パシフィコ横浜で開催された「ジャパンフィッシングショー2017」の最終日。ジャッカルブースの裏手に設けられた「サブステージ」では業界初の試みとなるトークショーが開かれた。その内容はバスフィッシング専門誌「バサー」(つり人社)「ロッド&リール」(地球丸)「アングリングバス」(コスミック出版)「ルアーマガジン」(内外出版社)の4誌の編集責任者が一同に会して対談。今回はそのトークショーの中から、一部を書き起こしたログをお届け!果たして、どんな激論!?が繰り広げられたのか?
バスフィッシング4誌編集長が集まった異色の「裏」トークショー!?
野村英之(以下野村/ルアーマガジン) どの辺までOKなんですか?
小野俊郎さん(以下小野/ジャッカル) え?オレはOKだよ。言われて困ることあんまり無いから。多分ね。裏ネタも含めて、ここで話を出来ればなということで、バスフィッシングの専門誌の編集長4名の方に来ていただいて、色んな話がここでできればなと。じゃあ簡単に自己紹介を。
野村 ルアーマガジンの編集長やってます野村です。あと釣りプラスっていうね、ウェブサイトも最近立ち上げたんで。
小野 全然宣伝もOKです。
野村 こちら(釣りPLUS)の方もチェック、よろしくお願いします。
堀部政男さん(以下堀部/バサー) 月刊バサーの編集長をやらせていただいております堀部政男と申します。バサーです。(バサー2007年10月号の表紙を見せ)これ誰だかわかります?
小野 僕の(写真)!
堀部 10年前ッスよ確か。
小野 6歳とかの頃の写真だよね。小学校あがるか上がらない頃の写真だと思う。
堀部 こんな雑誌作ってます。よろしくおねがいします。
田沢寛さん(以下田沢/アングリングバス) みなさんこんにちは。アングリングバスという雑誌を編集しております。田沢と申します。バス雑誌は基本的に26日発売なのですが、わたくしどものアングリングバスは21日発売ですので、こちら、是非よろしくお願いします。あと、2ヵ月に1回です。よろしくお願いします。
山本克典さん(以下山本/ロッド&リール) ロッド&リールと言う雑誌の現場の責任者ですね。山本と申します。よろしくお願いします。うちも26日発売です。それだけは覚えて帰ってください。よろしくお願いします。
小野 ということで、結構、お互いの雑誌って見たりするの?
堀部 めっちゃ見ます。
小野 バサー(編集長)は見る?
堀部 めっちゃ見ます!雑誌が基本的に好きなので。
小野 個人的にもみるんだ。
堀部 個人的にも見ますし。
小野 仕事としても見る?
堀部 そうですね。競合他誌としてもみますけども・・・うち今、編集部員が3人なんですけども、佐々木、谷川というのがいるんですが、全員雑誌が好きで全誌読んでます。よく読んでます。みんな。
小野 結構雑誌オタクで、趣味と実益を兼ねて見るって事だね。
堀部 変わらないッスね。
小野 なるほどね。その辺は田沢さんとかどうですか?
田沢 読みますね。特に、バサーさんとかは毎号楽しみだし、ロッド&リールさんもルアーマガジンさんも、情報豊富で毎号楽しみに読んでいます。
小野 なるほどね。山本さんは?
