〈p4から続く〉『ルアーマガジン』誌上にて、その年のバス釣り陸っぱり最強の座を賭けて繰り広げられるガチバトル『陸王』。その伝説の名勝負の数々を振り返る企画としてスタートした『陸王名勝負列伝』、連載初回は記念すべき陸王初バトル・2008年予選第1戦〈関和学 vs 川村光大郎〉の模様をお届けしてきた。2日間の激闘を制したのは、合計8尾8000gオーバーの記録を叩き出した川村さんだった。2日目の釣りを終えた後に行われた、お2人の対談の模様をお届けする。
※本稿は『ルアーマガジン2008年3月号』掲載記事を基に再構成しています。※事実関係等について、本記事公開時点とは一部異なるものがありますが、誌面掲載当時の内容を優先しています。
- [p1]陸王2008予選第1戦・概要/初日:川村光大郎 編
- [p2]初日:関和学 編
- [p3]2日目:川村光大郎 編
- [p4]2日目:関和学 編/総合結果
- [p5]ザ・対談:川村光大郎&関和学(本稿)
川村光大郎「前日から、ワクワクしちゃいました。関和さんはどうやって釣るんだろう、って」
編集部「お疲れさまでした。2日目を終えて、お2人の戦いの流れ的なところと、考えていた戦略についてお聞かせ願いたいと思うのですが」
関和「俺はね、自分が直接得た情報以外には入れないでやりたいタイプだから、今回も特別な前情報は無く挑んだんだよね。自分が持ってる情報と、長年カスミ水系でやってきた中での良かった場所巡り。それをTPOに合わせて釣りをローテーションしていくっていう、いつものトーナメントと同じやり方で挑んだっていう感じかな」
川村「栗山川への移動はビックリしましたよ。ホントに」
関和「そうかな? 光大郎君も人と競った経験があるから分かると思うけど、勝負の時はメンタルを作らなきゃいけない。そうなると、トーナメンターとしては本能的にまず魚を触っておきたいと思うんだよ。栗山川は自分の中ではスーパーなフィールドだから、例え移動に2時間かかっても、いいバスを持って帰ってきて、最後利根川で勝負しようと思ってた。でも、その予定が大幅に狂ってしまった。その時に、じゃあどうしようかと。そこで俺は一発のある利根川での勝負よりも、霞ヶ浦本湖の自分がよく知っている場所で、意地でもリミットを揃えて帰って来ようって思ったんだよ。それが初日だったね」
編集部「川村さんはどういう釣りをしようとプランを組んでいましたか?」
川村「僕の場合、冬は割とエリアを絞るんです。例えば、他のシーズンならば自分がやりたいエリアが10あるところを半分以下にして、1カ所での時間を2倍かけようって考えます。今回考えていたエリアは、まず与田浦。それに常陸利根川と黒部川。その3カ所を考えてました。その中から2カ所を1日ずつやり切ろうというプランを立てたんです。さらに、今作ってるドライブクローというクローワームにスゴく釣れるという自信があったので、バスの目の前に丁寧にアプローチさえ出来れば食ってくれるだろうと思ってました。ですから、初日はそれをひたすら丁寧に撃っていったんです」
関和学「俺と光大郎君とで、全く違った釣り方を見せられたから面白いと思うんだよ」
関和「川村君が使っていたクローワームだけど、フォールでハサミがパタパタするの?」
川村「はい。今回はライトテキサスで使ったんですが、オダの枝をゆっくり乗り越えてぶるっと抜けた時に、ハサミが動いてプルプルって震えながら落ちるんです。また、ボディを太く短くする事で、後ろの方までフックポイントを持って来れるデザインにしてあります。カバーの釣りでスッポ抜けって絶対に避けたいじゃないですか。で、昨日は6バイト6フィッシュ。全部がっちり掛かってましたね」
編集部「今日はハードルアー?」
川村「今日は全てパワーダンクでした。朝イチに1本ブリッツMRでバラしちゃったんですけど。その後はパワーダンクに換えて、護岸沿いをショートキャストで中層を泳がせて釣っていきました。それで、今日は3匹。1匹目が2キロオーバー。で、2匹目と3匹目は小さくて400グラムくらい」
編集部「え、じゃあ、合計今日は3キロくらい?」
川村「2キロ計りを振り切っちゃったんで、正確には分かんないんですよ」
編集部「2日で8キロ…………(絶句)」
関和「完敗だよね」
川村「いや、でも出来過ぎっていうか神懸かってたというか」
