フルサイズミラーレスデジタル一眼レフカメラ市場の覇権争いが激化する中、各社が相次いで新機種を投入してきている。その中でも最も安価なモデルとして注目されているのが、キヤノンがリリースしたEOS RPだ。このモデル、もちろんスチール撮影で使用することを前提に設計されているのだが、昨今のトレンドに合わせて動画撮影機能も充実させてきている。そこで、超過酷な釣りの動画撮影の現場で実際に使用し、良かった点、ダメだった点をレポートしていこうと思う。


画像: SPEC 記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード ※UHS-II、UHS-Iカード対応 撮像画面サイズ 約35.9×24.0mm 使用レンズ キヤノンRFレンズ群、およびEFレンズ群 ※マウントアダプター併用により、EF/EF-Sレンズが使用可能(EF-Mレンズ使用不可) 有効撮影画角 RF/EFレンズ使用時:表記焦点距離の約等倍に相当 EF-Sレンズ使用時:表記焦点距離の約1.6倍に相当 レンズマウント キヤノンRFマウント形式 CMOSセンサー(デュアルピクセル CMOS AF対応) カメラ部有効画素 約2620万画素 アスペクト比 3:2 ダスト除去 自動、ダストデリートデータ付加

SPEC
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード
※UHS-II、UHS-Iカード対応
撮像画面サイズ 約35.9×24.0mm
使用レンズ キヤノンRFレンズ群、およびEFレンズ群
※マウントアダプター併用により、EF/EF-Sレンズが使用可能(EF-Mレンズ使用不可)
有効撮影画角 RF/EFレンズ使用時:表記焦点距離の約等倍に相当
EF-Sレンズ使用時:表記焦点距離の約1.6倍に相当
レンズマウント キヤノンRFマウント形式
CMOSセンサー(デュアルピクセル CMOS AF対応)
カメラ部有効画素 約2620万画素
アスペクト比 3:2
ダスト除去 自動、ダストデリートデータ付加

まずお断りしておきたいのが、このレビューを担当している人間が、動画撮影のプロではないということ。スチール撮影歴はそれなりに長いが、動画の撮影に関してはプロのカメラマンの見様見真似でやっている程度であることをご了承いただきたい。では、早速、良い点から。

EOS RPの〇 その① 本体が軽くて、長時間撮影でも疲れにくい

バッテリーとSDカードを含んだ重量が何と500gを切る485g! これは軽い! 2019年7月の時点で、フルサイズミラーレスでは他社製品と比較しても最軽量だ。1日中カメラを構え続ける釣りの撮影にとって、機材が軽いというのは体への負担が軽減されるため、とてもありがたい。
ただ、現状、EOS RPに対応したRFレンズのラインナップが乏しいため、コントロールリングマウントアダプター(130g)を使用してEF17-40㎜ F4L(475g)を装着して撮影したのだが、そうなると総重量は1㎏オーバー(1,090g)となってしまい、せっかくの軽量ボディのメリットを活かし切れないのが残念なところ。

画像: EOS RPのボディにコントロールリングマウントアダプター装着した状態での実測値は624g(ボディキャップ込み)だったので、ほぼカタログの数値と同じ。

EOS RPのボディにコントロールリングマウントアダプター装着した状態での実測値は624g(ボディキャップ込み)だったので、ほぼカタログの数値と同じ。

画像: 左が、APS-Cサイズのセンサーを搭載するEOS Kiss X8、右がフルサイズセンサーのEOS RP(コントロールリングマウントアダプターを装着した状態)。高さはさほど変わらないが、横幅はEOS RPの方が大きい。ちなみに、Kissはストロボ内蔵だが、RPには搭載されていない。

左が、APS-Cサイズのセンサーを搭載するEOS Kiss X8、右がフルサイズセンサーのEOS RP(コントロールリングマウントアダプターを装着した状態)。高さはさほど変わらないが、横幅はEOS RPの方が大きい。ちなみに、Kissはストロボ内蔵だが、RPには搭載されていない。

EOS RPの〇 その② バリアングルモニターが使いやすい!

