トラウトの管理釣り場「エリアフィッシング」では、リールのハンドルも釣果に影響する重要な要素の一つ。トーナメント(試合)を戦うエキスパートたちがこだわるリールハンドルの選び方を、「エリアトラウトの絶対王者」とも呼ばれる伊藤雄大氏に自ら解説してもらった。今回はスピニングリール編をお届け。
リールハンドルカスタムはエリアフィッシングで重要なポイント
秋の気配が濃くなってくると、エリア(トラウト管理釣り場)フィッシングもいよいよトーナメントシーズンに突入する。トラウトの繊細なバイトをいかに捉え、釣果に結び付けていくかがエリアフィッシングでは重要となるが、そこでキーとなるアイテムの一つとして「リールのハンドル」が挙げられる。
こだわりのエリアアングラー達は、皆こぞってハンドルをカスタムして釣果を伸ばしている。しかし、釣具店に並んでいる様々なカスタムハンドルを見ても、一体どれを選んだらよいのか、疑問に思う方も多いことだろう。今回は私なりの「スピニングリール」のハンドル選びの基準と、実際にトーナメントで使用しているタックルのセッティングを紹介したいと思う。
リールハンドルに求める要素とは?
私がハンドルに求める3大要素は「剛性」、「軽さ」、「ビジュアル」。
<剛性>
まず剛性だが、バイトを感じた瞬間にハンドルを巻いてフッキングする、いわゆる巻きアワセを多用するエリアフィッシングではこれが重要だ。ハンドルを巻く力を効率よくフックポイントに伝えられるかが、フッキングの成否を左右する。
<重量の軽さ>
軽量であることも重要な要素の一つ。ハンドルをいかにムラなく回し、一定にリトリーブできるかがバイト数に直結する。軽量ハンドルは一回転中の「上りと下り」の差が出にくいため巻き易い。
<ビジュアル>
趣味の道具としても、プライドを賭けて競いあうトーナメントシーンでモチベーションを保つためにも、ビジュアル面の完成度は欠かせない。複数タックルで、ハンドルカラーを揃えて統一感を出すのもよいし、用途ごとにカラーを変え、とっさに手に取れるようにして釣りの効率を上げるのもおすすめだ。
以上の3大要素を満たしているかが、絶対条件となる。
ハンドルの長さを決める
次に釣り方、用途に合わせて長さを決めていこう。ショートハンドル/ロングハンドルそれぞれに特徴があるので、しっかり理解して自分に合ったハンドルを選んでほしい。
<ショートハンドルの特徴>
・巻きが重くなる(巻き取りトルクが下がる)
・ハンドル回りがコンパクトになるので一定のスローリトリーブが容易になる
・ルアーの水流抵抗、魚のバイトを感じやすくなる
つまり「バイトを出すまでの性能」が優れている
<ロングハンドルの特徴>
・巻きが軽くなる(巻き取りトルクが上がる)
・フッキングの際、瞬間的に大きな力を加えやすくなる
・ファイト時、スムーズに魚を寄せることができる
つまり「出たバイトを処理する性能」が優れている
これを踏まえた上で、「どうしても一定に巻くのが難しい」、「軽量スプーンのわずかな泳ぎの変化を感じながら釣りをしたい」、「バイトを確実に感じ取りたい」ということであればハンドルを短く。
「バイトは出せているが、なかなか釣果に結び付かない」、「水の抵抗の強いルアーを軽快に扱いたい」、「魚に主導権を握らせずファイトしたい」ということであればハンドルを長くする。
といった具合に目的に応じて選んでいけばバッチリだ。当然だが、一人一人の体格、手の大きさ、リールの巻き方で最適な長さは変わる。自分が気持ちよくリトリーブできる長さの範囲を見極め、その中で「もう少しこうしたい」という部分を ハンドルの長さによって調整していくのがベストだろう。
エリアマイスターのタックルセッティング<スピニング編>
最後に私のタックルセッティングを紹介しよう。
(※私は手が大きく、長めのハンドルを好む傾向があるので、参考にされる場合は2.5ミリ~5ミリ程度それぞれ短くして考えてもらうとよいかと思う)
<放流、クランクベイトなど、パワー系の巻きの釣り>
放流魚を手返しよく釣ったり、巻き抵抗の大きいクランクベイトを快適に扱うためのセッティング。ナイロンラインの伸びをリールの巻き取りトルクでカバーしてフッキング率を向上させている。
<マイクロスプーンなど、フィネス系の巻きの釣り>
ショートハンドルを伸びの少ないエステルと組み合わせることで、超高感度を実現している。軽量ルアーをイメージ通りにコントロールし、微かなバイトを捉えていくセッティング。
<ボトム、ミノーなど、ロッド操作を多用する釣り>
ロッド操作を多用する釣りではラインスラックを素早く処理するために、ハイギアタイプのリールを使用。ハイギアによる巻き重りをロングハンドルのトルクでカバーして、他のタックルとの巻き取りフィーリングを揃えている。
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