ギミックタイプのエギジャンルに新潮流!?
エギングブーム以来、様々なタイプのエギがリリースされてきたが、いま市場を見渡すと、結果的に残っているのは比較的オーソドックスなエギがほとんどだということに気づく。ギミックを施したエギの数々は、しばらくするとその姿を見なくなることが多い。
その定説を打ち破り、多くのエギングアングラーに受け入れられ、今や、すっかり定着したギミックタイプのエギと言えば、DUEL(デュエル)のパタパタ®シリーズだろう。今さら説明不要だとは思うが、ボディ下部に搭載したエラストマー製のパタパタ®フットが水流ではためき、その際に発する波動でアオリイカを誘うという仕掛けが大きな特徴のひとつ。
このギミックタイプのエギのジャンルに、今、真っ向から勝負を挑んでいるのが、ヤマシタの「エギーノ ぴょんぴょんサーチ」だ。
詳細は割愛するが、オモリにリップを搭載していたり、カンナ側にアイがあったりと、ひと目見て、これまでのエギのどの文脈にも属さないということがわかる。数ある特徴の中でも、ひときわ目を引くのが腹部に付けられたフット…、いやレッグだ。
DUELのパタパタシリーズがエラストマーでそれを表現しているのに対し、ヤマシタは3本の羽根でそれを表す。実際にどんな感じではためくかは、下の動画をご参照下さい。
エギーノレッグと呼ばれるこの羽根は、シンカー部に搭載されたリップが作る水流の影響もあってか、ハタハタとはためきエビが水中を移動するような動きを演出。ただ巻きでも、アオリイカを誘い出す能力は高いと思われる。実際に少し試した印象では、エギというよりもミノーに近い操作フィールだった。これはやはり、リップがあるということが大きく影響しているのだろう。フット、いやレッグ、いやフット…、もういいや、アシ。アシが羽根なので抵抗が少なく、トゥイッチでキビキビと動く。ただ巻きで誘ってもOKだし、このあたりは従来のエギとはかなり違った印象。
2017年のDUELエギ「パタパタ®」シリーズ
一方、ギミック界で一歩も二歩もリードしているDUELも、もちろん、手をこまねいて見ているわけではなく(エギーノ ぴょんぴょん迎撃を意図したわけではないとは思うが)、新たな提案を搭載したエギをリリース。従来よりも引き抵抗を軽くするため、2本のフットを1本に減らした(パタパタ®フットライト)EZ-Qダートマスター、ムナビレ部分に装着される羽根をエラストマー素材のフィンにしたパタパタQ スローの2つだ。
エギング業界の2大メーカーがギミックタイプを次々と投入したのはとても面白いことだなぁ、と思いつつ、個人的に興味を惹かれているのは、パタパタQスローだったりします。フィンにわざわざ切れ込みを入れることで、1つの羽根で2つの表現を試みているあたり、開発者でもある薗田隆二さんの奇才っぷりが遺憾なく発揮されているなぁと感じます。あと、カンナの後端にシレっと付いてるオモリも気になる。
これ、シャクリ挙げた後一瞬の水平姿勢に移行し、頭下がりのフォール姿勢へと続く一連のアクションの中で、少しでも水平姿勢を長く保つために効果があるそうなのですが、それ、ユーザーに伝えるの難しいっ! けど、面白い。こういうこだわりを見せられると、使ってみたい欲がそそられますよね。
コアなアングラーは「ストーリーのある」タックルを求める…
エギングに限らず、趣向を凝らした新製品が多くリリースされるソルトルアーフィッシング業界。品質もボトムアップされ、低価格化も進む中、コアなアングラーは新製品に何を期待するのか?
それは、そのカタチに至った物語なのではないかと思っています。
「どれも同じ」ではなく「他とは違う」という差別化、そしてそこからさらにもう一歩踏み込んだ、「違いに至った必然性のあるストーリー」が心に響いたとき、対価(あるいはそれ以上の財)を投じてでも、その「違い」を手にしたいと感じさせるんじゃないかと、自身の経験を通じて感じます。
(「あっ、コレいい!」と思った瞬間、金銭感覚がマヒして、買う買わないの次元を超越して、どうやって金を工面しようかという思考に至る感じ、ありますよね)
えっ? お前の作る雑誌にはそれがあるのかって? 精進します…。
というわけで、ルアーマガジンソルト、どうぞよろしくお願いします。
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