ソルトルアー界の異才・井上友樹の視力の領域を超えた”視るチカラ”の不思議!



トッププロアングラーにはなぜか”カン”の強い人が多い

見えないモノが見える(いわゆる霊感と言うのかもしれないが)…。撮影が深夜に及ぶソルトゲームの取材をしていると、トッププロの中にそのような感覚が強い人が多い、という事実を思い知らされる。

しかも調べてみると、ソルトというジャンルに留まらず、トッププロと呼ばれる人たちには、なぜかそのような感覚の持ち主がが多い。

他の人には見えないモノが見える。この場合「見えない側の人間」からすると、見えている人たちは、具体的に視覚として見えているのか? それとも、五感もしくは六感のセンサーが作動して、脳内で視覚化して見えているように感じているのか? そこが分からない。

もしかしたら「見えている側の人間」にも、その違いの判別は困難なのかもしれない。ただ、結果的に「見える人と見えない人」が存在する…という現実だけは明確なようだ。

日本屈指のルアー開発者、井上友樹さんとクワガタの関係

井上友樹 いのうえ・ゆうき ジャンプライズ代表。ヒラスズキの世界記録をはじめとした、ショアからの大物ハンターとして人気が高い。ターゲットは大物だが、釣りの精度と理論は緻密を極めている。さらに、ルアー構想から、内部構造、CADデータ、プロトモデルの削り出しまでを、一人でこなす日本有数の天才的ルアー開発者としても知られている。

霊感とかいう仰々しい枠組みを外したとしても、トップアングラーの「視るチカラ」の中に、視力を超えた得体のしれないパワーを感じることは多い。その一人がジャンプライズ代表の井上友樹さん。

毎年夏になると、井上さんと一緒に深夜の森で、クワガタを採取するのが僕の楽しみのひとつなのだが、そのときの井上さんの「視るチカラ」が凄すぎる。

10メートル級の木々が密集している深夜の森は、真の暗闇で一筋の月明かりも差し込まない。結果的にライトで照らされる一部の範囲以外は何も見えない。ライトを木の上部に向けて照らすと、枝と枝が複雑に絡み合っており、木の上部にいくほどクワガタを発見するのは困難。



クワガタ捕りにも存在する見える人と見えない人の違い

そんな中、井上さんだけが凄まじい速さで、木の上部のクワガタを発見する。井上さんがピンポイントで強力なライトを当てて「あそこにクワガタいますよね(笑)」と、説明してくれても、その場に居るメンバーの誰も、そのクワガタを再認できない。

しかも井上さんは千葉県では希少なミヤマクワガタを効率的に深夜の森で見つけ出す。1時間も経つと井上さんの虫カゴはミヤマクワガタでギュウギュウになり、それ以外のメンバーの虫カゴには、良くても数匹のノコギリクワガタがスカスカに入っているにすぎない。

井上さんと一緒に採取したコクワガタ。自宅で飼育していたら、土の中で冬眠して無事に冬を越した。

この差はすべて、クワガタを発見する「視るチカラ」の違いから端を発している。ちなみに単純な視力面では、クワガタ採取メンバーの中にも、井上さんと同等の視力の持ち主も混じっている。この場合、あきらかに視力とは別次元の領域で「見える人と見えない人」が分別されているような気がする。

井上さんは、時季と、その日の風向き、湿度、温度、天候などによって、その夜のクワガタ採取方法を選択している。つまりは、井上さんは、それだけクワガタの生態に詳しく、知識と経験がある。

そうしたバッグボーンが「視るチカラ」を何らかの方法で補完して、その結果として、井上さんだけにしか見えないクワガタと、他のみんなにも見えるクワガタの数の違いとなって現れているような気がする。

井上友樹さんにしか視えない細かい情報

井上さんにとってクワガタ採取はもちろん遊び。遊びのクワガタ捕りにここまで熱中できる井上さんが、本業の「釣り」と「ルアー開発」に対して、完全にリミッターカットして情熱を注ぎ込むことは容易に理解できる。

ヒラスズキ、ヒラマサ、ヒラメ、マダイ、ショアクロマグロ、ショアGTなどで、次々と記録級の大物をキャッチしている井上さんは「持っている男」と称されている。

外洋ゲームがメインの井上さんにとって、サーフは重要なフィールドのひとつ。

自身でも大物をキャッチするたびに、「いや~ついてましたよ~(笑)」と謙遜しながら言うが、その裏側は、膨大な実釣経験に裏付けされた「井上さんにしか視えない細かい情報」と、「研ぎ澄まされた感覚」で支えられていることは疑いの余地がない。

なにしろ、井上さんは気圧の変化を肌で感じ、風の変化を予測して、釣り方と狙い方を緻密に変えていく繊細さと、アスリート級の体力を持ち合わせている稀有な存在のアングラーなのだから。

ジャンプライズの伝説はロウディ130Fから始まった。

そんな井上さんが、自身の実釣経験と研究成果、そして過剰なまでの情熱と、持てる限りの時間を注ぎ込んで開発している、ジャンプライズ製のタックルが、広く支持されているのは当然の理のような気がする。

ロウディとベビーロウディは単なるリサイズではない。開発コンセプトから使用目的まで異なるモデルである。

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ジャンプライズ


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