バリアングルモニターは、撮影スタイルの幅が広がるためとても使いやすい。例えば、カメラをグリップに装着して撮影する場合、チルトのみのモニタの場合グリップが邪魔をしてモニターが見にくくなるが、バリアングルモニターならサイドに繰り出せるので問題なし。常に画を確認しながら撮影ができる。また、下の写真のようにサイドに繰り出した状態で180度回転させることで、撮影対象者に撮影中の画を見せることも可能だ。

画像: 稼働式のモニタには、チルトタイプ(上下に動く)とバリアングル(上の写真)タイプに大別できる。EOS RPは後者を採用。モニターのサイズは3.0 型(104万ドット)。

稼働式のモニタには、チルトタイプ(上下に動く)とバリアングル(上の写真)タイプに大別できる。EOS RPは後者を採用。モニターのサイズは3.0 型(104万ドット)。

EOS RPの〇 その③ タッチパネルでの操作が快適

モニターは、昨今主流となっている静電式タッチパネルを採用している。撮影中、各種設定を変更したい場合、ほとんどの操作がタッチパネル上で操作が可能だ。具体的には、AFフレーム位置の変更、AFのON/OFF、シャッタースピード、絞り、ISO感度設定など、撮影中に必要な操作のほとんどをモニター上でおこなえる。ただ、シャッタースピードや絞り、ISO感度の設定はそれぞれメイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤル、マウントアダプターのコントロールリングでも操作できる。操作のしやすさで言うと、タッチパネルでよりも物理ダイヤルの方に軍配が上がる。

EOS RPの〇 その④ バッテリーが、意外と持つ

EOS RPが採用するバッテリーパックはLP-E17。これは、エントリーモデルが採用する場合が多く、容量は1,040mAh。上位モデルが採用するLP-E6Nの容量が1,865mAhなので「持ちもそれなりかなぁ」と覚悟していたのだが、実際には1日中撮影して4本消費する程度だったので、これは望外に良い誤算だった。
今回は日中の撮影がメインだったので、ローライト時や夜間の撮影となると、結果がまた違ってくる可能性はある。

画像: 右が、EOS RP用の純正バッテリーパックLP-E17。左はEOS5Dシリーズ等ハイアマチュア用モデルが採用するLP-E6N。前者の方が、ひと回りほどコンパクトなので、複数持ち歩くような場合もかさばらないというメリットがある。

右が、EOS RP用の純正バッテリーパックLP-E17。左はEOS5Dシリーズ等ハイアマチュア用モデルが採用するLP-E6N。前者の方が、ひと回りほどコンパクトなので、複数持ち歩くような場合もかさばらないというメリットがある。

EOS RPの〇 その⑤ 作動レベルが選べる電子手振れ補正が優秀

キヤノンはカメラボディ内に物理的な手振れ補正装置を搭載しないため、電子式(画角をクロップすることで手振れを補正する方式)の手振れ補正を採用する。これは、既存モデルも採用しており、作動レベルは「しない、する、強」の3段階から選択できる。通常は「する」を選択しておいて、磯場を歩きながら撮影するような場合は「強」にするなど、状況に応じて使い分けている。「強」にすると、起伏の激しい磯場でも非常に安定した映像となるのだが、電子式なのでその分、画像がクロップされる量が多くなり、相応に画角が狭くなる。注意したいのは、撮影中に設定の変更はできないという点。変更する場合はRECを一旦止めてメニューに入る必要がある。
下のサンプル動画は、電子手ブレ補正を「する」で撮影。後半の磯歩きのシーンでは「強」に設定して撮影した。なお、手ブレ補正機構が搭載されていないレンズを使用している。

画像: EOS RP サンプル動画 今回EOS RPで撮影した動画のサンプル。ピクチャースタイルはテクニカラーのcinestyle(ディレクターの指示でカメラにインストール。未調整の撮って出し)。FHDの30Pで撮影。 youtu.be

EOS RP サンプル動画
今回EOS RPで撮影した動画のサンプル。ピクチャースタイルはテクニカラーのcinestyle(ディレクターの指示でカメラにインストール。未調整の撮って出し)。FHDの30Pで撮影。

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EOS RPの〇 その⑥ 炎天下での長時間撮影でもセンサーが熱くならなかった

