「まずは小バスと遊んでください」。福島健、かく語りき。
ルアーマガジン誌でお馴染みの人気企画・陸王。昨季2016年は、”新時代の到来”を予感させる伊藤巧さんがチャンピオンカーニバルを制したが、伊藤さんが勝利を決めたとも言えるウイニングルアーを覚えているだろうか。
そう、『ファクト・ラストエース75』(エバーグリーンインターナショナル)のノーシンカーリグだ。
この名作を開発したのは、国内最高峰トーナメント・JB TOP50シリーズで活躍するバス釣り職人・福島健さん。数々のビッグタイトルを総なめにしている超実力派だ。
先ごろ、思いがけず開発者本人にお話を聞く機会に恵まれた。
なぜラストエースは釣れるのか、どう使うのか。それを象徴するのが見出しの言葉だったが…小バスと遊ぶ? はて? いったいどんな意味なのだろうか!?
2016陸王、予選&決勝で八面六臂の大活躍!!
…と、その前に、昨季の陸王ハイライトをご覧いただくことにしょう。このラストエース、実に数奇な運命を辿っていたのだ…。
タフを極めた2016陸王第2戦in北浦(茨城県)。
シーソーゲームの末、対戦相手の川島勉さんを破ったのが金森隆志さん。試合2日目、最後の最後、とある水門へと向かうバスの姿を確認するや、ラストエースのノーシンカーで1120グラムをキャッチ! これが勝利の決め手となった。(ルアーマガジン2016年8月号)
2016陸王チャンプを決めるチャンピオンカーニバルin旧吉野川(徳島県)。
これまたシーソーゲームとなった一戦で金森さんを僅差で下したのは伊藤巧さん。
伊藤「夏に金森さんに教えて貰ったラストエースのサイトで獲りました!(笑)」、金森「もうタクミには何も教えねぇ!(笑)」(ルアーマガジン2017年1月号)
金森さんは得意技の1つであるサイトフィッシングを伝授した伊藤さんがチャンプの座を獲得。金森さんにとっては実に皮肉な結果となったが、いずれにせよラストエースのもたらした功績は大きい。セッティングしたリグはどちらもノーシンカーだった。
そうなると、ラストエースはやはりノーシンカーリグでこそ威力を発揮するワームなのだろうか。まずはそこが気になった。
それでは、開発者である福島健さん本人に聞いてみることにしよう。
「基本はノーシンカーです。オモリがあると止めたい水深で止まることができず、下へ落ちてしまうじゃないですか?」
中層狙いを基本とするラストエース。全長は75ミリで細身。パッと見するだけでも単体重量はごく軽いことはわかる。ノーシンカーで狙いの水深まで到達させるには軽すぎやしないのだろうか。
「オモリの役割は、ハリが果たします。とはいえ、より深くへと沈めるにはジッとガマンも必要です(笑)」
使用するのはマスバリ#2が基本。より深場へ到達させ、より飛距離を求めるなら太軸の『ワーム324ハンガースタイル』。比較的水深が浅く、タフな状況であれば細軸の『ワーム329ハンガーSF』(共に、がまかつ)か、もしくは前者のサイズを下げて使うのだという。
ハリ先は下側にセットして、常に安定した姿勢を確保すると共に、操作時はフック自体が船のキールの役目を果たすことも考慮に入れている。
陸王戦でのラストエースノーシンカーリグ公開
こちらは金森さんのセッティング例。フックはパワーワッキーガード#4(フィナ)をセット。サイズは小さめで動き重視、ガード付きでスナッグレス性を向上。
マッディウォーターの霞ヶ浦水系戦だけに、カラーは派手かつ目立たせるスケルトンチャートチャートを使用していた。
伊藤巧選手は、フォグショット#2(リューギ)をセット。ステインな旧吉野川だが、狙ったのはクリアな上流域。
カラーはプロブルーがメインだった。
使うタックルはスピニング。福島プロの場合、『ファクトHFAS-61ULST』で「操作を重視」、『ファクトHFAS-65ULST』では「飛距離重視」で使い分け。いずれも繊細なソリッドティップに張りのあるベリー〜バットを組み合わせたフィネスモデル。
ラインは『バスザイルマジックハードR』(いずれもエバーグリーン)の4ポンドを軸に「よりタフな現場や飛距離を求めるときに3ポンド」を使用。ラストエースならではのアクションを活かすために「4ポンド以上に太くすることはない」ことも付け加えておこう。
さぁ、これでリグのセッティング、タックルの基本もわかった。お次はどう動かして、どんなアクションを見せれば釣れるのかが知りたい。
すると、福島プロはこう言い放った。WHAT’S?
「まずは小バスと遊んでください」(2度目)
「『どう動かすか?』…ですか? トゥイッチするだけです(笑)」
そりゃあそうでしょうけど…。トゥイッチとは竿先でチョンチョンとアオって、水中のラストエースにアクションを伝えること。
どんな動きを見せてくれるのかはこちらのエバーグリーンインターナショナル公式動画をご覧ください。
まさに小魚そのもの! このアクションはどうやって生み出すのか、コツはあるのか。そこを知りたいのだが、見出しの通り、福島プロは小バスと遊べという。
「クリアウォーターで見える小バスを相手にして『どう動かせば反応するのか』を知ることが大切だと思うんです。そうすれば、眼で見えない深い水深やマッディウォーターで使う時もしっかり食わせることができると思いますよ」
なるほど。福島プロは安易な言葉で使い方を伝えるより、自らの眼で、そして体で覚えることを勧めているのだ。
「それを知らないと、バスが食おうとしている瞬間にラストエースを動かしてバスから遠ざけることにもなりかねませんし」
百聞は一見に如かず。水中のFACT(=真実)は、一朝一夕では手に入れることはできない…ということなのだろう。実に、福島プロらしい回答だった。
さぁ、今度のお休みはフィールドへラストエース修行にでかけようか!
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