予約が取れないことで有名な、超絶人気琵琶湖バス釣りガイドの永野総一朗さん。彼の野望は全国各地のフィールドで腕を試し、学び、レベルアップすること! 今回ルアマガプラスでは、そんな永野さんの霞ヶ浦水系での武者修行2日間に密着しました!
【Profile】
永野総一朗
ながの・そういちろう/琵琶湖の数あるガイドサービスの中でも、特に予約が取れないことで有名な釣らせるガイド「たまらんばい永野」の人。わかりやすい釣りを優しく教えてくれるが、その情熱は熱い。氏の実家で製造している「たまらんばい高菜」がまた絶品。
売れっ子ガイドが琵琶湖を飛び出した理由
永野「全国区になりたい。簡単に言えばそういうことです」
言ってしまえば、琵琶湖ではすでに地位を確立した感のある永野さんに、わざわざ霞ヶ浦周辺に、それも不慣れな岸釣りで挑む理由を尋ねたところ、こう答えてくれました。
永野「琵琶湖と言えば、ダイナミックな釣りで大物が狙える楽しいフィールド! そんな印象を持ってる人も多いと思います。でもそれももう過去の話。年々、琵琶湖の釣りは難しくなっていってるんです」
ーーハードルアーを使ったアクティブな釣りオンリーで楽しんだり、キロアップがバンバン釣れるほどもう甘くはないと。
永野「もちろんそういった日もあります。ですが、大雑把な釣りでやりきれなくなってきているんです。もっというと、よりタイトに丁寧に釣る必要がある。それを学ぶためにも、全国で釣りを経験する必要があると考えたんです」
ーーなるほど。確かにそれならカスミ水系は武者修行にうってつけですね(笑)。
初日:ズル引きをやりきる宣言! そしていきなり反応アリ!?
そんなわけでスタートした永野さんの武者修行。
最初に竿を出したのは、北利根川の右岸側です。
永野「下見で回れた北利根川と常陸利根川をやりきるつもりです。広すぎるので、わからない場所は手をだしにくいですし。……川の名前とかポイントの名前が曖昧なのですが、ここは北利根川でいいんですよね(笑)」
ーーあってます(笑)。ちなみに対岸のあの辺(少し上流側)が「牛堀」です。
永野「ああ。聞いたことある! あの正面あたりの川が夜越川ですよね。あのへんの水門も気になりますが、天気が悪いので、今のうちにここをやっておきたいんです」
ーー午後から北東の風が吹く予報ですから、風が弱いうちに西岸を狙う作戦ですね。
季節は秋。それもローライトで風が吹いている。ファストムービング系ルアーが良さそうと思いきや……。
永野「天候的には巻きとかも良さそうなのですが、練習の手応えではそこまでやる気があるようには感じられませんでした。それに加え、普段自分のやっている琵琶湖の釣りを活かしたいということもあって、コイケシュリンプビッグ(ハイドアップ)のウェイテッドジグを投げきるつもりです」
ーーおもし!(ノガレス)を使ったゲジおもリグですね。
永野「これをズル引きで使います。前日は撃つ釣りメインでやっていたのですが、合間でこれをズル引いた時だけ反応が得られたんです。琵琶湖でも、メインで展開していた釣りの合間にちょっと試したパターンこそが正解だった、ということがよくあるんですよ」
そう言って、北利根川の岸際に点在するカバーでは無く、斜め護岸を狙っていく永野さん。
永野「護岸が切れるところとその先のブレイク周辺。そういったハードボトムのゴツゴツしたところをズル引きで狙っていきます」
程なくして永野さんの表情に変化が。
永野「今アタリました。護岸が終わっている場所のちょっと先ですね」
残念ながらヒットにはつながらなかったものの、永野さんの集中力は途切れない。
永野「琵琶湖だと釣りをしている感触でウィードの硬い柔らかいもわかったりするんですが、霞ヶ浦水系はハードボトムのゴリゴリが凄すぎてよくわからない(笑)。でも根掛からずにボトムを感じ続けられるので、集中できます」
その後も斜め護岸をズル引きで狙い続けたが反応は得られず。雨脚も強くなってきたタイミングで、永野さんは移動を決意しました。
たまらんばい永野の表テク&裏テク!?
本編の武者修行と関係あったりなかったり? 永野さんプレゼンツのコレは知っていてほしい! というテクニックや情報をお届け!
