「ベテランと次世代のエースが一緒に釣りをしたら、どんな化学反応が起きるのか?」そんな疑問を抱いたルアマガソルト編集部は、異色のコラボ釣行を計画! アングラーは、相模川の重鎮である久保田剛之さんと、雑誌取材自体が初めての本間昌和さん。そこには、世代を超えた“シーバスモンスターハント”の「真実」があった!
コラボしたのは2人のメガバスプロスタッフ
【新世代】“今”の最前線を走る期待のエース・本間昌和(左)
シーバス釣りの本格的なキャリアは約8年ながら、精力的に釣行を重ね、王道のドリフトゲームをメインに展開。「清流域で既知のピンスポットを狙うよりも、どちらかと言えば広大な下流域でベイトを探す展開が好きです」という本間さん。新潟リバーゲーム界期待の新星だ!
年齢:28歳
シーバス歴:8年
年間釣行日数:約200日
ホーム:阿賀野川
自己ベスト:98cm
得意なスタイル:中~下流域のドリフトゲーム
【熟練者】柔剛兼ね備えた相模川の“覇王”・久保田剛之(右)
関東でも有数の激戦区、相模川をホームとする久保田さんは、仕事を終えると毎日のようにフィールドへ。自己ベストは、驚異の110cm! プレッシャーを考慮した繊細かつ柔軟なスタイルが信条で、サーフゲームも得意。圧倒的な経験値を誇る“シャローの鬼”。
年齢:41歳
シーバス歴:27年
年間釣行日数:約300日
ホーム:相模川
自己ベスト:110cm
得意なスタイル:シャローのランカーハント
ロコの本間さんがホスト役。例年よりタフな阿賀野川で結果は出せるのか…!?
「取材釣行」というハードルを次世代が突破
取材は9月中旬の阿賀野川で実施。本間さんのホームであり、久保田さんはエリアセレクトを一任した。
本間「僕自身、雑誌の取材自体が初めてですし、尊敬する久保田さんをアテンドするという大役。直前まで毎日川の状況をチェックしていました。緊張しますが……頑張ります!」
久保田「初めて竿を交えるので本当に楽しみ。取材の釣りということで、普段とは違って色々と制約が出てきますが、そのあたりを本間君が考慮できているかを経験者目線で厳しくチェックさせていただきます(笑)」
本間「今年の阿賀野川は水温の変動が激しかったためか、春からずっとイマイチなんですよ。下見の段階では、ずっとベイトの濃いエリアを探っていました」
久保田「ピンスポットの居付きに頼らず、ベイトを追うスタイルは好感が持てるね。2人での釣行ということをしっかりと考えているし、リスクのある回遊待ちに頼らないプランは、取材であることを考えても理想的」
2人が事前に立てた目標は、フィールドの状況を加味し、「最低でも70cm超を1尾」というもの。実釣は夕方から翌朝までの短期決戦。まずは、下流域からチェックを開始していく。
本間「時間によってベイトが移動。それに合わせてエリアを変えて行こうと思います」
2ヶ所目に入ったシャローフラットでは、ベイトの密度が薄いと判断し、両者ともバイトを得たが、早々に移動を決断した。
3ヶ所目に入ったポイントは川幅が狭くなり中洲や浅瀬も隣接。
激戦区で磨かれた熟練者の立ち回り
本間「日が落ちると、未成熟のアユが隣接するフラットの周辺に集まります。直近では、ここが最もベイトの濃いエリアでした」
久保田「すみません、ライトを消してもらえますか?」
取材スタッフがライトを点けていることに気付いた久保田さんから、リクエスト。ただ、目指すポイントはまだ先ですが……。
久保田「普段から静かなエリアでは、ちょっとした“違和感”でベイトとシーバスが警戒してしまいますからね。ウェーディング時の歩き方でも、バシャバシャと撹拌するような歩き方はNGです」
本間「これが、常にハイプレッシャーな相模川で鍛え抜かれた立ち回りですね。勉強になります!」
ポイント到着した2人は、アプローチを開始。
久保田「あれ、沖に出るの!?」
本間「え~、ハイ。普段から沖に出てブレイクの先を攻めてます」
久保田「それでも構わないけど、オレなら足元付近を含めたどシャロー側から攻めるかな」
先輩の意見を尊重し、両者はシャローエリアをサーチ開始。そして数分後、久保田さんが待望のファーストフィッシュを掛けた!
本間「まさに、有言実行。気配を完全に消してますよね。いきなりズカズカと沖に入っていたら獲れない魚だと思います!」
お互いの“ココがすごい!”に迫る
【久保田’s EYE】新世代はココが凄い!「ピンスポットに頼らないポイント選択」
久保田「2名が結果を出さなければならない取材の釣行。回遊待ちでは大外しのリスクがあるし、ピンスポットの釣りは2名で攻められない。あくまでもベイトの量などを基準にポイントを選び、広いエリアを探る展開を想定して場所選んでいる点は、素晴らしいですね。普段からしっかりと考えて釣りをしている証拠です」
【本間’s EYE】熟練者のココが凄い!「ランカーに違和感を与えないアプローチ」
本間「久保田さんは、ポイントに近づく前からライトを消して、静かに歩くように心掛けていました。で、いきなりウェーディングせず、シャローフラットも含めて丁寧にサーチ。ハイプレッシャーな相模川で貴重な1尾を獲るために培った立ち回り。気配を消すことの重要性を痛感。これは、絶対に見習いたいですね」
すべての動作に「気配を消す」配慮が……。有言実行で貴重なバイトを確実にフックアップ!
