フィッシュマンと「赤塚ケンイチ」さんが率いる、知る人ぞ知るロッドメーカーです。特に海外釣行や、怪魚などを狙うアングラーには大注目されていてファンが多いんですよね! 特に「ベイトロッド」にコダワリを持つ専門メーカーとしても知られています。その総帥、赤塚ケンイチさんの怪魚行脚の記録を、これから定期的にお伝えしていきます。第一回目は、南米カリブ海・トリニダード島のターポン釣行記でございます。では、赤塚さん、よろしくおねがいします!
Profile
赤塚ケンイチ(あかつかけんいち)
ベイトキャスティングロッドメーカーである「Fishman」代表。渓流のトラウトから怪魚ターポンまで、国内外のあらゆる魚を狙うマルチアングラー。その魚たちを自身の開発・プロデュースするベイトタックルで狙い続ける。
でかいポッパーで「ターポン」がバンバン反応する!?(原稿・赤塚ケンイチ)
「デカイターポンがポッパーをバンバン食うらしい!!」
突然とんでもない情報が飛び込んできた。ターポンといえば3年前にアメリカはフロリダ州マイアミの南の先端のキーズに行ったとき、ターポンの群れには何度も遭遇したものの、スレまくりでルアーのサイズをどれだけ小さくしても、ラインを細くしても食わせることができなかった苦い思い出があった。
そのターポンがトップに!? しかもポッパーに? にわかに信じがたいが行ってみなきゃ分からない。もしそんな体験できたら一生思い出に残る釣行となるだろう!
2019年9月南米の大西洋側にあるスリナムへタライロン遠征に行く予定があったので、この釣行の前にセットすることにした。場所はスリナムから北西へ800kmほどのトリニダード島。ここはガイアナのピラルク釣りに行くときの経由地としても自身何度か乗り継いだことのある島。
エアーはアメリカ経由が早いがこの時はロンドン経由を選び、ついでに街を観光してからマイアミへ飛び、マイアミからいよいよトリニダード島のポートオブスペイン空港へ深夜に到着。ここからはタクシーで1時間ほど乗ると、マリーナ真横という最高の立地のホテルに到着。
成田-ロンドン13時間、ロンドン-マイアミ10時間、マイアミ―ポートオブスペイン4時間と飛行機に乗っているだけでも27時間だから近くはないが、あのターポンが釣れるのならば…!
このターポンフィッシングのメンバーは、日本人2人、アメリカ人☓1人とコロンビア人☓1人の計4人。ちなみにこのメンバーはこの後のスリナムジャングルも一緒である。
潮の良くなってくる時合に出船。釣りは小舟に乗って近くにある島群の沿岸部を撃っていくスタイル。
タックルはトラベル用にコンパクトになるFishmanのBC4の6.10XH。リールはエランワイドパワープラスとトランクス400。ラインはPE4号にリーダーは80lb。
最初のポイントはマリーナから10分ほどで到着し、早速セットしてあるポッパー、パンプキン140(スカジットデザイン)をキャスト。脳内劇場に繰り広げられていた激しいトップへのバイトでアドレナリンは吹き出しっぱなしだ。
ポッピングリズムが分からないので、キャプテンに聞きながらアクションを入れる。ほう、割とゆっくりなんだな。こうか? これくらいか? と船を流しながら何度も撃ち込みアクションを入れる。そんな簡単にバイトが出るとは思ってないけど、あまりにも反応がなさ過ぎる…。ガイド曰く、今日はトップに出ない日なのかもしれないということで、沈むルアーへのチェンジを薦められる。
ポイントは、岸沿いで急深のブレイクラインだ。よれていたり、渦を巻いていたりするので見つけるのは簡単。それらのポイントをターポンは回遊しているとのこと。海は濁っていてブレイクは見えないけど、ガイドが地形を熟知しているので浅いか深いかを都度教えてくれる。
潮通しの良い岬先端の前後はほぼディープが隣接していてポイントである。
さぁ、ルアーをキャスト。着水後3秒ほどカウントダウンさせて巻き始めると、心の準備がゼロ状態のとき、激しい衝撃がロッドに伝わったと思ったら大ジャンプしてくれたのは紛れもないターポンだ。目視の感じではあまり大きくないが、なんというパワーだろうか1mほどのサイズなのに力が弱まる気配がなくベイトリールからラインが出っぱなしだ。ボートはガイド入れて3人でアングラーは前後に散っているので、寄せては出されを繰り返し数分ほどでランディング。
同ポイントで同行のコロンビア人も掛けているではないか。もしかしてここは魚影濃いのか? フロリダ以外でのターポンはルアーフィッシングの好ターゲットなんじゃないか!?
潮の動きが弱くなってくると食いも止まり、マリーナへ戻って食事や休憩を挟み、そしてまた潮が動き始めたら出船だ。マリーナが近場だから楽なのだ。その後も何度か良い時合のときにポッパーを投げてみるがトップには反応しない。
ガイド曰く「先々週はトップへの反応が良かった」とのこと。うん、釣りあるあるだな…。目論見通りのポッパーでバコバコとは行かないが、ルアーを沈めれば魚のからのコンタクトはすこぶる良い。
3~4本釣ってからは巻きスピードやレンジ、どこを通すか、それとファイトの仕方も分かってきてさらなるサイズアップを楽しむことができる。
パワーファイターの楽園と言えるカリブ海
カリブ海にはこんな釣りができるところが無数にあるという。パワーファイターにはパラダイスだ。いや、そうでないアングラーでも中毒性の高い釣りに感じるはずである。ちなみに近海でのターゲットも豊富で、バラクーダ、ボーンフィッシュ、コビア、シイラ、グルーパー各種、ジャッククレバル、カンパチ、鯛類、キハダ、カツオ、スヌークなどが釣れるらしい。今回のゲームエリアは沿岸部でターポン狙いだったため、他魚種はジャックのみだった。
腕が悲鳴を上げるようなサイズ狙いだからといって、投げるルアーは変わらず40gのジグヘッドでパターンはスイミング。が、それとは別の大型を狙うパターンもあった。それはエビパターンだ。岸から少し離れさらに深い潮通しの良いポイントで遠投後4インチほどのエビワームをゆったりとリフトアンドフォールするパターン。残念ながら自分にはヒットしなかったが行かれる方は試してみる価値あり。かなりの実績だという。
数も二桁釣れて、モンスターとまではいかないが30kgクラスはアベレージで釣れるこのエリア。ついに入れ食いのワンドに遭遇した。
ベイトフィッシュは目視できないが相当数入っているようで、それを狙うターポンもどっさり居た。1m未満は掛かっても外れてくれと言わんばかりにアワセのフッキングを入れず、ラインをフケさせてロッドをピシッとやると、ときどき外れてくれる。
まるで谷地坊主(釣りキチ三平・イトウ編)のようなことをやり、場荒れを防いでこのワンドに居る最大級を狙った。グンッと重い魚がヒット。これは例のソレかどうか分からないがそれでもかなり引いて、ジャンプやダッシュのファイトに10分くらいかけないとまるで弱らない。ようやく引きが落ち着き船縁に寄せてハンドランディング。
そんなこんなで、結局マリーナ近辺での釣り日程は実質2日半と短かったが全員好釣果で終わった。
しかしまだ帰国しない。トリニダードから南米大陸のガイアナ渡り、スリナムを目指し、さらにセスナでジャングルへ突入するので、帰るのはこの日から2週間後である。まだまだ釣り旅は続く
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