ルアーマガジン&釣りプラス連動企画、佐々木勝也氏が注目の2018DAIWA新作タックルを実釣レビューする。ルアマガ8月号連載「STEEZ 2018SEASON」で夏の霞ヶ浦水系シーズナルパターンを実釣解説した際、見事にこの地でMAX級と言える50センチオーバーをキャッチしたのが、2018年新作のひとつ「キッケルキッカー」。佐々木氏自身が開発を手がけたこのカエル型ルアーの他、同水系では欠かせないカバー撃ちに最適な2つのスティーズソフトベイト、および注目のスピニングリール「LT」シリーズも解説。続々と登場する期待の18DAIWAニューモデルから目が離せない。
ビッグフィッシュキラー「キッケルキッカー」に今こそ注目!
昨季から佐々木さんが各メディアに登場するたび、圧倒的な釣果を魅せているのが『キッケルキッカー』という名のカエル型ルアー。マスバリ♯1~1/0をセットするだけでワーム同様にとても手軽に使えるルアーにして、全長は36ミリとごく小型ながら3.1グラムと存分な重量は実に投げやすく、飛距離を稼ぎやすい。
エラストマーと呼ばれる素材で成型されたこのモデルは、耐久性に優れるばかりか、実に高い浮力を発揮。そう、戦いのステージはトップウォーター。カエルそのものをイミテートするだけにとどまらず、いわゆる虫ルアーとしても活躍するモデルだ。
「使い方は何も難しいことはありません。3トゥイッチ1ポーズ。カエルの泳ぎをイミテートするだけです。必ずしもカバー際にこだわりません」
狙いの場所に着水したら、糸フケを張るかのようにチョンチョンチョンと竿先を3回アオって水面を泳がせた後に1秒程度のポーズ。反応がなければ、再びチョンチョンチョン…この繰り返し。過剰にテクニカルなロッドワークは要らない。現に、佐々木さんはこの方法で見事に霞ヶ浦水系MAX級をキャッチしたのだから。
当日は護岸沿いにキャスト。時にブッシュが水面を覆う場所もあるが「カエルがいそうな場所ならどこでもOK」と、際どいキャスト技術だけにもこだわらない。キッケルキッカー自体の艶かしいキックアクションがバスを引き寄せるため、狙いどころが多少ズレていたとしても問題はないのだ。
「経験上、水面ってでかいバスが狙いやすいステージなんですよ。で、キッケルキッカー自体が小型だから、バスも躊躇なく喰ってくれるのだと思います」
ルアマガ8月号でのこの圧倒的釣果はもちろん、昨シーズンの連載でも50アップを連発したことを覚えている方も多いのではないだろうか。今春、満を持して発表されたキッケルキッカーとは、そう、ビッグフィッシュキラーでもあるのだ。
Light&Tough 軽量コンパクトかつ高剛性。世界が求める次世代スピニングリール「タトゥーラ LT」
“小さな巨人”とでも言うべきカエル型ルアー・キッケルキッカーを操るのは、以前の記事でも詳細をお伝えした超軽量かつ高コスパの新作ロッド「ブレイゾン」。佐々木さんはスピニングモデルの610MLS−Vを「キッケルキッカーに最適!」と溺愛する。
今回注目したいのは、そのリールシートに搭載されたスピニングリール「タトゥーラLT」。共に精悍なブラックに情熱のレッドが映え、実に美しいカラーコーディネートが釣り人ゴコロをくすぐる。
「僕は元々『セオリー2004』を愛用していたんですが、今季から『タトゥーラLT2500S』へコンバート。番手を上げた? いえ、実はそういう理由ではないんですよ」
そう言って佐々木さんは、新旧2つの愛用機を見せてくれた。左がタトゥーラLT2500S、右がセオリー2004。見比べてどうだろう。左はスプールこそ若干大型ではあるものの、ボディ自体はほぼ同サイズであることに気づけるはずだ。
「タトゥーラLT2500Sのボディって、今までの2000番サイズとほぼ同等なんですよ。だから、今まで通りのフィーリングで違和感なく使いこなせるんです」
それが2018DAIWAスピニングリールの劇的進化「LTコンセプト」の根幹。重量はわずか185グラム(=タトゥーラLT2500S)。かつてのDAIWAフラッグシップ機・15イグジストの2500番(=190グラム)を下回る。劇的な軽量化はキャスト時のスイングスピードを速め遠投性能が向上するばかりか、ファイト時には軽快なロッドワークで相手を難なく仕留めることをも可能にする。
ボディはコンパクトなままに、従来の2004から2500へと存分なスプール径を持つタトゥーラLT2500Sへとコンバートしたことは、佐々木さんにさらなるアドバンテージを生んだ。
