マグロは刺身って誰が言った!? 江戸400年の鍋料理”ネギマ”食ってから言えってんだ【釣り師のレシピ】



鍋シーズン到来!! シンプルかつスピーディーな鍋料理をご紹介。具は「ネギ」と「マグロ」のみという「いさぎよさ」。煮えたとこから食っていく「せっかちさ」。「ネギマ」という略し方もなかなかストレート。まさに江戸っ子気質を体現した料理です。鍋というと大人数&具沢山のイメージですが、ネギマはお1人様にもおススメです!! 

味の最大のポイントは作り手のメンタル マグロのチョイスがカギ

国産ホンマグロとかもってのほか。これは味の仕上がりというより、作り手の精神衛生のために大切なことです。「もったいない。刺身の方が……」という気持ちに支配された時点で、この料理は美味しくなくなります。あなたの負けです。

ホンマグロでもアラが手に入れば最高なのですが、もう少しお手頃価格のメバチとかキハダとかビンチョウの、ブツ切りや切り落としをチョイスしてください。

万全を期したいのであれば、20時すぎて、30~50%オフになるのを待ちましょう。

さあ、心置きなくマグロを鍋で煮ちゃってください。

マグロとたっぷりの長ネギの鍋。マグロの旨味と脂を吸い込み、クタクタになった長ネギが絶品。

作り方も材料も江戸っ子らしい「いさぎよさ」


材量……マグロ・長ネギ・水
調味料……酒・醤油・みりん(めんどくさい人は麺つゆでOK!!)

1・つゆを作る めんどくさけりゃ、麺つゆでもOK

土鍋で水、酒、醤油、みりんをでつゆを作る。イメージはかけそばの汁を、ちょっと濃い目の甘目にした感じ。とういわけで面倒くさい人は麺つゆでもOKです。

2・長ネギを焼く

3~4cmくらいに切った長ネギをグリルで焼く。焦げ目がつくくらい。鍋で煮るときに火が通りやすくなります。水気を飛ばすことで味も染みやすくなります。油をひかずにフライパンでやってもいいですよ。

長ネギの青いところは焼かなくてもいいです。

3・長ネギの焼け具合をながめつつ呑む

今回はお手頃価格がさらに50%オフになったビンチョウの切り落としと、メバチのブツ切をチョイス。

すみません、「もったいないと思ったら負け」と言いながら、ネギが焼けるのを眺めつつ、ワサビ醤油でつまみながら呑んでしまいました。

上がメバチマグロのブツ。下がビンチョウの切り落とし。呑みたくなるって。

4・マグロとネギを煮る

フタをして強火で。吹いたら火を止める。あとは土鍋の保温力で火が通っていきます。

煮すぎるとパサパサになるから、煮えたマグロからどんどん食っていきます。この辺もせっかちな料理ですね。
そうこうしているうちに長ネギも火が通って味がしみてクタっとしてきたら食べごろ。

お好みで、七味で味を引き締めてもよし。山椒でもいけますよ。

長ネギの1本や2本はあたりまえ~。マグロの味が染みてうまうまです。

5・江戸前なんだから締めはソバ

鍋の締めといえば雑炊やウドンですが、この鍋に関してはソバだと断言します。江戸前の料理だし、味付けも「かけそば」のイメージですからね。

つゆに溶けだした長ネギの甘味、マグロの上品な油が、ソバとの相性バツグンです。

キレイな脂でしょ~。ネギの甘味もソバと相性バツグン!!

補足……この鍋において長ネギとマグロは同格です。煮えて甘くなった長ネギに、マグロの脂と旨味が染み込んでたまらんです。1人前で1本入れちゃいましょう。

マグロがお安く手に入るタイミングで多めに買って冷凍しとくのもひとつの手かもしれませんね。手頃なマグロが手に入らなければ、メカジキでもイケます。



「ネコまたぎ」を昇華させた江戸前の知恵

まだ冷凍技術のなかった江戸時代、魚は醤油にヅケにすることで日持ちをさせていました。しかし脂の多い部分、トロは醤油をはじいてしまうためヅケに向かず、傷みも早い。また「さっぱり」とした味を好む江戸っ子の舌にも合わなかったのでしょう。「ネコまたぎ」と蔑まれていました。

そこで編み出されたのがネギマ鍋。火を通して脂を溶かし、それを長ネギに吸い込ませる。そして長ネギの香りが魚の臭いを消してくれるという相乗効果。江戸前の知恵が生み出した料理と言えますね。

「ネコまたぎ」と言われたマグロですが、現在は高級魚。『釣りPLUS』のネコ人間も大好物♡

本日の居酒屋「俺ちゃん」

今回は故郷・四万十の栗焼酎「ダバダ火振」をチョイス。水と半々に割ってお燗で。温めることで、料理の味を口の中でふくらませてくれます。栗の香りが秋の夜を感じさせてくれました。

例によって料理完成時にはいい感じになってしまい、写真がブレブレ。webディレクターから「ほんとポンコツだよな」となじられました。

紹介した商品のお求めは…

ダバダ火振


[釣りPLUS]>> HOME