量産リップレスミノーの草分け的存在!『スーサン/邪道』を紐解く!



愛嬌のあるルックスからは想像できない凄まじい釣果へ導いてくれる、大人気シーバスルアー『スーサン/邪道』。このルアーの誕生秘話をルアマガプラスで公開!開発者はご存じ、シーバス界を牽引する“あのお方”です!

『湾奥のカリスマ』もとい、日本のシーバス界を牽引し続けるレジェンド!

ルアーブランド『邪道』とのナレソメ

東京湾のボートシーバス大会で運命的な顔合わせ

村岡さん「2001年くらいだったと思うけど…、シーバスルアーとして初めてのブレード系ルアー・クルクルが登場し、ボクも実際に使ってみたら恐ろしいほど釣れた。特にデイゲームでは革命的と言えるほどバカバカ釣れて『コレは凄いことになったぞ…』と、ちょっとした脅威を感じていたくらい。このクルクルの存在が、邪道というブランドを意識するキッカケでしたね。

こちらは初代クルクルから更に派生モデルとして生まれた「クルクルファーストアタック」

そして、その年だったか翌年だったかは忘れたけれど、秋に東京湾でボートシーバスの大会が開かれて、そこに藤澤周郷さんと久保浩一さんが釣りビジョンの番組『シーバス研究所』の企画として参加していたんです。

そのときに話をする機会があって、藤澤さんはボクのことを少しは知っていてくれたみたいで『東京での活動を、一緒にやってみない?』と声を掛けてくれた。

当時ボクはメガバスにサポートしてもらっていて、その釣果レポートを自分で運営している『東京シーバスネット』というサイトで逐一報告させてもらっていた。X-80SWで爆釣していた頃だったので、藤澤さんもサイトを通じてボクを認識してくれていたんだと思う。

クルクルを作った張本人からルアー作りを誘われたわけで、それはもう嬉しかったのを今でも覚えている」。

新たな爆釣誘発ルアー『リップレスミノー』

村岡さん「スーサンを作るキッカケは、ハンドメイドビルダーが作っていた、当時としては珍しかったリップレスミノー達の存在が大きい。例えばミラクルワークスのメケメケやハンマー。いずれもリップ付きミノーでは難しいタイトなローリングアクションで爆発的な釣果を叩き出した。

しかし、バルサ製ボディなので飛距離は正直イマイチ。しかもハンドメイドということで価格が3000円超と、当時としては結構な高級品だった」。

※東京湾シーバスネットでは当時ミラクルワークスのルアーで釣果を出した村岡氏の記事が掲載されているので気になる方は下記をチェック⇩⇩

村岡さん「そこでプラスチック素材を使って重心移動を搭載し、大幅な飛距離アップを画策。オマケに価格も1500円以下に下げて、より多くのアングラーに使ってもらおうと考えた。こうして、ボクの理想とするリップレスミノーは2005年頃に開発をスタートしました」。

『スーサン』の誕生

『水平姿勢を保って泳ぐ』という外せないファクター

村岡さん「リップレスミノーを作る上でもっともこだわった部分は、泳いでいるときに如何に水平姿勢を保てるか、ということ。
ルアーはアクションを付けて泳がせようとすると水を掴む必要があるので、ヘッド周りに水圧が集中する。そうなるとどうしても頭下がりの姿勢で泳ぐ傾向が強くなるんです。
しかし、実際にベイトフィッシュが泳いでいる様子を観察すると、進行方向に対して頭を水平に向けるというのがセオリーで、頭を下げながら泳ぐ不自然な姿は見たことがない。

例えば、バイブレーションは基本的に頭を下げ気味に泳ぐルアーだけれども、釣れると評判のシーバス用バイブレーションは水平気味に泳ぐものが多く、東京湾のようなプレッシャーの高いフィールドで釣り比べると、突き詰めれば突き詰めるほどその差が決定的になる。だからこそ、水平姿勢は飛距離以上に重要なファクターだったんです。

 
そして,陸っぱりシーバス攻略には欠かせない水深50cmレンジを、速く巻いても遅く巻いてもトレースできるレンジキープ力。この点に着目して大ヒットしたのがアイマのコモモ125Fで、後を追うように120mmクラスのリップレスミノーが次々と発売された。

コモモSF-125(アムズデザイン)

でも、ハイプレッシャーな湾奥でも釣れるような70mm前後のひと口サイズボディで50cmレンジをキープできたルアーは、他にひとつもなかった。だからこそ、そこに開発ターゲットを絞り込んだとも言えます」。





東京中心の開発なのに他地域でもバカ売れ!!