「スプール径が大きく、ラインキャパシティが増えたことで、よりスムーズに遠投することが可能になりましたね。さらには様々なDAIWAテクノロジーが搭載され、僕の釣りをサポートしてくれます」
魚の引きに滑らかに追従してラインを送り出す「ATD」(=オートマチック・ドラグ・システム)、滑らかな回転を半永久的に持続する強靭な心臓部「タフデジギア」。そして、超軽量かつ高強度な構造でハイレスポンスな回転を実現する「エアローター」、マグネシウムを上回る重量比強度を持ち高剛性と超軽量の相反する要素を両立する「ZAION}素材をローターとボディに採用。
「上位機種と遜色ない機能が満載ながら、お手頃な中級価格帯。高性能かつ頑丈なスピニングは長く使うほどに手に馴染んでくるはずです」
今や定番ベイトリールとして君臨するタトゥーラSV TWと並び、スピニングのワールドスタンダードがこのタトゥーラLT。世界が認める名機に今こそ注目すべきだろう。
STEEZブランドにソフトベイトが誕生
カバー撃ちに必携の「スティーズ ホッグ&クロー」
DAIWAバスフィッシングタックルの最高峰といえば「スティーズ」。長きに渡り、頂点に君臨してきたロッドにリール、そして近年ではライン、さらにはルアーブランドとしてもお馴染みのフラッグシップブランド。ポッパーにフロッグ各種、カバーチャターにシャッドなど既に定番モデルとして世に知られるハードベイト作品も多いが、2018年は満を持してソフトベイト界への参入を果たした。
その第1弾となるのが「スティーズホッグ」と「スティーズクロー」。ともに霞ヶ浦水系をホームに歴戦を制してきたDAIWAWORKS・赤羽修弥プロが監修した意欲作だ。
「実はカバー撃ちって、あまり経験がないんですよね…。今まで他の釣りの方がもっとストロングだったので」
東北地方から霞ヶ浦水系へと移住したばかりの佐々木さんにとって、当記事の最初に解説したキッケルキッカーがフィネスだとすれば、ストロング方向はビッグベイト。両極の釣法をこよなく愛し、その隙間を埋める中間的な釣りに目を向けることはあまりなかったのだという。フィールドの立地、水質、生息するバスのクセなど様々な差がそこにはあるからだ。
とはいえ、国内で最も湖岸線が長く、岸際にはありとあらゆるカバーが豊富な霞ヶ浦水系において、カバー撃ちはなくてはならない武器。ここ数ヶ月は「勉強中です」と日々腕を磨き続けている。
「『スティーズクロー』のアドバンテージは、軽いウェイトのリーダーレスダウンショットでも確実に各パーツが動いて、しっかりアピールしてくれるところですね。着水から着底までのフォールでほぼ決着します!」
いわゆる”落ちパク”を容易に実現してくれるのが「スティーズクロー」。佐々木さんはリーダーレスとしては軽めの3.5グラムのシンカーをセットして、軽快かつ手返しの良いピッチングで数々の好結果を得ている。多くのクロー系が5グラム以上で機能するバルキー系が多い中、軽さがもたらす静かな着水音などもタフな現場で威力を発揮しそうだ。
「『スティーズホッグ』は、一般的にホッグと名の付くワームに比べてコンパクトなサイズ。一見ボリューム不足に感じがちですが、クローと同様に各パーツが動いて存在感を発揮してくれます」
こちらもまた”落ちパク”を実現。着底後はアクションを加え、パドルアームが大きく水を押して強烈アピール。こちらもまた5グラム以下のシンカーをセットして多用する。テキサスにキャロライナ、ジグトレーラーなどあらゆるリグにマッチする点はスティーズクローと同様だ。
佐々木さんの場合、メインリグはヘビーダウンショット。なぜリーダーレスではないのだろうか。
「ボディがスティーズクローよりコンパクトなので、その直下にシンカーがあるとバスに違和感を感じさせてしまうのではないかと。まぁ、僕の持論ですけど。それと水中で水平姿勢を保ってくれるので、そのアドバンテージを活かしたいという理由も」
シンカーからスティーズホッグまでのリーダー分を活かして、水平姿勢からのスライドフォールも可能。フォールのみではなく、着底後に喰わせの間を演出できることも強みだ。
いずれのモデルも、言うなれば”ジャパンオリジナルスタイル”を追求したモデル。カバー撃ちはテキサスリグだけの独壇場ではない。ヘビーダウンショットやリーダーレスなど、あらゆる手を尽くし適材適所で使うことこそが大切なのだと教えてくれる。
「ここで紹介した2018DAIWA新作ルアーはほんの一部。まだまだたくさんあります。お楽しみに!」
次回、佐々木さんが当サイトに登場するのは9月下旬を予定。その1カ月前となる8月26日発売の『ルアーマガジン10月号』にも登場予定。今後もお見逃しなく。