メタルジグと同等の飛距離を叩き出すシンキングペンシルとして、ソルトゲームの世界に革命を起こした「ぶっ飛び君」と「かっ飛び棒」。ジャンプライズ代表の井上友樹氏がその開発秘話を明かす。
メタルジグの役割を変えた、2つのルアーの存在!
メタルジグと同等の飛距離を叩き出すシンキングペンシルとして、ソルトゲームの世界に革命を起こした『ぶっ飛び君』と『かっ飛び棒』(ともにジャンプライズ)。
この2タイプのシンキングペンシルの登場によって、ソルトゲームメソッドの組み立て方が根本から変わったのは記憶に新しい。中でもメタルジグというルアーカテゴリーが担う「役割領域」が大きく変化したのは、大きな出来事だった。
「ぶっ飛び君、かっ飛び棒の開発以降は、荒れているとき以外でメタルジグを使う機会が大幅に減りました。凪のときにはぶっ飛び君か、かっ飛び棒があれば、メタルジグでやりたいことはもちろん、それ以上のことが行えるようになったからです」とジャンプライズ代表の井上友樹さんは言う。
それでも、荒天下を中心にメタルジグでしか行えない「役割領域」が存在したのは事実。
さらに注目すべきは、圧倒的な飛距離を誇る『ぶっ飛び君』『かっ飛び棒』を持ってしても、その飛距離を表現するときに、井上さんは一貫して「メタルジグと同等…」と説明していた。井上さん自身が、メタルジグを超える飛距離と表現したことは一度もない。
つまり、『ぶっ飛び君』や『かっ飛び棒』でも探れない、遥かなる沖を攻略するためには、既存のルアーでは届かない遠方に到達し得る、新たなコンセプトのルアーが必要だった。
井上さん「そのためには、比重が圧倒的に重いメタルジグの構造を根本的に見直して、今までにない特殊構造のメタルジグを開発するのが一番の近道だと思っていました」。
今から数年前…、実際、井上さんはそれまでのメタルジグの概念を覆す、革新的なプロトモデルの開発に没頭していた。
メタルジグの中にラトルを入れるという発想!
井上さん「ショアからのヒラメゲームまでを範疇にいれた場合、個人的に既存のメタルジグに対して、いくつかの疑問点がありました。そのひとつが、昨今流行している小型メタルジグの2フックシステムです。物理的にエアルームが持てないメタルジグに対して、2フックシステムを採用すると、メタルジグの天地関係が崩壊してしまいます。結果的に真っすぐに泳げなくなってしまいます」。
実際、ジャンプライズのスイムテスト用プールで実験すると、何度検証しても、小型ツーフックシステムのメタルジグは、泳がせると横を向いてしまった。
井上さん「あとは、アピール力ですね…。仮に130メートル沖に遠投したとしても、既存のメタルジグの小さいシルエットでは、アピール力が足りないです」。
次世代メタルジグのプロト開発に没頭していた頃、少しでもアピール力を増すために、井上さんは特殊工法によりメタルジグ内部にラトルを入れる技術に到達していた。鉛一体成型の内部に、ラトルを入れる技術はまさに画期的だった。
さらに、形状を徹底的に研究して既存のメタルジグでは到達し得ない、未知の沖領域へ到達できる次世代の超絶飛距離をも手に入れていた。もちろんフォール姿勢やリトリーブのアクションも絶妙だった。
正直、井上さんが開発していたプロトのメタルジグは、現代において、最高峰のレベルに到達していたと思われる。
完成目前のメタルジグ開発計画を変更させた新ルアー『飛びキング』!
結論から言うと、井上さんは膨大な時間と手間とそして資金を投入した、次世代型メタルジグの開発計画を大幅に変更した。
プロトモデルは文句なく成功していたにも関わらず…。
その裏には『飛びキング』の存在があった。
飛びキングとは、2017年秋に発売予定のジャンプライズの新ルアーだ。ルアーカテゴリー的にはシンキングペンシルとミノーの中間にカテゴライズできそうな飛びキングには、井上さんが心血を注いで開発してきたメタルジグに勝るとも劣らないの革命的パワーが満ちている。
そして、飛びキングには井上さんが始めて、「メタルジグの飛距離を超えるプラグ」と自身の言葉で断言した能力が搭載されている。さらにメタルジグのようにボトムをトレースでき、その上、水面下2メートルのレンジまでトレース可能。
アクションはミノーライクな小刻みなハイピッチ。フォール速度はメタルジグ同等か、もしくは潮流の速い場所では飛びキングの方が速い。
ルアー素材は従来のABSではなく、井上さんが理想のアクションを求めて探求した結果到達した、ジャンプライズ初採用の新素材。
井上友樹さん曰く、「ジャンプライズ史上最高傑作のルアーが完成しました」。
そんな飛びキングの徹底解説は次回…。