梅雨に入り雨が心配されていた某日。記者は郊外のとあるキャンプ場へと向かっていた。芸人であり、人気YouTuberとして活動をするヒロシさんのソロキャンプにお邪魔するためだ。今回はヒロシさんとキャンプ仲間のベアーズ島田キャンプさんの2名が登場。誰にも咎められない。誰とも合わせなくて良い。各々が好きなこと、やりたいことを自由にやる究極の大人遊び『ソロキャンプ』。自由な2人の掛け合いをお楽しみください。
ヒロシ
1972年1月23日生まれ。熊本県出身。趣味:ソロキャンプ・ベース演奏・車・バイク・釣り。
芸人としてお笑い活動の他、俳優、ラジオパーソナリティ・執筆活動など幅広い分野で活躍する。近年では、趣味のソロキャンプ動画を自身で撮影・編集したYoutube「ヒロシちゃんねる」を開設し、登録者が43万人を突破するなど根強いファンも多い。『2019年テントサウナあたため選手権』日本優勝を果たした。
ベアーズ島田キャンプ
1977年7月6日生まれ。愛知県出身。趣味:キャンプ・バイク・お酒・料理。特技:火おこし・知らない人に喋りかけられること。
野外料理研究家・ソロキャンパー・Youtuberとしてヒロシ率いるソロキャンプグループ『焚火会』に所属している。趣味を生かしてフードコーディネーター・バーベキューインストラクター・料理検定・大型二輪と資格を取得。ヒロシさんとともに『2019年テントサウナあたため選手権』で日本優勝を果たす。
すでにキャンプ始めちゃってますが、なにか。
これまで『釣り』というジャンルで様々な情報を発信してきたチーム・ルアマガ。釣りだけじゃなく、今後は釣りを含めた広義のアウトドア・アクティビティもできれば知りたいよね! というわけで、今回は”孤高”という点において共通しそうな『ソロキャンプ』の実態をリサーチしてみた!
そこで、ソロキャンプブームの火付け人のひとりで、芸人兼人気YouTuberのヒロシさんとベアーズ島田キャンプさんの『焚火会』にお邪魔することと相成った記者。ワクワクしながらキャンプ場に到着!・・・したものの、すでに宴は始まっていたのである(汗)。
ヒロシ「どうも。ちょうど休みが取れたんで昨日からキャンプ始めちゃってます」
ベアーズ島田キャンプ(以下島田)「我々すでに満喫しちゃってますね(笑)」
なるほど、すでに設営は文句のつけようがないほどにバッチリと完成してある。人気のない山頂の広場にタープ&ハンモックを張り、黙々と火を焚き続けるふたり。あまりの溶け込み具合にもう何年もその場所に根を張っているような、仙人のような貫録がにじみ出ていた。
ヒロシ「おなかが減ったんでね・・・。何か食べても良いですか」
島田「僕も食べたいっす」
ヒロシ「カップラーメン食べよう。お湯沸かします」
島田「カップ焼きそばがある!」
時刻は昼に差し掛かろうという頃合い。すでに現場は自由な空気が漂っており、ここは先に食事をしてもらうことに。差し入れで買ってきた食品を物色し、各々作り始めた。
ヒロシ「・・・煙い。目に染みる」
なるべく自然にあるものでシステマチックなキッチンを作り出すヒロシさん。必要最小限で置かれた道具たちはどれもシブい。ソロキャンプにおいて”無骨”さを追求するヒロシさんならではのセンスが光る。ヒロシさんや島田さんの愛用品は、またの機会に紹介することにしよう。
とりあえず湯を沸かし終えたら、とりあえず食事をとる。とりあえず、キャンプをやろうと思ったきっかけは?
