バス釣りに役立つ、濁った水と透明な水のお話【頭でっかちフィールド講座|その5】



この連載では、かつて環境コンサル会社に勤めていた福重が、そこで得た経験・知識をバス釣り界にフィードバック! もしかした釣りに使えるかもしれない、フィールドに関する情報をお届けします。

【頭でっかちフィールド講座】の新シリーズでは、水質にまつわるお話をしていければと思います。

前回のアシ・ガマシリーズはコチラから↓

番外編もあります↓

ちなみに前回までのシリーズの方が福重の得意分野です(ぇ

その水はいかに透明なのか

釣り場を選ぶ際、あるいは到着して最初に気になるのは、ぱっと見で判断がつく(事の多い)水の透明度。

この透明度という言葉、厳密に言うと、海や湖で用いられる言葉なんです。

実は、海や湖の水がいかに透き通っているのかを図るための測定機材の事を「透明度板」と言います。

これを使って判断する値だから透明度と呼ばれるのです。
これは値を図る場所が船の上や桟橋など、ある程度の水深が見込めるからこその計測方法なのです。

①透明度板をまっすぐ沈めていきます。②透明度板が丁度見えなくなった時の水面から透明度板までの距離が透明度になります。

一方、水深の浅い水路や沼、そして流れのある川の場合、透明度板でうまく測れるとは限りません。

そこで「透視度計」という機材を用います。

これならば、水さえ汲めればその場所の水がいかに透き通っているか?判断できるというわけです。

そしてこの透視度計を使うので、水路や沼、川の値に関しては透視度と呼ぶのです。

①透視度計に川や池の水を注いで満たします。②真上から覗きこみ、排水していきます。③標識板の二重の十字がはっきり見える水かさが透視度の値となります。

ただ言葉としてはやはり、透明度の方が浸透していますので、一般的には透明度って使いますけどね。

ちなみにどちらもビシッ!!と値が定まるわけでは無く、測定者の裁量でなんとなくこんなもんだべある程度判断するもの。あくまで客観的な、あるいは水質を考える上でのとっかかり的な指標だと思います。もっと具体的な数値で言うならば、光量子量や濁度、SSといった値を調べる方がベターなのです。

水が濁っている、あるいは澄んでいる時に何が起きているのか

同じフィールドに通う人なら気づいている人も多いと思いますが、同じ釣り場でも透明度はけっこう変わるもの。

それには様々な要因が有ります。いくつか例をあげて見ます。

冬のクリアアップ

冬になると水温が低下し、日照時間も短くなります。すると、水中の植物プランクトンが減少し、水の透明度は増して行きます。

アオコによる濁り

夏の濁りの代表格?

こちらは逆に、夏になると水温が上昇して日照時間が延びるため、植物プランクトンが多すぎる状態となり、透明度は著しく低下します。

冬のクリアアップと夏のアオコの原因となっている植物プランクトンは、必ずしも同種であるとは限らない様ですが、こんなイメージです。

泥濁り

コーヒー牛乳とも称される泥濁り。こちらは地上の土が、大雨などによって流され、水に混ざり込んでしまった状態。

この泥水はやがて粒子の大きな物体から早く底に沈むことで少しずつ透明度を取り戻して行きますが、粒子の細かい物体は中々沈まずに水中を長く漂って濁っている状態が続きます。

この状態がささ濁りと呼ばれる状態。釣れる濁りとしても知られていますね。

雨によるクリアアップ

・雨水がフィールドの水よりも透明度が高く、濁りが薄まった
・水温が低下、あるいは水質が変化して植物プランクトンが減少した
といった要因起こると考えられるクリアアップです。

水草の存在によるクリアアップ

【頭でっかちフィールド講座・水草編】の時に詳しくお話しいたしますが、水草は濁りの原因となる物体を吸着する事で、水を透明にする能力を持っています。

もちろん、水草と言っても、カナダモの様に水中に完全に沈んでいるタイプだけでなく、ヒシの様に浮かんでいるタイプやアシ・ガマの様な抽水植物もその能力を持っています。

代搔きによる濁り

これからの季節、悩まされる人も多いであろう濁りが代掻きによるもの。

簡単に説明すると代搔きとは、田植えを行う前の水田に水を入れた上で土を耕すこと。そうすると泥水が生まれるのですが、水の入れ替えのために排水され、それが釣り場にも流れてくることで濁りが発生します。

ちなみにこの時の濁りには、水田に残っていた稲の破片などが含まれているため、代搔きによる濁りだと判断しやすいです。

底泥が巻き上がって発生する濁り

水深の浅い泥底な場所で、風波などによって発生する濁りです。

シルトとも呼ばれる泥は一つ一つの粒子が軽く、ちょっとした流れですぐにまき上がってしまうのです。浅瀬でエレキを動かした時にモワッと巻き上がる泥がその典型です。

こちらは冬になってもクリアアップしないフィールドの原因の一つとも言えます。



つまりどういうことよ!?

今回は水の濁りとクリアアップの要因の一例を紹介いたしました。

これらの事を知っていれば、釣り場の状況の把握や、気候変動による水質の変化の先読みが可能かもしれません。

どうです?ちょっと賢くなった気がしませんか?

次回は濁りとクリアアップが、魚に与えるであろう影響のお話を予定しています。

※この連載は福重の経験を元に書いております。相手は自然。全てが書かれている通りであるとは限りません…。

連載:頭でっかちフィールド講座


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