「魚そうめん」じゃなくて「煮魚そうめん」だよ
すっかり春めいてきましたね。今回は旬のメバルを使った「煮魚そうめん」をご紹介します。
「魚そうめん」と聞くと、魚のすり身を麺状にした、吸い物なんかに入ってるアレを思い浮かべる人が多いと思います。
今回紹介するのは、そっちの「魚そうめん」ではなく、本物のそうめんを煮魚とともに食べるという料理です。
代表格は「タイそうめん」
代表格は、瀬戸内地方の郷土料理の「タイそうめん」。
まるごと姿煮にしたタイをそうめんの上に盛り付け、煮汁で食べます。お祝い事で食べるご馳走で、錦糸玉子や色つきのそうめんなんかと盛り付けるととても華やかです。
ほぐしたタイの身と、タイのダシが出た煮汁をそうめんにからめて食べると最高です。
とはいえ、一人ヤモメの身でそんなもの作っても持て余すだけなので、今回は旬のメバルで作りました。
煮つけが美味しい白身魚ならなんでもOK 春を意識して新ゴボウも
材量…メバル(白身魚)、ゴボウ、青ネギ、そうめん、ショウガ、卵
調味料……醤油、酒、砂糖、みりん
白身の魚ならOKです。タイやキンメダイの頭とかカレイ、カサゴでも美味しいです。
今回は春っぽさを意識して新ゴボウも使いました。ゴボウの香りが魚の臭み消しにもなっていいんです。
1・魚のウロコとワタをとる
すみません。スーパーで売ってたのは全部この処理が済んでました。ゴボウは食べやすいサイズ(5センチくらい)に切っておく。
2・煮る
醤油、酒、砂糖、みりんで煮汁を作って、まず火の通りにくいゴボウから煮ます。
ゴボウに火が通ったら、スライスしたショウガを2~3枚。
ショウガもゴボウも皮をむかないこと。ショウガは皮が香り成分が強い。ゴボウの皮の旨味は中心部の1.6倍と言われてます。アク抜きもしなくていいです。ゴボウのアクの正体はクロロゲン酸というポリフェノールの一種で体にもいいんです。色味が大事な料理は黒ずみを防ぐためにアク抜きをしますが、そうでなければ、アク抜きしないで旨味も栄養も逃がさないこと。
3・余熱で火を入れてる間にトッピングの用意
余熱で魚の中まで火を通している間に、トッピングの用意をしましょう。
玉子を薄く焼いて細切りにして錦糸卵に。
火が通ったら皿にとってすぐに冷蔵庫に入れて冷やします。そうすると黄色が鮮やかに仕上がり、細切りもしやすくなります。
青ネギを刻みます。ソバには長ネギが合うけど、そうめんにはやっぱ青ネギだと思うんです。
彩りや春っぽさの演出に、菜の花のお浸しなんか添えてもイイでしょうね(←じゃあやれよ)。
4・そうめんをゆでる
そうめんをゆでます。沸騰したお湯にそうめんを入れて吹きこぼれそうになったら、水を差す。そして再度、吹きこぼれそうになったら茹で上がりのタイミング。
ザルにあけて水にさらして麺を引き締めます。
ツルツルのそうめん完成です。
5・盛り付け
魚を中心にして、その周囲に一口サイズに分けたそうめんを盛り付け。ゴボウを添えて、錦糸玉子、ネギをパラパラと。赤いメバルに、玉子の黄色、ネギの緑、春のごちそう感がイイですね~。
ほぐした身と煮汁をそうめんにからめていただきます。臭い消しのショウガも千切りにして薬味としてトッピング。甘目の煮汁がピリッと引き締まります。
煮魚そうめんは「春」のご馳走?
冒頭に瀬戸内地方の郷土料理として「タイそうめん」を紹介しました。愛媛、岡山、広島、大分で食べられています。煮魚とそうめんの取り合わせは他の地域でも見られます。三重県の南伊勢でも食べます。
滋賀県の長浜には、なんと「焼きサバ」と炊き合わせるそうめんがあります。
「五月見舞い」と言って、農家に嫁いだ娘のもとへ春の田植えの農繁期に焼きサバを届ける風習があり、そのサバでそうめんを作るのが農繁期に手軽に食べられる定番メニューだったそうです。また、お祭りの時に客人をもてなすハレの日のご馳走でもありました。
卒業・入学シーズンです。ご家族のお祝いに、ハレの日感たっぷりの煮魚そうめん、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
個人的な思い出は、子供の頃、1尾だけ釣れた手のひらサイズのグレを持ち帰ったら、祖母がそうめんにして食べさせてくれたこと。タマネギと煮つけた甘~い味でした。
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