山本 もちろんここのライバル三誌含め、あと海外のも好きで、アメリカのフィールド&ストリートとか、フライアングラーとか、海外の本のデザインなんか向こうが結構大胆な事やってるんで、そういうのを参考にしてるのによく読んだりしてますね。
小野 なるほどね、いままで3社、結構優等生的な応えですね。そろそろぶっこんでもらいますか。
野村 あの、僕ね、自分の雑誌すら読まないです。
一同 笑
野村 っていうのが、記事作るでしょ、あがったPDFっていう記事になるデータを全ページ読むんですよ。しかも、編集長なので、要は表紙から、最後のページまで読まないと仕事が終わらないというか、全ページの写真とか文章をチェックするのが僕の仕事なので、それを最低でも2回位全記事を読むんで、本が出る前に、要は読んじゃってる。
小野 そう。お腹一杯になっちゃうんだ。なるほどね。
野村 で、終わったら、また次の号の取材とかがあったりして、他誌が会社に届いてるんですけど、だいたい月の頭くらいまでは読めないから。そう言う感じです。
小野 そういった意味では、現実的にそうなのかもしれないね。編集長業務やってるとね。
野村 雑誌は好きですけど、読むのも好きですけど、自分のところの雑誌はそんな感じで。
小野 でもさ、そういった意味では堀部くんもおんなじことやってるわけじゃない?
堀部 出来あがった後で、読みますね。
小野 それはそれでイタイよね。凄いよね。それだけ好きって事だね。
堀部 変わるのかなって思ったんですけどね。
小野 全然変われなかった?
堀部 変わんないッスね。
野村 読者の頃と同じってこと?
堀部 変わんないッスね。マイケルさんの隣に座ると、まだ黒鱒(道中膝栗毛※バサーの人気連載だった)の時のマイケルさん!みたいなね。松島(秀樹)さん(現ルアーマガジンモバイル責任者/元バサー編集長)とは職場で重なった時期もありましたけど。違う意味でドキドキしてましたね。
小野 というわけで、しょっぱなの掴みはここまでとして、まず第一回目のテーマ。
バス雑誌編集長が「今年注目しているモノ、ヒト、釣り」とは?
小野 まあこれ、モノでもヒトでも釣りでも何でもいいんですが、一つ、書いていただけますか?何でもいいや。時間も多分押してくると思うんで。なんか自分はこれって思うものを。
有る意味、釣り雑誌の編集長って、一番色んなところにアンテナを張ってる人たちだと思うんですよ。業界の中でも。どうしてもね、メーカーだとね、例えば競合メーカーだったりだとか、もちろん、自分たちの会社だったりとか、視野が狭くなりがちなんですが、釣り雑誌は色んな所から拾ってこないといけないし、読者からのフィードバックもダイレクトにあるんで、有る意味一番情報を持っている所だと。
そういった意味で、ここで書いてもらえる話は凄く、ヒントになるんじゃないかなって、僕自身も楽しみなんですが。ハイ。ということで、じゃー出来あがった人から行きましょうか。マイケルさんどうぞ。
野村 はい。パックロッド。
小野 きましたね。
野村 これです。
小野 いきなり自分の趣味の世界に入り込んで。
野村 まあパックロッドって、例えば、4ピースとか5ピースとか、とにかく、コンパクトになる竿。っていう事です。
これは、僕が良く電車とか新幹線で取材に行って、思う事で、1ピースの竿ってすごく邪魔なんですね。持ち運びが不便。だけど、釣りはしたい。なので、パックロッドをかばんに入れておくと、もしかしたら釣りが出来るんじゃないかっていう気持ちになるでしょ。っていう気持ちを、みんなも持てるかなと。
小野 なるほどね。
野村 釣りが出来るかもしれないって毎日思えるわけですよ。
小野 極端な話、会社に行くよと。そこのバッグに、パックロッドを忍ばせてるだけで、いわゆる、釣りっていうものが、仕事をしている時もアフターファイブも、心のどこかに必ずあって。
野村 常に釣り気分でいられる。
小野 釣りをより深く広く、楽しめるようになるっていうことですね。なるほどな。それはホントに編集長の中でも随一の釣り好きを自負するマイケルさんならでは。
