリギリまでラインを巻き込むのは、そもそものベイトフィネス・スタイルではないからだ。

先程の加減でラインを巻き込み、最新のベイトフィネスリールを使えば、1gは愚かそれ以下のジグヘッドを扱うことも不可能ではない。現状でも1g以下のジグヘッドに対応したロッドをサンプルとして制作しているというのだから、相当に繊細なグラム数でも扱えなくはないだろう。

画像2: 与えられたシステムをアングラー側で昇華させても良いのではないか?

リーダーは2lbから太くても4lbの世界のアジング。メインラインが太いならばテーパードリーダーをセッティングしても面白いのではないか…。しかし、太いエステルラインを現代アジングに利点として投入する意味はあるのか? 

少し妄想してみた。ダイレクトにスピーディーにアジのいるレンジを探り、複雑な流れをそのメインラインの太さを活かして直撃させるなんてアジングはないだろうか…。今の家邊さんのアジングのスタイルは、細く水馴染みの良いエステルラインを駆使し、複雑な潮の流れを読みアジがいるレンジ、いや、プランクトンの溜まる層にルアーを送り込んでいく釣りだ。その釣りと比べると真逆だ。だからコレはないかもしれない…。でもあるかもしれない…。

家邊さんと話していると、それが可能かどうか、有効かどうかはともかく提案されたベイトフィネス・アジングというシステムを使った可能性を模索する妄想が楽しいのだ。

そして、試してみたくなるのである。確立されたスピニングを使ったアジングに比べての利点を創造するのはもしかして難しいのかもしれないが、その現代アジングをぶっ壊す「利点」がベイトフィネス・アジングにあるかもしれない。

家邊「だから、ベイトでアジングをやりたいって層が多いという声に応えただけだと言ったじゃないですか(笑) 釣りは趣味趣向。いろんな楽しみ方があってもいいじゃないですか」

まさに、狙い通りではないか。メディアとしても、この新しい提案の行く末を是非追いかけていきたいと考えている。そこから、新しいメソッドがもし生まれてきたら、アジングの世界もまた広がるのではないだろうか。



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