2018年のフィッシングショーで話題を呼んだジャッカル新作のひとつに、「マーモプロップ」という仮称で展示されていたルアーがある。その名のとおり、マーモのニックネームで知られ、人気・実力ともに急加速中の加木屋守氏が手掛けたものだ。正式名は「ディズラ115」。発売を間近に控えた8月初旬、ホームの長良川水系でその開発コンセプトと特徴を聞いた。
「スイムベイトにプロップ付けたらめっちゃ釣れるんじゃないかな、と」by マーモ
「マーモプロップ」がまもなくデリバリー開始! との報を受けて、8月初旬、このルアーの生みの親である加木屋守さんにホームグラウンドの長良川で話をうかがった。
「もう5、6年前かな…。もともと僕はスイムベイトが好きで、とくにヴェイロンを多用していたんです。ただ徐々になんですが、使い込むほどに、追ってはくれるもののバイトに至らないケースが増えてきた。そのときに『あ、バスって学習するんだな』と思いましたね。
ちょうどそんなタイミングでiプロップが発売されて、地元の油ヶ淵や長良川で使ってみたら、ワームに食わなかった見えバスが食ってくるんですよ。しかも日中に。バスに対してiプロップを投げるといきなりスイッチが入ってものすごい勢いで下から突き上げてくる。プロペラの威力を感じましたね。
そのときに閃いたのがディズラの原型です。
もしかしてスイムベイトにプロップを付けたらメッチャ釣れるんじゃないかな、と…(笑)」
当時、知り合いに頼んでオリジナルの構想を形にしてもらったところ、結果はすぐに得られたという。しかし、ハンドメイドの少量生産だったたこともあり、個人的な愉しみの範囲にとどめ、公開することはなかった。
そして2017年、加木屋さんはジャッカルとスポンサー契約を締結。マーモプロデュース第一弾として、マーモプロップ=ディズラ115の開発に着手したのは至極当然の流れと言えるだろう。
【ココに注目!!その1】ボディアクションに影響を与えないプロップ形状
ディズラのプロップは、波動とフラッシングを高い次元で両立。しかしそれだけではなく、ボディアクションへの影響も考慮した設計になっている。プロップは幅が狭いと回転時に後方へと受け流す水量が多くなり、ボディがロールしてしまう。
「ロールが入ると、バスの反応が一気に悪くなってしまうんですよ」
プロップとヘッドに適度な幅を持たせることで、ディズラはほぼロールゼロを実現!!
【ココに注目!!その2】金属接触音もバスを寄せる大事な要素
プロップの前後にワッシャーを入れることで、プロップ回転時にチリチリと金属接触音を発生させる。
「ハードルアーのラトルほどアピールはありませんが、ナチュラルな動きに細かい金属音が加わることで、威嚇本能に訴えたり、バイトの引き金になると考えています。あえてスプリットリングを付けているのも同じ考えで、動いているときの振動によってアイと擦れることで音の効果がプラスされるからなんです」
【ココに注目!!その3】強すぎず弱すぎずテールだけ左右に振る絶妙なリッジテール
「プロト段階ではシャッドテールも試しました。でも、それだと水をつかみすぎてしまう。プロップも水をつかむので、動きが破綻してしまうんです」
リッジテールはテールのみを左右に振り、その振動をボディに伝えるため、アクションそのものが極めてナチュラルだ。
【ココに注目!!その4】ボディを傷めず、なおかつバラシを軽減するフックセッティング
スイムベイトはトリプルフックのうち1本のハリ先をボディに埋め込んで固定するスタイルが多いが、その仕様ではスキッピング時に外れてしまったり、使っているうちにボディの損傷が激しくなりホールド性が悪くなってしまう。
それを解消するのが、特殊なアイによるダブルフックの装着。
キャスト&アクション時はロックしているが、バスが掛かるとファイト中に外れるためバラシ軽減にもひと役買ってくれるのだ。
また、スイベルを介する必要がないため、ロックが外れてもフックがボディから離れて不自然に垂れ下がることがないのもこのセッティングの利点だ。
【ココに注目!!その5】アシストフック用のリアアイも標準装備
ショートバイトや甘噛みが多いと感じたときは、アシストフックを使用。そのためのリアアイがデフォルトで設置されておあり、ピアスダブル#4(リューギ、別売り)がジャストフィットする設計だ。
「ただしアシストを付けると根がかりも増えるので注意が必要です」
なお、飲まれた場合に外しやすいよう、加木屋さんはペンチでかえしをつぶしてバーブレスにしている。
バスに違和感を与えない、プロップの回転とテールの動き!!
リッジテールの、強すぎず、かといって弱くもない絶妙なスイミングはナチュラルそのもの。そこにプロップの回転波動と金属接触音をプラス。釣れる要素を115ミリのボディに凝縮したのが「ディズラ」なのだ。
その艶めかしいアクションの水中映像はコチラから↓
結果としてこの日、手にしたバスは1尾だけだったのだが、逆に猛暑の日中にディズラで引き出したことが驚きだった。カレントの当たるカバーを、バックスライド系もしくはヘビーテキサス等で撃つくらいしか攻略の糸口がなさそうな日にも関わらず、である。
「夏でも釣れないことはないんですが、さすがに今日は厳しかった(笑) ディズラのベストシーズンは、バスがしっかりと小魚を追い回す春と秋。イナッコだけでなく、オイカワやウグイなど各フィールドで捕食対象となるベイトフィッシュを意識して作ったので、場所は選びませんよ」
長良川を中心に、中部のリバーフィールドや野池でテストを重ねたディズラだが、霞ヶ浦水系など他の地域でもプロトモデルはしっかりと結果を残している。発売は8月下旬~9月上旬の予定だ。
8月25日(土)発売『ルアーマガジン2018年10月号』では、上に挙げた特徴だけでなく、加木屋守さんのディズラハウツーについても詳しく解説。スイムベイトでもシンキングプロップベイトでもない新機軸ルアーを、開発者本人はどう使うのか。そちらもぜひチェックしてほしい!!