6/8〜10 JBトップ50第2戦北浦直前プレビュー:輝き続ける”黄金世代”に今こそ注目せよ!【小林知寛・山岡計文・江口俊介】



2018JBトップ50第2戦が明日6/8(金)から6/10(日)の3日間、茨城県北浦を舞台に開催される。開幕戦(野村ダム)からおよそ2ヵ月の中断期間を経て、今戦および来月の第3戦(七色ダム)へと続く怒涛の2連戦が始まるが、ここをどう戦い抜くのかが今季前半戦の見所だ。初戦でリードした者たちは年間ポイントの貯金を崩すことを許さず、一方の不発だった者たちは第2戦でスコアを積み上げるべく牙を磨く。本稿で注目したのは、シリーズ伝統の舞台である北浦を知り尽くし、なおかつフィジカル及びメンタル共に充実の時を迎えている、小林知寛・山岡計文・江口俊介の3選手。いずれも今年度で38歳。JBトップ50メンバーで最も選手数が多いゴールデンエイジから選出した。

梅雨入りした関東ラウンド。ビッグウエイト炸裂なるか!?

当画像(=小林知寛選手)は、今戦と同時期に開催された2014第2戦北浦水系戦(6月6〜8日)でのワンシーン。期間中は終始ローライトで時に激しい雨も降り注いだ。

開幕戦プレビューで解説した通り、今季は第2戦北浦、第5戦霞ヶ浦のトーナメントエリアが完全に分離されることになった。

北浦戦は潮来マリーナを会場として、エリアは北利根川の鹿島線鉄橋まで。一方の霞ヶ浦戦は同じく潮来大橋から霞ヶ浦方面のみに絞られ、会場は新たに土浦新港を利用することも明らかになった。

従来であれば、開催フィールドの名こそ異なれど、ウェイイン会場はいずれも北浦・潮来マリーナのため、実質上ほぼ同じ水域がトーナメントエリアとなっていたことは否めない。今季は完全分離となったことで、戦略に差が生じるとの見方もあるが、これまでに積み上げてきたチカラがモノを言う。毎年開催地となる傾向が強いこの地だけに、経験値の差が浮き彫りになるだろう。

プリプラクティスは試合から2週間前の木曜日までというレギュレーション。今戦の場合、5月24日(木曜)がその最終日に当たり、6月6日(水曜)〜7日(木曜)の直前プラクティス日までオフリミット期間が設定されトーナメントエリアでの釣りは禁止となる。プリプラ中及びその後の数日間に渡り、縁あって多くの選手から北浦の現状を聞くことができたが、誰の口からも聞こえるのは…

「釣れない」「厳しい」「史上最低の貧果」

その要因として挙げられたのが…

「天候不順による水質の悪化」「代掻き水の流入」「増水の見込みがない減水」

本戦までおよそ10日間を空けるため、当時の状況が続くとは限らない。さらに本戦2日前となる昨日に関東地方の梅雨入り宣言が発表された。おそらくプリプラ時のプランは完全リセットされるはずだ。直前プラでおよそ最高峰50人の手練れたちは何を見つけるのか。雨の恵みを味方につけ、ハイウェイトバトルとなることを期待したい。

プリプラ時の状況を聞いていく中で、この梅雨入りを早くから想定して練習に挑み、不釣の声をよそにまずまずの手応えを感じている選手がいた。今戦の注目選手1人目はまず、この方だ。

「毎日トップウエイトしか狙わない」国内屈指のストロングマシーン・小林知寛

こばやし・ともひろ/1980年9月10日生まれ(37歳)、A型。岡山県出身。主な戦績:2005&2013旭川ダムA.O.Y.、2012マスターズA.O.Y.、2014トップ50A.O.Y.。トップ50通算2勝(14第3戦野尻湖、17第2戦七色ダム)。スポンサー:エバーグリーンインターナショナル、ベイトブレス、ガンクラフト、オフィスZPI、がまかつ、GLデザインラボ。2018トップ50ゼッケンNo.9。*写真は2014第2戦北浦水系戦DAY1。

プリプラ終了の2日前、縁あって小林知寛選手に出会う機会があった。日没寸前まで湖上で有意義な練習時間を過ごした小林艇のデッキには、もはや言うまでもないが、剛竿のベイトタックルのみが並んでいた。

