止めたら沈んで、巻いたら浮上するスプーンの世界は結構シビア。何しろ動かさなければ単なる「鉄板」なのだから……。だが、理論うずまくエリアトラウトの世界において、スプーンは花形ルアー。その理由はごまかしが効かないから! そんな王道ジャンルをマスビギ!! スプーン入門編は、何を買ってどう釣るかをバッチリレクチャー!
■荒川通(あらかわ・とおる)
通称スピードスター。ヴァルケイン・プロスタッフ。ピーキーにして攻撃的なタックルを駆使して、トラウトと濃密なコミュニケーションを取りながら電光石火で掛けていく。「静」から「動」へ。「動」から「静」への世界を自在に行き来するエキスパート。
ただの鉄板……スプーンってどう動くのか!?
どんなスプーンも動きはウォブンロールアクションが基本。個々の違いはウォブリングが主体なのか? もしくはローリングが主体なのか? ウォブリングが主体になるほどアクションは強くなる。
一般的に形状が丸型タイプはウォブリングが強くなる傾向があります。一方、細長タイプはローリングが強くなります。もちろん、すべてがそうだという訳ではありません。あくまでもその傾向があるというレベルです。
釣り具店に行くと膨大な数のエリア用スプーンが販売されている。どれを購入していいのか迷ってしまうが、まずはウォブリング主体の強アピール系スプーンをセレクトしよう。そしてローリング主体の弱アピール系スプーンの2タイプが必須。
スプーンは適正スピードの幅が広く、ビギナーにはビギナー用の顔で接してくれて、エキスパートにはエキスパート用の顔で接してくれる。だから、釣りの幅の広いスプーンが使いやすい。
そのような点を考慮すると、強アピール系スプーンは「ハイバースト(ヴァルケイン)」。
弱アピール系スプーンは「アイスフェイク(ヴァルケイン)」の2種があると安心といえる。
まず買うべきカラーは6色!
荒川さんオススメカラーバリエーション。
上から3番目の色は、サシ色。サシ色は、カラーローテーションに対してもサカナがスレたときに、変化球として入れる色。それによって食いが変わったり、反応がリセットされることも。
写真は必要なカラーの傾向です。
必ずしも写真と同じ色が必要な訳ではありません。
必要なのは中間色系。写真で言うところの中央部付近。
写真上部に行くほどアピールが強い色になります。つまり強アピール系カラー。
下に行くほどアピールは弱くなります。つまりナチュラル系カラー。
通常は中間色から試して、トラウトの反応を調べてから色を強くするか? 弱くするか? といった戦略を練ります。
■アイスフェイク1.6g(ヴァルケイン)
■ハイバースト1.6g(ヴァルケイン)
ウォブリング系スプーンで『うぶマス』を根こそぎ!
ハイバーストはウエイトによって個性が大きく異なるスプーンです。
全部で8タイプのウエイト展開がありますが、最初にそろえるには1.6gがオススメです。使い手、場所、状況を選ばずに幅広く使用可能。
アクションはウォブリング主体のウォブンロール。ハイアピール系スプーンですが、高活性から低活性までよく釣れます。
ハイバーストをキャストして最初は0カウントで即リトリーブします。
次にカウントを取りながらボトムまで落としてリトリーブ。
そして、次にその中間のカウントレンジをリトリーブします。
レンジは主に上、中、下という3分類で考えていれば問題ありません。今、反応がいいのは上なのか、中なのか下なのか……ということです。ただし、この3分類だけは可能な限り正確に把握しましょう。
スプーンをローテーションし、連発をキープ!
ハイバースト1.6gの反応が鈍くなったとき、次のローテ方向は大きく分けて2方向ある。ひとつはハイバースト固定でカラーだけ落とす。もうひとつはカラー固定でスプーンをアイスフェイクにローテして動きのみ落とす。
アタリが弱くなってきたら、ハイバースト1.6gのスプーンを固定した状態で、カラーのアピール力だけを落とすローテーションを。
色にスレたから、ローアピールのカラーに変更!
今度は、スプーンの種類をローテーション!
ハイバーストで、アタリが弱くなった要因が派手な動きを嫌い始めているようだったら、カラーを固定して、スプーンをアイスフェイクにローテさせます。
カラーローテとルアーローテ、どちらが先……という明確な方程式はありませんが、一般的には最初にハイバースト固定で、カラーのみ落とす。
それでもダメなら、カラー固定でアイスフェイクにローテ……という流れです。
もちろん状況によっては、その限りではないです。
アイスフェイクは、タイトローリング主体のローアピール系スプーン。トラウトを寄せるチカラはハイバーストよりも弱いが、その分トラウトを刺激せずに、しっかりと口を使わせることが可能。対応スピード幅がとても広いためスプーン未経験者でも使いやすい。エリアを代表する人気ローアピール系スプーン。
レンジの他にスプーンゲームのカギを握るのが巻きスピードなのだが、スピードに関しても最初から難しいことは考えずに、使用しているスプーンがレンジキープできる速度で巻けば問題ない、と荒川さんは言う。
特にハイバーストとアイスフェイクを使っている限り、スプーン本来のポテンシャルが高いので、適正速度で一定にリトリーブしているだけでOKです。
大切なのはどのタイミングでハイバーストからアイスフェイクにローテするのか? というタイミングの問題です。
スプーンは物理的に沈むので、どんなに軽いウエイトのスプーンでも理論上表層からボトムまで探れるのがメリット。
あとは、使い手側の技量がダイレクトに出る、ゲーム性の高さが魅力です。
デメリットは沈みモノなのでスロー展開でのレンジキープが難しいことです。
いずれにしてもエリアゲームの花形ルアーなので、できるようになったときの楽しさは格別! また、ごまかしが効ないルアーなので、マスターすると他魚種の釣りの腕もアップしますよ!