ヒロシ「親ですよね。小学校のときに親に連れて行ってもらったのがキャンプを始めたきっかけです。それで、たまに行っていたんですけど、芸人になってからは行ってなかったですね。お金なかったし」
それで、またキャンプをやりたいなって思ったんですか。
ヒロシ「そうですね。お金を持ち始めたときからです。いや、そうですよ。お金なかったんですよ。車がないから移動手段が・・・っていうレベルの話じゃなくて、そもそもお金がなかったんだもん、圧倒的に。島田くんも知ってるだろうけど。芸人で売れる前の頃ですよね。変な話、風呂ナシの家に住んでてキャンプ行くかって話ですよ。極端にいうと、”実生活がサバイバル”」
一同(笑)。
ヒロシ「当時はお金の無さが尋常じゃないんで、キャンプなんかやってる場合じゃなかったです」
島田「あの頃は、『こっちの方が乗り換え多いけど20円安い』とか言いながら電車乗ってましたよね(笑)」
そう語るのは古くからヒロシさんを知る焚火会メンバーであり、同じくYouTuberである島田さん。スタイルはヒロシさんと同じ無骨スタイルを貫く。吊るされた肉の塊が何ともワイルドである。
”野外料理研究家”ということですが、その肉はいつから吊るしているんでしょう?
島田「昨日の夕方くらいからかな」
ヒロシ「えっ、昼くらいからじゃなかったっけ。でもさ、そのまま放っておいたら夜寝てる間にシカなんかの野生動物に食べられてても良さそうなのに、まぁ寄り付きもしないもんだね」
島田「いや、シカは肉食じゃないっすから!(笑)」
でも、キャンプ始めると狩猟なんかもやってみたくなるんじゃないですか?
ヒロシ「うん、そうなってくるよね。島田君も見に行ったりしているよね」
島田「僕、前に奥多摩の丹波山でアナグマを食べました。あと、シカ肉も。でも、知り合いのわな猟師の話を聞くと一番クマが美味いんだとか。そうなんだと思いつつもめっちゃ怖い(笑)。あいつらはハチミツを食うんで養蜂所の近くに罠を仕掛けといて…って感じで」
そんな狩猟にも興味を持つ島田さんだが、目の前に吊り下がっているワイルドなお肉は食べることなく(本人は適宜食べてるとのことだが)、カップ焼きそばを作る。そして、なにやら焼きそばのゆで汁をマグに移してそこに塩をかけ始めた。何をしているのだろう。
島田「何って、ゆで汁で作る”スープ”ですよ。ジャンクなんですけど、これがまたシンプルで美味いんすよ」
ヒロシ「いや、それはナイでしょ(苦笑)」
島田「アリますよ! 美味いから飲んでみてくださいよ」
ヒロシ「結構です」
カップ焼きそばも、ゆで汁スープも島田さんが美味しく頂きました。
ルアマガなんで・・・
さてさて、食事をとったあとは、腹ごなしもかねてアクティビティをやっていただくことに。もちろん、本記事はルアマガ企画なんで、ふたりには渓流釣りに挑戦してもらおう。
キャンプ好きなふたりの釣りの腕前は、いかに?
ヒロシ「僕はね、釣りは好きでよくやっていましたよ。一時期は多摩川沿いに住んで週5で夜な夜なシーバス釣りに行くくらいハマっていましたから。海釣りや渓流釣りも一通り経験あります。今は、とある理由でやらなくなりましたが・・・(苦笑)」
そう言いつつもトラウト用のマイタックルを持参し、手際よく準備にかかるヒロシさん。ひとつひとつの所作から相当な釣り好きだったことが伺える。以前釣り番組にレギュラー出演していたというのも納得できる。
一方で、釣りの経験がほとんどないというのが島田さん。
島田「”チチワ”ってなんですか? 毛バリってどうやって結ぶの?」
釣り初心者ということで、どんな釣りを体験してもらえば良いだろうか悩んだ末にたどり着いた記者の答えが『テンカラ』。数ある釣りのなかでも、最もシンプルなタックルのひとつだが、日本の伝統的な釣りのスタイルであり奥が深い。無骨さを求める島田さんなら、きっと楽しんでくれるに違いない。
今回は、入門に最適なDAIWA社のテンカラ釣り用品オールインパック『テンカラキット33』を使用した。竿にテンカラ用フライライン4mを接続、その先にテーパーハリス3mにテンカラ毛バリ仕掛けセット(スタンダード春×2・夏×1・パラシュート×1)が付属し、これ1本で渓流釣りを存分に味わえる。