スチール撮影用のデジタル一眼レフカメラで長時間の動画撮影をする場合に気になるのが、センサーの熱。今回の撮影は、気温30℃を優に超える炎天下で何時間も連続で撮影を行った。結果から言うと、高温警告が出ることは1度もなく、ボディが熱を持つということもなかった。
というか、そもそもこの機種に温度上昇警告機能があるのかどうかも未確認なのだが、今回のような炎天下でもなんの問題もなく長時間の撮影をこなせたことから、よほどのことがない限り、センサーが高温となって撮影ができなくなるというような事態にはならないと思われる。
ちなみに、直射日光が当たらないように日よけ(&雨除け)としてタオルを被せて撮影を行っていた。

画像: EOS RPはボディキャップを外すとセンサーが丸見えの状態(保護シャッターは搭載されない)になるので、特に屋外などではむやみにキャップやレンズを外さないのが吉。

EOS RPはボディキャップを外すとセンサーが丸見えの状態(保護シャッターは搭載されない)になるので、特に屋外などではむやみにキャップやレンズを外さないのが吉。

画像: 実際の撮影の風景。このときは、雨が降ってきたのでタオルで覆って撮影。強い日差しが当たる場合、ボディが黒いため熱くなりやすい。タオルなどで覆うと、直射日光を遮ることができて熱くなりにくい。余談だが、カメラ用のレイングッズは色々と試したのだが、タオルと傘が一番効果が高いという結論に行き着き、以来このスタイルを採用している。見た目は悪いが…。

実際の撮影の風景。このときは、雨が降ってきたのでタオルで覆って撮影。強い日差しが当たる場合、ボディが黒いため熱くなりやすい。タオルなどで覆うと、直射日光を遮ることができて熱くなりにくい。余談だが、カメラ用のレイングッズは色々と試したのだが、タオルと傘が一番効果が高いという結論に行き着き、以来このスタイルを採用している。見た目は悪いが…。

EOS RPの〇 その⑦ 防塵防滴仕様なので急な雨でも安心

梅雨時の撮影だったため、小雨が降るような状況がたびたびあった。カメラとレンズがビショ濡れになることもあったのだが、雨濡れによるトラブルはゼロ。ボディはもちろん、アクセサリーのコントロールリングマウントアダプターも防塵防滴仕様であるし、使用していたレンズも防塵防滴仕様だったので、水濡れに対する不安はなく、快適に撮影を行えた。
磯では波しぶき、サーフでは砂、エギングではイカ墨、そしていつ降るかわからない雨。ソルトルアーフィッシングの実釣撮影は機材にとって過酷極まりない環境なのだが、EOS RPならそれらの外的要因を恐れることなく撮影に集中できるだろう。

画像: 別売りとなるコントロールリングマウントアダプターの、ボディ側とのマウント部。シリコンパッキン(黒い部分)が、水滴やほこりの侵入を防いてくれる。レンズとのマウント部は、レンズ側にシリコンパッキンがあるので、このマウントアダプターにはパッキンはない。

別売りとなるコントロールリングマウントアダプターの、ボディ側とのマウント部。シリコンパッキン(黒い部分)が、水滴やほこりの侵入を防いてくれる。レンズとのマウント部は、レンズ側にシリコンパッキンがあるので、このマウントアダプターにはパッキンはない。

EOS RPの〇 その⑧ イヤホンジャックが装備されている

ワイヤレスマイクなど、外部マイクを使用する際にはイヤホンなどでモニタリングすることは、後々のトラブルを防ぐためにも重要なこと。EOS RPはボディサイドにイヤホンジャックが設定されているので、最終的な音声を確認しながら撮影に挑める安心感があった。EOS RPのようなエントリーモデルはこの機能を端折っているモデルが多いので、地味ではあるがありがたい。

画像: 上が外部マイク用の入力端子、下がイヤホンジャック。ちなみに、その横に見えるUSBは、タイプCを採用している。

上が外部マイク用の入力端子、下がイヤホンジャック。ちなみに、その横に見えるUSBは、タイプCを採用している。

美点を全て帳消しにするほどの欠点とは

EOS RPの良い点を沢山挙げてきたのだが、実は、これらの美点すべてを帳消しにするほどの致命的な欠点が、使用していくうちに判明した。それを挙げていこう。

EOS RPの× その① EF-Sレンズ使用時にFHD画質が選べなくなる!

