この連載では、かつて環境コンサル会社に勤めていたルアマガ編集部・福重が、そこで得た経験・知識をバス釣り界にフィードバック! もしかしたら釣りに使えるかもしれない、フィールドに関する情報をお届け。今回も水質に関する話を続けます。濁り/透明→酸性/アルカリ性→溶存酸素量に続き、4回目のテーマは「ターンオーバー」。秋から冬にかけて耳にすることが増えるこの言葉をひもときます。
〈前回はコチラ↓〉
「ターンオーバー」ってなんだ?
ターンオーバーあるいはターンとは、底層の水が巻きあがることで水質が急激に変化する現象のこと。
厳密(原理的)に言えば、季節を問わず起こりうることであるため、これからの季節に発生するターンオーバーはフォールターンオーバーと呼ばれる事もあります。
前日と比べて、急激に冷え込んだ際に発生する事が多く、
・雨が降ったわけでもないのに濁っている
・小さなゴミが沢山浮いている(粉っぽい)
・水面が攪拌された時などに出来る泡が中々消えない
等の状況が、ターンオーバーが発生したことの目安と言えるでしょう。
ターンオーバーが起こる仕組み
それでははたしてどのようにしてこの季節のターンオーバーが発生するのか。
それは、表層の水温が、ボトム付近の水温よりも低くなるからです。
とある野池で下の図の様に水中の温度がわかれていたとしましょう。(なぜわかれるのか・・・それは水の性質によるところなのですが、別の機会に解説します!)
例えばある日の朝、急激な寒波が襲来!! 気温がグッと下がり、それにともなって野池の表層の水温がぐんぐん下がってしまいます。
この時、ボトム付近の水よりも水温が下がると、表層の水はどんどん下層へと沈んでいってしまいます。(水温が低い水の方がより重いため。これについてもそのうち解説します。)
するとその勢いで流れが発生。ボトム周辺の水が巻きあげられ、上に昇っていきます。
ボトム周辺の水は、前回のお話でも少しふれたとおり、溶存酸素濃度が低いことが多く、沈澱していた軽いゴミや細かい泥も一緒に巻きあげて、水中に広がってしまいます。
こうして、ターンオーバーでは、水質が急激に悪化してしまうのです。
下の層にあった水温5度の層は、落ちてきた水温3度の層に押し上げられて表層に出てきますが、イラストではそのくらいから外気温が上昇しているため、表層の水温も上昇していることとしています。もちろん、時には水中全体の水温が3度まで下がり続ける事もあると思います。
※上記の話(水温)はあくまでイメージです!!
ターンしていたらどうすればいいのか
最後に、頭でっかち的な考え方(?)で対処方法を紹介しましょう。
それはまず、ターンオーバーしていない場所で釣りをする! これに限ります。
最初に紹介しました通り、ターンオーバーは目で見て起こっているかを容易に判断できます。それならば、そんな場所を避ければいいのです。
ターンオーバーがしにくい場所は、上から下まで水温が一定になりやすい場所。例えばボトムが見えるシャローなんかはその典型です。(季節的にバスが釣れるかはともかくとして・・・)
また、ハードボトムのエリアの場合、巻き上げられる泥が少なければ、例えターンオーバーが起こったとしても、比較的影響は少なくて済みそうですよね。
しかし同じ水域内でターンオーバーが発生している場合、悪い水質の水は徐々に広がり、ターンオーバーしていない場所にもやってきます。
そんな時は、汚い水の浸入をブロックしてくれるカバーの内側が狙い目となります。
カバーはいわば”ろ過装置のフィルター”。
ドロの粒子などは、カバーに物理的に引っ掛かるため、内側には綺麗ない水だけが通るのです。
この時、引っかかりが多いものほどろ過能力が高いことは覚えておきましょう。
何も無いよりは、枯れ枝が水没しているカバーが有効ですが、例えば葉っぱごと水没している枝の方が、より内側の水質は良好であると言えるでしょう。
つまりどういうことよ!?
今回はターンオーバーについてのお話でした。
まとめると、
・ターンオーバーは、急激に冷やされた表層の水が沈むことで発生する。
・ターンオーバーの発生により、底層のドロや低酸素水が巻き上げられ、水中で拡散。
・発生していない場所で釣りをするか、カバーを狙うのが解決策
といった内容でした。
どうです?ちょっと賢くなった気がしませんか?
※この連載は福重の経験を元に書いております。相手は自然。全てが書かれている通りであるとは限りません…。ちなみにとあるアングラーさんいわく、狭いフィールドならターンオーバーしたからと言って魚がいなくなるわけではないので、リアクション主体の攻め方をするだけであまり気にすることはないとのこと。確かにそうかもしれないと納得したり(笑)
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