ウェーダーを履き、ふたりとも準備は万端。今回、釣りを行った水系は遊漁券が必要なため日券を購入。みなさんも釣りをする際は、その地のルールを守って釣りを楽もう。
ヒロシ「さて、釣れると良いんだけど・・・どうだろうね。釣れるときは釣れるし、釣れないときはめっぽう釣れない。僕がキム〇クとかだったらきっと釣るんだろうけど」
島田「魚釣りも人によるんですか!? まあ、なんにせよはじめてのテンカラ釣り。ワクワクします」
釣り場に到着。川幅は10m前後といったところだろうか。
島田「初めて川に入るんで・・・このウェーダーを着ていれば、川に入っても濡れないんですか?スゴいっすね!」
ヒロシ「そういう道具だから。できれば水に入らずに釣りしたかったけど、この場所じゃ(ウェーダーが)ないと無理だね」
それでは、いざ釣りをやってみよう。各々が好きな場所に入って釣りを始めた。
まずは、ヒロシさん。数投して探ったあとは、少しづつ移動をして広範囲に探っていく。渓流釣りでセオリーと言われるポイントである『瀬』や『流れ込み』、『トロ場』といった有望エリアを攻めるも魚信は遠いようだ。
ヒロシ「難しいですね。でも、魚ってそんなに簡単に釣れるもんじゃないですよ」
本流に流れ込む支流に入っていき、落ち込みのあるエリアでの1投目。
ヒロシ「・・・あっ。今、魚が追ってきていましたね。小さいけど魚いるんだね」
待望の1尾キャッチなるか!? と期待が膨らんだが、残念ながらそこからバイトには至らず。何投かするも、警戒心の強い渓流魚は見切るのが早い。
時折ポケットから取り出しては付け替えるヒロシさん愛用のトラウト用ルアー。スプーン、ミノーが一通り納められている。「愛して鱒」のロゴが入ったワレットがなんとも愛らしい。
一方の島田さんは、キャストをするたびにめきめきと上達。しばらくすると、思い通りのポイントに毛バリを流せるようになってきた。
ヒロシ「どうしたの?島田くん」
島田「魚に気づかれないように身をかがめながら撃ち込んでます。どうですか? なんか様になってませんか」
ヒロシ「イイね、形だけはなんだか手慣れた人っぽいよ」
キャンプでは細かい手作業も伴うだけに、一度レクチャーすれば毛バリを結び替えることだって容易い。後半は、もう一人前のアングラーと化していた。しかし、こちらも魚信が遠い。
島田「川辺が好きなんで、こういった釣りは最高ですね。釣れてくれるとなお良いんでしょうけどね(笑)。でも、今後もやっていきたいです」
しばらく釣りを続けるも、ふたりが肝心の渓流魚と出逢うことは叶わなかった。釣り終了の合図とともに、川辺に腰を下ろして水面を見つめるヒロシさん。
ソロキャンプで行うアクティビティとして、釣りという選択肢はアリですか?
ヒロシ「1泊2日のキャンプのなかで釣りをするのは少しキツいけど、2泊とかできるんだったら人のいないところでのんびり釣りするのも良いですね」
島田「いやー、テンカラ釣りシブくて楽しかったですね! 僕は釣りしたいですね。ワカサギとか釣りたい」
ヒロシ「それ、キャンプじゃなくてもうワカサギ釣りに行けば良くない?」
島田「イヤイヤ、ワカサギ釣ってその場で揚げて食べたい。でも、冬しか出来ないですもんね」
ヒロシ「ワカサギは冬じゃなくても桟橋とかで釣れるから、やろうと思えば冬以外でも釣れるよ」
魚は釣れなかったが、今後のキャンプできっと釣りにも興じてくれることだろう。
釣りを終え、キャンプ地へと戻る途中。ふと見つけた沢に入っていき、天然水を愛用の浄水ボトルに汲む。
ヒロシ「魚は釣れませんでしたが、これを沸かして、“極上のコーヒー”でも飲みましょうか」
自分で見つけ手に入れた自然のものを身体に取り込む。これぞ、キャンプの醍醐味のひとつなのかもしれない。ヒロシさんの焚火会ソロキャンプはまだまだつづく。次回は、“漢の無骨な火起こし術”をメインにお送りする予定だ。そちらもぜひお楽しみに!!