細かなルアーローテーションの直後に反応!
ヒットルアー・カゲロウ100F「自発的に喰わせの間を生み出すシャローランナーの究極形」
ランカー捕獲の基本は遠征でも不変
久保田さんが手にした1尾は、74cm。釣行前の目標を見事にクリアした。
久保田「本間君が入念な下見をしてくれたからこその釣果です」
本間「自分が釣った以上にうれしい! これで肩の荷が降りました。ヨシ、次は自分も……!」
ランカーハンターならではのビッグフィッシュ。より大きなサイズを手にするためには、繊細なアプローチが必要ですね?
久保田「基本的には、大きな個体ほど賢いですからね。夜のシャローには大型の個体が捕食のために上がって来る可能性がありますけど、そのタイミングや条件は極めてシビア。チャンスをしっかりとものにするためには、アプローチの精度やテクニックだけでなく、気配を消すという努力も大切な要素になります。これは、激戦区の相模川だけでなく、全国どこへ行っても同じだと思います」
一度休憩し、再び久保田さんが釣ったポイントにへ戻ったが、アプローチを再開すると、上流で工事が始まったためか、橋の付近で強くライトが照らされ、騒音が激しくなってきた。
本間「これでは魚が警戒しますよね。朝までに充分チャンスがあると思っていましたが、残念です!」
ここからは、後輩に花をもたせたい久保田さんがエリア選択に奮闘する。遠征釣行時の経験を元に、清流域へ移動。朝マズメの一発を狙ったが、あっという間に日が昇ってしまった。
2人の晩秋ルアーパターンを一挙公開!
久保田剛之/河口付近で“変化”をイージーに攻略
久保田「河川内の水温が低下する晩秋は、様々なベイトが河口付近に集まります。産卵を控えたシーバスは、それらを積極的に捕食。カゲロウシリーズは高感度で流れの強弱を把握しやすく、ビギナーの方でも扱いやすいルアー。まずは飛距離を活かして広範囲を探り、流れの変化を見つけたら集中的にアプローチするのが基本ですベイトのサイズなどよって100Fと124Fを使い分けつつ、上のレンジを攻めきった後はマリンギャングでレンジを下げてトレース」
本間昌和/オチアユ最後期はミッドレンジをナチュラルに
本間「カッターは応用範囲が広く、僕にとって欠かせないルアーのひとつ。塩分濃度によって浮力が変化し、上流ではスローシンキングに。晩秋は落ちアユパターンが面白い時期ですが、まずは上のレンジをカゲロウで流し、反応がなければカッターにシフト。あえてボトム付近を流されるアユをイメージしてドリフトさせるのが効果的です。シルエットを細く魅せたい場合は、X-120SWの出番。この3本があれば、晩秋の河川を存分に楽しめると思います」
実釣を通して感じたこと
モンスター捕獲は再現性が高い
短時間の釣行でしたが、見事な1尾が出ました。
本間「個人的には釣果を出せず悔しいですが、久保田さんを拝見して、気配を消すということの重要性が痛いほどわかりました(笑)」
久保田「世の中には、もっと凄い人がいるよ。具体的には、ズイールの柏木重孝さん。上手な人ほど、アプローチが常に慎重で丁寧なんだよね」
本間「ちなみに、久保田さんは激戦区の相模川で110cmを含めて、数多くのランカーを手にしていますよね。同じフィールドに通いこむことで、見えてくる法則のようなものってありますか?」
久保田「推測だけど、大型の個体は生まれたときから遺伝子レベルで警戒心が強い。だから生き残って大きくなれるんだと思う。警戒心が強いからこそ、普段は沖目で生活していて、潮位や時間帯、ベイトの種類などの条件が完全に一致したときだけ岸近くに寄って捕食。タイミングはシビアだけど、その再現性はかなり高い」
本間「通い込むほどにランカー捕獲の確率は上がる、と」
久保田「その通り。でも、ずっと同じポイントだけで釣りをしていてもわからない。反応がなければ、まずは積極的に足で稼いでドンドン移動すること。たとえ釣れなくても経験を重ねて、釣れない理由を考えたりすることが大事だね。本間君は、まだ28歳。今の時点でも技術や考え方の面ではすでに一線を画すレベル。これからもっと成長できる可能性を充分に秘めていると思う」
本間さんは、今後どのようなにアングラーとして活躍していきたいですか?
本間「もちろん、もっと経験を積んでレベルを上げて行きたいですが、それと同時に、次の世代皆さんに新しい形でシーバスの世界を広めたいというのが大きな目標です」
久保田「本間君は、釣り以外にもキャンプやスケートボード、音楽なんかも“真剣に”楽しんでるよね。若い世代のカルチャーというか、そういった今風の遊びのひとつという位置付けなのかな」
本間「そうなんです。シーバスゲームは、最高にカッコいいアクティビティのひとつ。若い世代の今風の遊びとしてボーダレスに楽しめるような雰囲気を発信できれば最高ですね。もちろん、中途半端になるのは不本意なので、釣りには全力で取り組みます」
久保田「次世代アングラーならではの目標だね。じゃあ、次は僕のホームである相模川に遠征してみる?」
本間「ぜひ、お願いします!!」