兵庫県のアジング激戦区で超豆アジフック開発テスト!<まえやん編>【34(サーティフォー)超現場主義#03】



アジングのパイオニアメーカーとして知られるサーティフォーが現在開発を進めているのが10cm以下の超がつく豆アジを捕らえるためのフック! 前回は石川県のフィールドインストラクター、タイキこと山根大輝さんが地元で超豆アジフック&ロッドの開発に携わっている様子をお届けした。今回はアジングの激戦区として知られる兵庫地区で、この超豆アジフックの開発のために毎日のように現場に向かっているという、「まえやん」こと前川丈二さんのテスト風景をお届けする。



ある意味「ニッチ」なアイテム。しかし、そこにも人的リソースと時間を徹底的に割くサーティフォーの現場主義

取材のためにルアマガプラスのスタッフが、サーティフォーのC.E.O.であり、アジングのパイオニアとして知られる家邊克己さんと向かったのは、とある兵庫県の有名漁港。平日にも関わらず、多くの人がアジングに集まっているそんな場所だ。

近くは住宅街が多い、まさに都心の釣り場。釣り人が多いのも頷ける。

そこで出迎えてくれたのは、タイキさんと同じく、サーティフォーのフィールドインストラクターを務める前川丈二さんだ。愛称はまえやん

<profile>前川丈二(まえかわじょうじ)。愛称はまえやん。アジングゲームのスペシャリスト集団とも言えるサーティフォー・フィールドインストラクターのひとり。関西のアジング激戦区兵庫地区で日々、研鑽を重ねるアングラー。日々通うフィールドのメインターゲットが豆アジなことから、それを確実に捕らえるフックとロッドを家邊克己さんと共に開発中。

<profile>家邊克己(やべかつみ)。アジングなどのライトゲームのパイオニアメーカーとして先頭に立つサーティフォーの代表。現在はアジングのアイテム以外に、グルーパー(ハタ)を意識したアイテムも開発中。ただし、従来のパワータックルではなくライトタックルで釣るメソッドを絶賛確立中。ライトタックルを使った驚異的なファイト術は必見。「アジングタックルはアジだけで楽しむのは勿体無い」。サーティフォーの新しい展開にも目が離せない。

まえやん「ここがいつもテストしている漁港です。自宅から近いので仕事の後に、毎日のように来ています。最近は20cm以上のアジがたまたま群で入って来たので、サイズが大きくなっていますが、普段の釣りのアベレージは15cm以下、10cm前後の豆アジの釣りになることが多いエリアです。通年このサイズが多いことから、もしかして超豆アジフックとロッド開発に携わるフィールドインストラクターの中でも、僕が一番、超豆アジと戦ってるかもしれませんね(笑)」

これぐらいの豆アジが、前川さんの出没する神戸エリアのアベレージサイズ。

なるほど、場所柄やはり、小さなアジを釣る機会が多いというわけですね。そんなかでどうですか?開発中の超豆アジ用のフック、だいぶ答えが見えて来ましたか?

まえやん「いやぁ、それが日替わりで良いフックが変わっていくんですよ。ただ、その中でも、良いフック悪いフックはテストではっきりしていきますので、良いフックをそこから絞りこんでいかないと…。

途方も無いサンプルの中から、緻密に良いフックを仕分けし、さらにそれを使い込んで製品化に向けた絞り込みをおこなっていく。

超豆アジ用のフックを作っていて、結局、専用のロッドも後から作り始めたのですが、そっちのほうも、なかなかディープな世界で…。とにかくフックもロッドも他の2人のテスターと、毎日のようにやりとりして喧々諤々やっています。正直、フックはまだ線径が決まったばかりで(2019.7.29取材)、今日も、その線径が決まった生ばりを家邊が持って来てくれているので、早速ですが、曲げて現場で使っていこうと思っていますよ」

線径が決まったが、まだ形は模索中という超豆アジ専用フック。この生ばりを曲げてテスト用のフックを試作する。


家邊「ちなみに生ばりにはマイクロバーブがあり、方向を間違えないようにね。曲げる方向を間違ったらだめなんです。今回はインバーブで曲げなきゃ。アウトバーブが悪いわけじゃないのですが、インとアウトでバランスが変わる可能性があるので、また作業が途方もなくなってしまう。ならば一般的なインバーブでまずはいいものを見つけ出さなきゃいけない。こういった作業の繰り返しなんです」

フックデザインは聞いていると難航していそうですね。

まえやん「なにせ、サーティフォーではオリジナリティのあるアイテムでなおかつ、機能はずば抜けていなければならないので、その模索も大変なんです(笑)」

家邊「過去にあるもののコピーではなく、より優れたものを見つけ出していかないと。僕らみたいなメーカーはそういう物作りをしていかないとダメなんですよ….。最も開発費がかからなくて、スピーディーにできるのは他社の優れた商品をコピーすることですが、それではより良い物はできませんからね(笑)]

家邊さんが手に持っているのは、サーティフォーで既に発売されているザ豆というフック。これも豆アジ用だが、15cm前後のサイズを意識して作られている。家邊「今作ってるのはザ豆の想定サイズよりも小さいんです。テスター陣が作りたいと言って来ているので作らないわけにはいかないですよね」


形が決まらないでは進まない。絞り込みながら3人のテスターがテスト中

超豆アジ用のフックは現在、サーティフォーの3人のフィールドテスターと家邊さんが積極的に関わり、発売に向けて準備をすすめている。前回のタイキさんの時もそうだったがじっくりと時間をかけてアイテムを開発しているのはよくわかるが、それでも時間が無限にあるわけではない。

まえやん「なんとか、これだというフックの傾向は見えて来ていますので、しっかりと絞り込み、日本どこでも超豆アジを狙っても機能するフックをお届けしたいと思っています」

このアジは20cmクラス。まえやん「このサイズのアジならサーティフォーの既存のフックで十分以上に戦えます。超豆アジ用ロッドですが、このサイズだと相当面白いですよ(笑)。かといって30cmオーバーが来ても怖いということはありません」

今回、開発スタッフとして紹介したまえやんは、前回紹介した石川県のフィールドインストラクターであるタイキさんと超豆アジ釣りに対するスタンスがが似ており、フックや専用ロッドに求めている機能は比較的合致している。という意味では、開発の方向性、ベクトルは似ていた。

超豆アジ用フック&ロッドのシステム開発にはタイキ、まえやんの他にもうひとり、インストラクターが関わっているという話だが、その最後の一人である前田秀夫さんことhideさんにも、後の取材でようやくお会いすることができた。このhideさんも、2人と同じように超豆アジフックを強く求めるアングラーのひとりなのだが、その求める理由についてはタイキさんとまえやんのそれとは少し異なっていたのが面白かった。hideさんについても、またその考え方についても追って紹介したいと思う。

このように様々な意見と、絶対的なアジング経験を誇る家邊さんとで作り出されていくサーティフォーのアイテムたち。開発するアイテムひとつひとつに手間暇かかっているので、それをユーザーは信用して使っていくことができる。あとは、楽しみにそれを待つことにしたい。