EOS RPにマウントアダプターを装着すれば、EFレンズとEF-Sレンズが使用可能となる。これはありがたい。EF-Sレンズには、EFレンズにはない魅力的なモデルがラインナップされており、それらを使用できるというのだから、EOS RPの活用の幅が大きく広がる。
ところが、である。EF-Sレンズを装着すると、選択できる動画記録サイズがHD(1280×720)か4K(3840×2160)の二択となってしまうのだ。つまり、一般的にも使用頻度の高いFHD画質が、EF-Sレンズ装着時には選択できなくなるということ。これは、致命的な欠点…。
軽量&コンパクトボディのEOS RPと軽量なEF-Sレンズの組み合わせは、取り回しも良くバランス的に最高の組み合わせなのですが、FHD画質が選べないとなると、EF-Sレンズの使用はかなり限定的にならざるを得ない。同シリーズには魅力的なレンズが多数存在するだけに、とても残念。今後のファームウェアアップデートに期待したい。
ちなみに、EF-Sレンズを装着した場合、当然ながらAPS-Cサイズ並みに画像がクロップされる(画角が狭くなる)。これら仕様は、上位モデルとなるEOS Rも同じのようだ。

画像: EF-Sレンズを装着した状態でFHD画質を選ぼうとしても、表示が薄くなっていて選べない…。(保護シール内に大量のホコリが入っていて、お見苦しくてすみません…)

EF-Sレンズを装着した状態でFHD画質を選ぼうとしても、表示が薄くなっていて選べない…。(保護シール内に大量のホコリが入っていて、お見苦しくてすみません…)

EOS RPの× その② 撮影中、メモリーカードの残量が表示されない

つまり、撮影中にメモリーカードがフルになると、突然、撮影が終了するということ。例えば、1度きりしかチャンスが来ないかもしれないヒットシーン撮影中にそれが起きる可能性も十分ある。この1点において、プロがこのカメラをメインで使用するということはありえないだろう。
EOS RPは、モニターが1つしかなく、機能表示画面は省略されている。EOS 5D Mark4だと、SDカードの残量表示が、ボディ上面の液晶で確認できる。

画像: RECボタンを押していない状態での画面表示。左上に、撮影可能な時間が表示される(実質、SDカード残量の表示)。

RECボタンを押していない状態での画面表示。左上に、撮影可能な時間が表示される(実質、SDカード残量の表示)。

画像: 撮影中の画面表示。経過時間は表示されるものの、残量は表示されない。ちなみに、29分59秒で撮影は一旦停止する。EUのビデオカメラに対する関税も撤廃されたということなので、30分制限もファームウェアアップデートで何とか解除してもらえないものだろうか…。

撮影中の画面表示。経過時間は表示されるものの、残量は表示されない。ちなみに、29分59秒で撮影は一旦停止する。EUのビデオカメラに対する関税も撤廃されたということなので、30分制限もファームウェアアップデートで何とか解除してもらえないものだろうか…。

プロがメインで使用するムービーカメラたりえないが、サブ機としての性能は十分

EOS RPの〇と×、いかがだっただろうか? ムービーカメラとしても十分使える性能を持ったフルサイズセンサーを採用したミラーレス一眼レフカメラEOS RP。現行ラインナップでは、他社製品も含めて最もリーズナブルに入手できる機種であり、それだけでも魅力的なモデルだ。
しかし一方で、動画撮影上致命的な欠点もあるため、入手には注意も必要となるだろう。もちろん、そもそもがスチール撮影用のカメラなので、欠点のない動画撮影性能を求めるのが間違っているのかもしれないが。

今回は、エギングという特性上、日中の撮影がメインだった。シーバスやアジングといった夜間撮影がメインとなる場合は、明るいレンズとEOS 6D MarkⅡ譲りの高感度フルサイズセンサーの組み合わせで、ビデオカメラにはない表現が可能となってくるだろう。また、被写界深度の設定幅が広いという、大型センサーならではの表現も楽しめるのも魅力だ。

現状、高価で重いレンズラインナップしかないRFマウントだが、EOS RPのコンパクト&軽量ボディを活かせる、軽量&安価なレンズのリリースを期待したいところだ。




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