〈p2から続く〉『ルアーマガジン』誌上にて、その年のバス釣り陸っぱり最強の座を賭けて繰り広げられるガチバトル『陸王』。その伝説の名勝負の数々を振り返る企画としてスタートした『陸王名勝負列伝』、連載初回は記念すべき陸王初バトル・2008年予選第1戦〈関和学 vs 川村光大郎〉の模様をお届けしている。初日合計5140gという圧倒的な強さを見せつけた川村氏は、2日目にどのような釣果を上げたのだろうか。
※本稿は『ルアーマガジン2008年3月号』掲載記事を基に再構成しています。※事実関係等について、本記事公開時点とは一部異なるものがありますが、誌面掲載当時の内容を優先しています。
〈2日目〉川村光大郎編・スタート
「今日は、黒部川へ行きます。一カ所、良い場所があるんです」
明けて2日目、関和さんに対して4キロ近いアドバンテージを持ってのスタート。この日は、土浦からのスタートとなるが「1時間半ほど走ることになりますけど……」と、川村さんは黒部川へクルマを走らせた。利根川との合流点から5キロほどの地点。ハードボトムが所々に点在する、冬の定番的なエリアだと言う話だ。
最初に手にしたのは、ブリッツMR。護岸際を中心に広いエリアを探って行く。
「昨日の5キロを超えるウエイトを出すのは難しい。それよりも今日は、納得のいく1本を釣りたいですね。できればハードルアーで、しかも昨日のバスよりも大きいヤツを(笑)」
8時ちょうど、最初の反応が川村さんの操るブリッツに、この日最初の反応があった。しかし、ピックアップ寸前でのバイトだったためフッキングが決まらず、水面に大きな波紋を残しただけでバスは姿を消してしまった。貴重なバイトだけに、川村さんの顔も苦い。しかし、この魚から得た情報は大きかった。しばらくブリッツを使った後、ルアーをチェンジ。
「ブリッツMRの強い動きに反応できるバスは少ないようなので、低活性時の切り札を出します!」
選んだのはパワーダンク。それまでとは異なり、ピッチングで護岸際を重点的に狙い始めた。
「ショートレンジでキャストして、潜らせすぎない様に泳がせて中層での反応をチェックしようと思いまして」
その直後、中層狙いが的中し、川村さんのロッドが明確なアタリを捉えた。
ルアーチェンジ直後、光大郎のロッドが暴力的に絞り込まれた!
一旦水面付近まで浮上した後、水面に大きく波紋を作り、ヤツは再び水底へと向かって全力で突進を掛ける。川村さんはロッドの弾力を活かして、そのパワーをいなしで水面へと少しづつ誘導して行く。ほどなく、バスが水面に身を躍らせる。軽く見ても45センチは超えていると一目で分かる魚体だ。
「ヤバい、フックが1本しか掛かってない!」
声に緊張が混ざる。しかし、川村さんは慌てず慎重なロッドワークでバスを足元に寄せ切り、見事ランディングに成功!
まさかの計量リミットブレイク!
「でかすぎる!一体、何グラムあるんだ?」
前日のバスを軽く上回るサイズなのは間違いない。果たして、ウエイトは何グラムあるのだろう。取材班が見守る中、バネ計りにバスがかけられる。次の瞬間、カシャン!と小気味良い音をたてて2キロ計りが振り切れてしまった。
なんと、49センチ、2100グラム!
「え、2キロオーバー……?スゴい!あはははは……ダメですね、集中の糸が切れちゃいましたよ(笑) 俺、今日はこの1本だけでオッケーです。もう、釣りしなくてもイイかも……」
午後もハードルアーのみ勝負にいきます!
12時10分、気分転換の為にと昼食を取った後、再スタート。
「常陸利根川に行きたい気持ちもあるんですが、獲れるサイズは小さいと思うんです。だから、午後も黒部川に賭けてみようと思います。朝の場所から少し下流に行った場所に流入河川があるんで、そこに行こうと思います」
入ったのは、黒部川の支流である桁沼川。ファーストチョイスは、やはりパワーダンク。
「これからイイ時間帯ですし、気合い入れ直しますよ。ここは初めて来たんですが、どうやらボトムにゴロタ石が入ってるみたいですね。どこまでゴロタが入ってるかちょっと広く探ってみます」
2本目、来ちゃいましたよ。やっぱりダーンク!
そうして広く探ることしばし、沖に向けてキャストしたパワーダンクをゴロタ石に当てて止めていた所で、バイト!
この日2本目となるバスは、31センチ、400グラム。
「今気づいたんですけど、ここまで来ると上流よりも水質が少し悪いみたいですね。ボトムもゴロタ以外は、泥っぽいですからあまり良くないかもしれませんね。もうちょっとやってみて、反応が無ければ午前中の場所に戻りましょう」
しかし、その後はバイトもなく、このエリアを見切ることとなった。
「最後の勝負!朝イチの場所に賭けます!」
13時50分、午前中に入ったハードボトムエリアに再び戻ってきた。やはり、このエリアに可能性を感じるのだと言う。
「午前中にビッグフィッシュをキャッチした後も、魚種は不明ですけど何回かコンタクトがあったんです。バスではないにしても明らかにココは魚っ気が濃くて良い条件だと思うんです。ですから、時間ギリギリまでここで粘ろうと思います」
午前中同様の狙いで、護岸際をショートキャストで攻めて行く。すると、14時2分に30センチ、370グラムのバスをキャッチ。
「狙い通り、ですね。もしかすると、今日もリミット行けるかもしれませんね。ラストスパートしますよ!」
気合いを入れ直す川村さん。だが、残念ながらその後はバスからの反応はなく、タイムアップ。しかし、その表情は充実感に満たされていた。2日間のトータルウエイトは8キロを超えた。