でも実際ね、パックロッドって有りだと思うんですよ僕自身も。ちょっとしたところで、僕らも海外の仕事とか多いので、そういったところでパックロッドがあると確かにね、水を見るとやっぱり、みんな経験があると思うんですけど、例えば、川にかかる橋を渡るときに、必ず水の中を見ますよね。なんか泳いでないかなって。やっぱり釣り人の本能なんだと思いますね。そういった意味では、パックロッドって凄く、ありですよね。じゃあ次は順番に、堀部さん。
堀部 僕ですか。釣り、人、ものって三種類あったんで、全部考えてきて、しかも数も限定が無くて色々考えてきたんですけども。いやーすげーきついなと思いながら、カンペ作ってきた中で結局書いたのはジャックハンマーです。エバーグリーンのチャターベイト。
あの、(バサー)オールスター(クラシック)で初めて清水盛三さんがこれのプロトタイプを投げたのがもう3回前の大会で、延々表に出せない時期があって、去年の春にもうそろそろ出るって話になって、取材をしたんですけども、結局去年出無くて。
店頭に並ぶ前に、アメリカのうちのライターで、雨貝健太郎さんていうライターがいるんですけども、ジャックハンマーってもう普通に日本で買えるのかって電話で聞いてきて、どうしたんですか?って言ったら、欲しがってるやつがいっぱいいて、もう出てるのかって話になって、いやまだ出てないって言って。3年前からひっぱりひっぱりで、遂に出るんで。もう概念とか何でもないんですけど、このもの、注目してます。
小野 いや実は、僕もこのルアーはつい最近まで知らなかったんだけど。もちろん発売もされていないから当たり前なんだけど、昨日も実はエバーグリーンの社長とご一緒させていただいて、ジャックハンマーって連呼してたので、これ、相当何かあるんだろうなって思ったら、そういうことだったんだね。
確かに釣りに興味がある人って、やっぱりテンションに油を注入するなにかって欲しいじゃないですか。
堀部 はい。
小野 そういった意味では僕らはジャッカルってメーカーなんで、そう言った意味で、油を注入するためのルアーとかね、いろんなもの。最近の言葉で言えば、ものとかことも色々考えているんですけど、そう言った意味でこのルアーってほんとに期待できる感じがするね。
堀部 そうですね。楽しみにしてます。
小野 ブースに展示してあるのかな?
堀部 ありました。
小野 それじゃぜひ、この話を聞いた後は、エバーグリーンさんのブースに行って、ジャックハンマーを見てくださいっていうこの、ジャッカルの社長が言う、おかしなね。フリーですね。他の会社じゃ謹慎処分になっちゃうかもしれないけどね。まあ、いいでしょう。
堀部 僕がこのあと謹慎処分になるかも。
小野 後でミーティングね。
一同 爆笑
堀部 やっぱり。
小野 次は田沢さんです。
田沢 アングリングバス編集部の田沢です。私が注目するのは、人、JBトップ50の高梨洋平プロです。
小野 去年から参戦してる選手ですよね。
田沢 去年1年目のルーキーで、開幕戦でかなりの活躍をなさいまして、予選をトップ通過。で、最終日はちょっと・・・
小野 エンジントラブルかなんかだよね。
田沢 そうですね。だったんですけれども、それでも、最終的に6位をとって、昨年の総合でも17位。非常に興味を持っています。桧原湖の方なんですけども、さめうらの時はディープクランクとか、スイムベイトという、全然桧原湖のイメージじゃない釣りが得意のようで、今年、どう成績を伸ばしてくるのかあるいは、そうならないのか、色んな所に注目している人ですね。
小野 なるほどね。トーナメントアングラー、特に若いトーナメントアングラーって、結構みんなの中でイメージがあるのはフィネス中心ってイメージだと思うんだけど、実際そういう部分もあってすごく器用な選手が多いんですけども、中にはこういった個性的な選手もいるんで、そう言った意味ではもっとトーナメントが盛り上がるようにって、すごく貴重な人材かもしれないですね。