「もう時期が時期なんでね。毎日トップウエイトしか狙わない。それだけですよ」

その翌日、プリプラ最終日は終始晴天となったが、それまでの数日間はローライトかつ雨天が続いた。この間に小林選手は何かを掴んだのだろうか。言葉の端々から迫力さえ漂わせていたのが印象的だった。

振り返れば2014年、彼が初のトップ50年間優勝(=A.O.Y.)を果たした年のこと。第2戦は今戦とほぼ同時期開催の北浦水系戦だった。初日は何と5,930グラム、霞ヶ浦&北浦戦における史上3位のビッグウエイトで首位スタート。続く2日目も4,990グラムとほぼ5キロを持ち込み、最終日を残して総重量を何と10キロの大台に乗せた。予選首位で決勝進出を果たしたのは言うまでもない。

が、しかし。小林選手は初優勝を逃してしまう…。

「最終日ゼロ申告。『やりきり型』の弊害。4度目のチャレンジは失敗に終わってしまった。しゃあないです」

ところが、そこでトーンダウンすることはなかった。続く第3戦(野尻湖)では、上向き傾向にあった虫パターンをやり切り、予選首位からの5度目のチャレンジが成功。近くて遠い栄冠をついにその手にしたのだ。

「やり切ることが間違いだとは思っていない。途中で切り替えることももちろんあるが、釣り方自体は守らない。攻め続けるのが僕のスタイル」

2014シーズンを終えた時、小林選手がこう語ったことが思い出される。初優勝と初A.O.Y.を同時に獲得したこの年。それまでのスタイルに”+α”のエッセンスを加え、またさらに国内屈指のストロングマシーンが原動力をボアアップ。昨季は七色ダムで驚異のモンスターを持ち込み、2勝目を獲得したのは記憶に新しいところだろう。

研ぎ澄まされた感性に加え、持ち前の爆発力。今戦できっと魅せてくれるはずだ。

エリート5初戴冠でカスミ水系に覚醒! 紀伊半島のキングカズこと、山岡計文

やまおか・かずふみ/1981年2月2日生まれ(37歳)、AB型。奈良県吉野郡下北山村出身。主な戦績:2017エリート5ウィナー。トップ50通算1勝(2012第1戦早明浦ダム)。スポンサー:ティムコ、O.S.P inc.、東レ、K.T.F.、リューギ、フュージョン、ピンスポット、オプティマムバッテリージャパン、NorthWave。2018トップ50ゼッケンNo.3。*写真は2017第3戦七色ダム戦DAY3。

昨季、トップ50年間上位5選手で競われるプレーオフ・エリート5で見事に初タイトルを獲得したのが山岡計文選手。舞台は北浦スタートの霞ヶ浦戦だったことはご存知だろう。

山岡選手と言えば、次戦の舞台となる奈良・七色ダムの畔で生まれ育ったナチュラルボーン七色マスター。前項で紹介した、同じく七色を準ホームとする小林選手同様に、次戦の注目選手にすべきとの声もあるだろうが、敢えて今戦でフィーチャーすることにした。

「霞ヶ浦水系は、かつては非常に苦手意識の強いフィールドでした」

山岡選手を育てたリザーバーとは何もかもが異なっていた。過去の成績を振り返ると、トップ50昇格初年度となる2009年は第2戦霞ヶ浦で47位、翌2010年は第2戦北浦で56位とキャリアの底を叩いたのも頷ける。しかし、明けて2011年の第5戦北浦では何と第5位に入賞。「リザーバーの釣りを霞ヶ浦に応用した」と表彰台での謎の発言をしたことで話題となったが、いずれにせよクリアウォーターの手練がマッディシャローを克服した瞬間だったことに異論はない。

「水質の差こそあれど、大切なのは水中を三次元的に捉えることだった。その場の地形(奥行き)とルアーの動き(幅)はもちろん、そこにレンジ(高さ)を加えて考えると、竿抜けの魚が釣れるんだなと」

要は、水深の深いリザーバーで培ったノウハウを水深の浅いマッディシャローでスケールをコンパクトに投影することだと言う。

「リザーバーの水深3メートルを、霞ヶ浦水系では50センチとして考えてみたんです。そうこうするうちに魚の動き方が何となく見え、リズムが合うようになって」

言葉では容易に聞こえるが、見えない水中を小刻みに探るべく実に緻密な作業が必要となる。彼独自の霞ヶ浦水系攻略法が、昨季のビッグタイトル獲得の礎になったのは間違いないだろう。

