ルアーマガジンにて”次世代CEO座談会”という記事を作ったときのこと。語ってもらったのは川村光大郎氏、金森隆志氏、青木大介氏3名の”社長”。まあまあこの業界に長くいる(笑)マイケル野村Pが、3人の陸王デビューにまつわる昔話を振り返る。
10年前も今も、岸釣りのエキスパート。
川村光大郎さんには、人気企画「陸王」の第1戦目に登場してもらいました。対戦相手は関和学さん。掲載は2008年1月26日発売3月号。
10年経った今でも大人気の企画ですが、実は当時の編集会議での何気ないひと言がキッカケでした。
「寒い時期だから、岸釣りで2人でやってもらえば何本か釣れるよね? それを対戦にすれば面白いんじゃない?」
なんせ初めての試みなので、「水がつながってたらどこでもOK」という大まかなエリア設定でした(笑)。俺は対戦相手の関和学さんの取材担当で、栗山川まで2時間ほどかけて移動したのを覚えています。
一方川村さんは初日、真冬にもかかわらず与田浦を中心に2キロアップの良型を含むリミットメイクに成功。ウエイトは5キロオーバーで関和さんを圧倒。2日間のトータルは8キロ超えという驚異的な釣果を叩き出して決勝戦へ。
決勝戦は秋の霞ケ浦水系で開催。この時は「流入河川は橋1本目」というエリア設定でした。決勝戦でも川村さんはドライブクローで2日間釣りまくり、見事初代陸王の座を獲得。その後の活躍は皆さんもご存じのとおりです。
衝撃の陸王デビューを飾った「カナモ」という怪物くん
「1か所で何本も50アップ釣って、ほんとすごかったです!」
陸王初日終了時、金森隆志さんの取材を担当したフカポン(現ルアマガソルト編集部)が興奮気味に言いました。
初日のスコアは5本で6キロオーバー。俺は江口俊介さんの担当でしたが、どんな釣りをするのか見てみたい! という気持ちがいっぱいで、フカポンに頼んで担当を変わってもらいました。
そして対戦2日目。
とあるワンドに到着した金森さんは、しゃがんだまま水面を凝視していました。そして偏光グラス越しにバスを捉えると、バスの鼻先にノーシンカーワームをキャスト。ワッキーがけされた8インチワームが水面でピクピクと動き続け、バスは何のためらいもなく大きな口を開きました。
8インチワームで次々とグッドサイズをキャッチ。しかも1か所で延々粘り続けるという、当時見たことのないスタイルでした。他誌で50アップを連発してるのはチェックしてたけど、まさか陸王取材中にそれを目の当たりにするとは…。
当時、JBトップ50で連勝していた江口さんをダブルスコア以上で圧倒したあの連発劇は、今でも忘れられません。
そして金森さんは2011年にレイドジャパンを立ち上げ、今年から江口さんがレイドジャパンの一員に。「思えばあの陸王がすべての始まりでした」とは、金森さんの言葉です。
「初代陸王」を倒した「職業バスプロ」
青木大介さんの陸王デビューは2009年。2008年JBトップ50の年間チャンピオンを獲得し、最強の若手トーナメンター(今でもめっちゃ強いけど)という印象でした。
対するは初代陸王、川村光大郎さん。3月上旬、霞ケ浦水系での開催でした。
横利根川の護岸に到着した青木さんは「プラで50ぐらいの釣ってるんですよ」と言ってベビーシャッドをキャスト。
リーリングで潜らせて、沈みブロックにリップが当たるとポーズを入れて2~3回トゥイッチ。この動作を続けていると、ロッドが激しく曲がりました。
開始10数分でキロアップを釣り、その後も同じ釣り方でキロアップをキャッチ。3月上旬とはいえ気温も水温もひとケタ台。バスってこんな簡単に釣れるの? と錯覚する展開。
初日はこの2本で終了。
2日目はお昼過ぎからさらに冷え込んで雪まで降ってきて、このまま夕方まで続けたら全員風邪ひいちゃうんじゃないか? ということで早めにストップフィッシング。この水系に精通する川村さんのスコアを見れば分かるように、かなり厳しい状況。そんな時でもきっちりと結果を出した青木さんは、「職業バスプロ」そのものでした。
そんな3人も今では、この業界を引っ張っていく重要な存在となっている。年代的にも近い3人が「考えていること、伝えたいこと」について、ルアーマガジン『ルアーマガジン2017年4月号』をぜひご一読されたい。
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