僕も一緒に戦ってて、ちょっとオッキー(澳原潤プロ)に近い感じだね。匂いがね、僕の中では。ようは、結構、小手先が小器用なテクニックじゃなくて、鉈でぶった切る様な釣りをする選手だなってイメージがあったんで。改めてこうやって聞くとなるほどなって。負けないようにオレもがんばるよ今年。最後はじゃあ、山本さんお願いします。
山本 はい。うちはここ3年くらいで、各社さんともプレゼント応募用の読者ハガキ・アンケートはがきを回収してらっしゃると思うんですけども、ここ2、3年で特に、10代のハガキが増えまして。
ほんとに11歳とか8歳と15歳とか、ほんとにお父さんがほぼ買ってくれてて、お子さんが応募してくれてるのかなってのもあるんですけど、鉛筆の字でですね、必死に書いて、有名なアングラーさんの似顔絵、秦さんの似顔絵なんか書いてくれたりして。
そういうことで、若手アングラーが今年も、すごく注目したいなと。
山本 マーモ(加木屋守)君もいますけど、それはヨイショてのもありながらなんですけども、例えば、30歳以下の若手アングラーっていうと例えば、ノリーズの伊藤巧くんであるとか、他にもご存じの方が沢山いらっしゃると思うんですけれども、そういう若手、これから出てくる、若しくは最近チラチラ出ている若手アングラー、水野(浩聡)くんなんかもまだ若手の中に入れてもいいのかななんてちょっと思いながら、彼なんかちょうど若手からベテランになりつつあるような感じだと思うんですけど、そういう若手のアングラーには特に今年、また注目していきたいなと思っています。
小野 そうなんだよね。こんな場なんでぶっちゃけで僕も話すんですけど、結構、釣りって、僕も来月で50(歳)なんですけども、年を重ねるごとに経験知が上がってくるんで、上手くなっていくノビシロが年をとりながらも有るスポーツだと思うんですよ。
スポーツを見た場合に、どうしてもフィジカル的な要素がすごく大きくなってくるんで、やっぱり経験が積み上がって上手くはなれるんだけど、そのフィジカルの落ち込みはカバーできないって時がやっぱり釣り人にも早くきちゃって、普通のスポーツであればだいたい35前後からいよいよ徐々に引退っていう道に入ってくるんですけども、達が悪い事に釣りは50でも60でも頑張ってるおっさんがいっぱいいるんで。まあ構造的な問題として、新陳代謝では測りきれないんだよね。
そういった意味では、ジャッカルもそうなんですけど、何で、ジャッカルはこれだけ若いプロに力を入れるのかってのはそこで、やっぱり若いエネルギーっていうのは、ベテランではこう、踏み出せない大きな力というか流れって言うのが絶対あると思うんですよ。これ、ベテランアングラーだと絶対に出来ないんですよね。
だからそれもあって、マーモもそうだし、(五十嵐)将実もそうだし、まあ水野とかその辺もそうなんですけども、どんどん若いアングラーに活躍の場をジャッカルは提供しているんですが、業界全体で若いアングラーをね(バックアップしていきたい)。
山本 釣りって、前に加藤(誠司)さんがおっしゃってたんですけど、伝承していく遊びだと。ようするに、年輩の方も若い人も一緒に楽しめるんだけど、同じ話題で盛り上がれる。お前釣った?今日釣った?みたいな感じで。やっぱそれって伝承してこそやっぱり釣り、遊びが長く続いて行くことだと思ってますんで。
小野:そう言った意味で、若いアングラーはどんどんどんどん出てくれて、僕らは彼らに伝承して、彼らがまたその下の世代に、それこそ小学生とかそういうお子さんに伝承していけたらいいですよね。確かに。予想以上にいい感じに、まとまりましたね。
一同 笑
トークショーはこのあともさらに続き、「ジャッカルってどんなメーカー?」「雑誌の編集長達が伝えたいこと」というテーマでも、各編集長がアツいトークを繰り広げた。「他誌で、うわっ、やられた!っと思うネタは?」というテーマについては、バサーのsiteBで動画も公開されているので、そちらをチェック。
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