「プリプラですか? 悪いイメージを悲観しても何も意味がない」

終盤に、微かに見えてきた「良いイメージ」を糧に直前プラへと突入した模様。常にポジティブなメンタルが必ずや好結果に繋がることを期待したい。



不遇の時を経て、トップ50完全レイドへ! 新生・江口俊介の決定力に要注目

えぐち・しゅんすけ/1980年4月23日生まれ(38歳)、A型。千葉県出身・岡山県在住。主な戦績:2006トップ50年間2位。トップ50通算4勝(06第1戦旭川ダム&第5戦遠賀川、07第5戦生野銀山湖、08第1戦旧吉野川)。スポンサー:レイドジャパン、リューギ、ゲーリーインターナショナル、ドロンアンダーウェア。2018トップ50ゼッケンNo.13。*写真は2018第1戦野村ダム戦DAY2。

2003年にワールドシリーズ(現トップ50)に昇格して、今季で最高峰戦16年目を迎える江口俊介選手。参戦初年度にルーキーながら年間7位を獲得して以降の快進撃は驚異的だった。2006年には達成例の少ない年間2勝、そして2007年最終戦と2008年開幕戦という年またぎでの連勝という偉大なる記録は他に前例がない。

「なぜ勝てないのか。出口が見つからない」

かつては連戦連勝、向かう所敵なしの存在として恐れられた若手選手が30代を迎えるや、不調に喘いだ時期もあった。ほぼ常に1ケタだった年間順位を2ケタに落としたのが2012年。もがけばもがくほど罠にハマるスランプ期が襲いかかった。先の言葉は、その当時に聞いたものだ。

「(今季開幕戦の)野村ダム戦はプラで(パターンが)見えていたわけじゃない。試合が進んでいく間に、大切な何かに気付けるか。改めてその重要性を感じた」

現在でこそ”今を釣る”という言葉が浸透しているが、かつて江口選手が連勝していた頃に明確な指標はなかった。ただ本能的に自らの意識が捉えたエリア・水深・ルアー、そして釣り方が身体を突き動かし、優れた結果を生み出し続けていたのも今でこそ語れる。

「本来の自分を取り戻しつつあるのかなと。そう実感している」

一昨年最終戦の霞ヶ浦では、2013年第5戦旧吉野川(3位)以来となる実に3年ぶりの表彰台(5位)を獲得。昨季はJBⅡ四国第1戦を優勝でシーズンを開幕するや、トップ50の年間順位を14位まで回復。今季もJBⅡ四国第1戦で4位、トップ50で準優勝と試合勘を取り戻している。メインスポンサーの電撃移籍と復調が符合しているのも興味深い事実だ。

「プリプラは確かに難しかった。けど、コンディションは確実によくなると思う。つか、プラは所詮練習に過ぎないですからね」

プラクティスとは、試合でスーパーゴールを決めるためのトレーニング期間に過ぎない。良い意味で肩の力が抜け、本来の自分を取り戻しつつあるエグシュンが今季、トップ50で台風の目となる気配は濃厚だ。

明日6/8(金)午前6時30分、北浦・潮来マリーナを会場にキックオフ!

ここまでに紹介した3人はいずれも今年度38歳のバースデーを迎える1980〜1981年生まれの選手たち。この年齢ゾーンは今季のトップ50勢全49名のうち実に7名を数え、前戦プレビューで紹介したA.O.Y.候補の篠塚亮選手も含まれる。中堅からベテラン世代へと向かう、いずれも脂の乗った強豪たちが揃っている。

はたして誰が栄冠を勝ち獲るのか。ここで紹介した選手の他にも、開幕戦を初優勝で飾りいま勢いに乗ったヤングライオン・早野剛史選手、鳴り物入りで昇格するや開幕戦で上位入賞の後に2ndカテゴリーのマスターズで優勝を果たしたスーパールーキー・藤田京弥選手、開幕戦第3位に続き中韓日交流戦で日本人選手最高位を見事に獲得したアジアの虎・川口直人選手などにも注目したいところだ。

明日、午前6時半、いざ第2戦がスタート。空模様はおそらく終日ローライト。最終日に近づくにつれ天気は崩れていく予報が選手たちにどう影響するのか。

*各日の結果、及び大会会場等の詳細はJBNBC公式サイト・NBCNEWSを参照されたい。

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