村岡さん「かくして、スーサンは2008年に発売されることになるんですが、性能的には最高のモノができたという自負があったので、売れることを信じていた。というか、少なからず自信があった。

スーサン(邪道)

と言うのも、当時のシーバスアングラーは情報に飢えていて、ボクがブログに載せていたスーサンの情報を大勢のファンが見てくれていたので、彼らは必ず買ってくれるだろう、と。ボクの活動は東京湾奥メインなので、購買層も東京が中心で他の地域はまずまず…という予想をしていた。発売後、予想通りに東京での売れ行きは始めから爆発的で、それに伴い嬉しい釣果報告もたくさん届きました。

ただ、意外と言っては何だが東京以外の地域でも売れ行きが順調で、特に福岡は東京に迫る勢いのバカ売れだった。博多湾でスーサンを初めて使ったアングラーが恐ろしいほどの釣果を叩き出し、それがインターネットを介して話題となったからなんです。

また、静岡でも当時難解を極めていた、何をやっても釣れない『ハクパターン』に対してスーサンが見事にマッチして、大河川や浜名湖での爆釣をキッカケに大量出荷されたのを覚えています。

以前ルアーマガジンソルトで取材を行った邪道THE MISSION(2015年島根県)でもスーサンが大活躍。

発売から最初の3年間は作っても作っても生産が追い付かないほど売れ続け、現在でも全国のアングラーに愛用されているのは本当に嬉しい限り。ボクの着眼点が間違っていなかったという自負もあるが、藤澤さんからの誘いがあったからこそ、邪道と行動を共にしたからこそできたルアーだという思いが今でも強いです」。

リップレス形状でなければならない理由『速くて細かい動き』

70mmクラスのリップ付きミノーは多い。しかしどれもバタバタした動きで、タイトでハイピッチなローリングアクションにはリップレス形状が不可欠だった。大きな目玉はワザとマヌケな顔にしたい&バイトマーカーの二重の意味が。

『スーサン』ネーミングの由来

スーサンの名前の由来はご想像通り、あの『スーサン』なのだ。

スーサンの前に出した「ヤルキスティック」は、名前の割にはヤル気のないルックスが逆にウケて購買意欲につながった。ならばスーサンもワザとマヌケ面にして、親しみのある人の名前にしたかった。そこで、当時流行っていた有名な映画から、登場人物の名前を頂いのだ

スーサンから派生した2つのモデル

チョーサン(邪道)

キャスト性能向上版のタングステンウェイトモデル

重心移動搭載で、70mmクラスのミノーながら十分な飛距離を確保したスーサン。そのメインウェイトをタングステン化することで、更なる飛距離を得たのがチョーサン。ウェイトを変えることで生まれた更なる性能もある。

スペック
●タイプ:シンキング
●全長:75mm
●自重:9g
●カラー:全10色
●価格:1500円

ニーサン(邪道)

ダウンストリーム専用。アップストリームはオススメしません!

ダウンストリームでのドリフト釣法に特化したバリエーションモデル。水の抵抗を受けにくいボディフォルムにより流れの中でも暴れにくく、反転流をほとんど作らないのでシーバスも警戒することなくバイトしてくる。旧江戸川や荒川でのゲームを想定して開発。

2017年に行われたルアーマガジンソルトの邪道THE MISSION4の取材では、球磨川(熊本県)で良型のシーバスをニーサンの細かいトウィッチで3連発!!

スペック
●タイプ:シンキング
●全長:100mm
●自重:13g
●カラー:全21色
●価格:1800円

何をやってもダメなとき、最後の切り札として使うことが多いスーサン。雑誌やテレビの取材でも最後の最後で何度となく助けられたという。

村岡さんの長いプロ人生を支えている、頼りになるルアーのひとつなのだ。

スーサンのアクション動画や壁際トウィッチなどは下記の動画をチェック⇩⇩