時間をかけてタックルを開発し、そのこだわり抜いたアイテムを提供しつづけるアジング専門メーカー・サーティフォー。今回の紹介するアジングロッドは、マルチピースなのにベンディングといい、感度といい1ピースや2ピースと錯覚してしまうほどの完成度を誇る、最新マルチピース・アジングロッド「ADVANCEMENT(アドバンスメント) BCR-56/サーティフォー」のご紹介。開発者の家邊克己さんに語っていただきましょう!
家邊克己(やべかつみ)。アジングなどのライトゲーム専門メーカー・サーティフォーのCEOを務める。自宅に帰るのは年に数日という、アジングジャンキーであり、ワーカーホリック。それゆえに、タックル開発にかけるこだわりと時間は圧倒的で、真の現場主義。ゆえに、その商品は多くのユーザーに愛される。
最初渡された時に本当に4ピースには思えなかった、このロッドの特徴とは?
現在、好評発売中となっている「ADVANCEMENT(アドバンスメント) BCR-56/サーティフォー」を現場で初めて触ったのは6月初旬の取材時。サーティフォーの家邊克己さんが、何気なく手渡してきたのがこのロッドだった。
まずは空振り。サーティフォーらしいミッドからティップがしなやかなアクションで、非常に軽い。軽く、ジグヘッドリグをキャストしても素直に振動が収まり、するすると飛距離が伸びていくディスタンス性能。非常に、扱いやすいアジングロッドだ。
ん? しかし5ft6inというスペックは? サーティフォーのリリースするアジングロッドの中に、ほぼ同等に近いスペックで展開されているアイテムがすでにある(5ft7inや5ft8inというモデルはある)。専門メーカーらしく、1inで刻んで来たのか?と一瞬考えた。しかし、1inc違いとはいえ、似たようなアクションのロッドをなぜ、サーティフォーが展開してきたのかという意味が少し理解できなかったのだ。
家邊さんにその意味を尋ねようとしたときだった。見透かしたように家邊さんが答えを先に記者に伝えてくれた。
「そのロッド、4ピースロッドですよ。普通の2ピースだと思ったでしょ」
え?まさか、と思ったと同時に、スペックとアクションの意味、そしてこのアイテムの意味を理解した。家邊さんは、携帯性の高いマルチピースでありながら、従来の2ピースロッドと遜色ないアジングロッドが作りたかったというわけだ。
それを告げられてから、このロッドをまじまじと観察した。そして、気づいたこと。
ジョイントに並継を採用している! 最近のロッドはジョイントに逆並継を採用していることが多いが、ADVANCEMENT(アドバンスメント) BCR-56は全てのジョイントに並継を採用しているのだ。これがもしかして、4ピースと思えなかったカラクリなのか?
旅行、遠征、出張に携帯できる本格的アジングロッド!
「それだけではないですが、並継もそのロッドの感度に一役かっていますよ。簡単にいうと、そのマルチピースロッドが通常の2ピースばりの感度と操作感、ベンディングを見せるのは、ロッドの設計と、共振周波数にこだわって作っているからです。感度の良い素材を組み合わせるだけでは、そういったロッドはできないんです。緻密にプリプレグのパターンや、ジョイントの組み合わせを計算して、ロッドがちゃんと共振して手元に穂先の情報を伝えることを意識しています」
いや、お世辞ではなく、本当に2ピースの普通のアジングロッドだと思いました。
「でしょ? なので、このロッド、マルチピースロッドと謳わずに普通にお店に並べていただきたいぐらいなんですよ(笑)。僕もいつもこんな感じで、日本各地や世界各地に出向くじゃないですか。そうなるとマルチピースが欲しいなとずっと思っていたんですよね。このADVANCEMENT(アドバンスメント) BCR-56なら、携帯用というわけではなく、ちゃんとメインで使っていける仕上がりになりました(笑)」
実際に、家邊さんの休憩中にロッドを奪ってアジを掛けさせていただいたりしたが、その使用感と感度、キャストフィールの良さは、既存の2ピースと比べても遜色ないのだ。軽さ、感度の良さは特筆ポイントで、初心者でもベテランでも一線で使い続けられるアジングロッドに仕上がっている。
最近の取材で、理由がないかぎり、このADVANCEMENT(アドバンスメント) BCR-56を持ち歩くスタイルになっている家邊克己さん。単純にプロモーションという理由だけでなく、その使い勝手と実力に自信があるからだろう。この新作ロッド、そろそろ店頭に並び始めることだろう。ぜひ手にとって、4ピース感のないこのロッドのポテンシャルを感じて欲しい。