関和「出来過ぎで良いんだよ! スゲーなあ……」
編集部「2日目になって初日と変えた事は、関和さんはありますか?」
関和「特別、釣り方は変えてないよ」
編集部「エリアや、狙い所等はどうですか?」
関和「初日は好きな事を好きなようにやりました。2日目は、リミットを揃えたいとかウエイトで逆転するって言う発想は無くて、1発が出るのはココだなっていう所だけをやっていきました。釣り方は初日と同じで、よりでかいバスが獲れる大場所をメインに回ったんだけど、残念ながら……ね」
編集部「では、2日間の対決の感想というか、お互いを見て思った事を聞かせて頂ければと思います」
関和「もともと光大郎君の事は、霞水系の陸っぱりでスゴい子っていうのは知ってたんだよ。俺はそもそもトーナメンターだから、陸っぱりの先輩的なアングラーだと思ってる。その子とこうやって対決させてもらえるっていうのは、自分にとってスゴくプラスになるんですよ。特にね、光大郎君のこうだと決めた事に対する、迷いの無さが羨ましいと思いました。それを今回目の当たりに出来たんで、素直に吸収させてもらおうかなって思います。陸っぱりアングラーとして本物だよね。勝負は完敗、参りました!!」
編集部「川村さんはいかがですか?」
川村「今回、楽しみでしょうがなかったんです。普段の取材って、明日ゼロだったらどうしようとか思っちゃうんですけど、それよりも、ワクワクしちゃいましたね。同じ日に、違うアングラーと同じ水系でやれることなんて、滅多にある事じゃない。関和さんはドコで釣るんだろう、どういう釣りするんだろうって、ずっと考えてましたよ」
関和「今回はね、光大郎君が冬のセオリー的な戦略を見せてくれたし、俺は陸っぱりのセオリーであるいろいろな所へ行くって戦略を見せられたから、面白くなったんじゃないかなと思います。結果としては、光大郎がスゴかったんだけどね。黒部川から、パワーダンクとブリッツMRで魚を出したのは本当にスゴいよ」
川村「逆に言えば、僕はコレで釣れるって思ってやってますからね」
関和「そういう、『絶対に釣れる』ってコンフィデンスを持ってるのと、やり切ろうっていう迷いの。さがスゴいんだよ。オッサンにおると、スケベ根性が出てくるからそれができないんだよ。イヤー全にやられたね。スゴいわ、オメデトウ」
川村「こちらこそ、ありがとうざいました」
陸王2008冬 勝利の法則「勝ちルアー」はこれ!
ライトテキサスで、シャローをじっくりと攻略するための最終兵器
川村「ドライブクローのテキサスリグは、3グラム&12ポンドと5グラム&14ポンドの2タックルを用意してました。それを場所に合わせて使い分けたんです。早く動かしていい結果の出る季節ではないので、スローを心がけてオダの枝を一本ずつ乗り越えては落として、を繰り返すイメージですね。オダの枝くらいなので大した起伏ではないんですけど、その高さのフォールでも各パーツが動いてキッチリ仕事をする、というのがドライブクローの特徴なんです」
ドライブクロー(テキサスリグ)[O.S.Pプロト]
オダの1本1本をナメる様にスローにトレースするのがコツ。枝の一本一本を舐めるようにトレース。少しのスキマにも落として、バスの目前に届けられるようにするのがキモだ。
低活性時の切り札が演出するのは中層を無防備に泳ぐベイトフィッシュ
川村「パワーダンクはアクションも強すぎず、急潜行した後は比較的水平気味に泳ぐので無防備なベイトを演出しやすいんですよ。だから、低活性時にも強い。今回は浅い場所を中心に釣っていったので、ショートキャストを多用する事と立ったりしゃがんだりすることと、ロッドポジションを変えることで、あまり潜らせない様にして中層を狙っていきました。いきなり2キロオーバーが来たのは余りにも予想外でしたけどね(笑)」
パワーダンク(フローティング)[O.S.P]
通常のキャストでは潜りすぎるパワーダンクのレンジをショートキャストでコントロールしていくのだ。
『陸王』2008予選Part.1 全日程
- [p1]陸王2008予選第1戦・概要/初日:川村光大郎 編
- [p2]初日:関和学 編
- [p3]2日目:川村光大郎 編
- [p4]2日目:関和学 編/総合結果
- [p5]ザ・対談:川村光大郎&関和学(本稿)