スタッガーワイドシリーズのヨコヨコ
永野「スタッガーワイドシリーズを使ったヨコヨコが凄いんです!」
セッティングは簡単。
3.3inのスタッガーワイドやワイドホグのボディ側面前より(写真参照)に、ワッキーマスターライト#0(ノガレス)をチョン掛けして、ヘッド先端に0.6~0.9g程度のネイルシンカーをセットすればOK。
永野「フワッフワッとしたロッドワークでシェイクすれば、アングラーから横にそれる方向に進んでいくんです。キャストでは落としにく場所も、これを使えばばっちり狙えますよ! ガード付きのマスバリを使って、よりスナッグレス性を高めて使うのもアリですよ!」
初日:やりきる釣りに大物が…!?
次に永野さんがやってきたのは、ファーストポイントのちょうど対岸エリアに位置する水門まわり。
永野「ここでも変わらずゲジおもリグを使っていきます」
ーーかなりスローな釣りですが、コンフィデンスがあるんですか?
永野「コイケシュリンプビッグを使ったネイルリグで浚渫を狙うのがこの時期の琵琶湖ガイドでよくやる釣りなのですが、それを対霞ヶ浦水系用にアレンジした釣りですからね。それとこれは自分の釣りのスタイルに関わる部分なのですが、釣り方やルアーを決めて1日を展開するんです」
ーーというと?
永野「釣り方やルアーをやりきると決めた上で、これに反応する魚を探していくんです。こうすることで、1日投げきったあとに、いつどこで、どういった状況で反応を得られたのか? みたいな具合に、得られるものが多い。今回は初場所ですからなおさらです」
ーー逆パターンもありますか?
永野「もちろんありますよ。例えばこのストレッチを1日やりきる! と決めたら、その中だけを狙いつつ、色々な釣りを試す。すると1日終わると効果的なルアーや釣り方がわかったりはします。いずれにしても、選択肢が多い今のバス釣りですから、何かを基準として定めていないと、1日釣りをして得られるものも得られなくなってしまいますよ」
つまり今回の永野さんのプランは、各エリアをゲジおもリグを駆使して回っていくということ。
セカンドポイントのここでも、水門の内側、周りの斜め護岸、沖側と広い範囲を探っていきます。
と、永野さんのロッドに目で見てわかるほどの明確な反応が!
一瞬送り込だ後、素早くリールを巻き、自らも5mほど後ずさりながらしっかりとフッキング!
さすがの琵琶湖スタイルにカスミバスもお手上げか!? あっという間に水面まで浮いてきました。
ところが……。
痛恨のバラシ!!
永野「やってもーたー! 45はありましたね。フッキングは決まっていたと思ったのですが、竿が柔らかすぎたかもしれません。陸っぱりでのバーサタイル性を優先して、65M+/RSを使っていたのですが、ここからはワンランク上のタックル、65MHST/RSでいきます」
しかし残念ながらその後は反応を得られず、北利根川を下流方向へと移動することに……。
たまらんばい永野の表テク&裏テク!?
本編の武者修行と関係あったりなかったり? 永野さんプレゼンツのコレは知っていてほしい! というテクニックや情報をお届け!
永野さんのカスミ水系攻略用シグネイチャーMaccaチョイス
ハイドアップのロッドと言えば、あらゆるシチュエーションに対応可能な無限の可能性を秘めた青いMacca、より特化した状況で唯一無二の活躍が期待できる赤のMacca Red Series、そしてプロスタッフ陣による シグネチャーシリーズMacca Red Signature Seriesがラインナップされています。
そんな中、永野さんがカスミ水系攻略用に選んだのは、自身がプロデュースしたモデルも含む、シグネチャーシリーズです。
永野「練習段階からよく使っていたのは、HUMRC-65M+/RS。自分がプロデュースした、ミノーの使用を想定したロッドです。汎用性が高く、陸っぱりで色々な釣りをしたい時にも最適な竿にもなっています。今回はこの1本で色々出来るということの大切さを痛感しました」
永野「デカイのをばらしてしまってから使い出したのは、武田栄喜さんが手掛けたHUMRC-65MHST/RS。特にワームの釣りに特化した、操作性に優れるロッドです。ソリッドティップロッドなのですが、よくある極端なテーパーではなく自然に曲がってくれるので、キャストフィールに違和感が無いのが特徴的です」
永野「ちなみに、自分がプロデュースしたワーミング向けロッドとしてHUMRC-69ML+/RSというモデルもあります。ベイトフィネス系で汎用性も高いのですが、ズル引きの釣りをメインにするとなると短いほうが取り回しがいいので今回は使わなかったです」
初日:反応を頼りにラン&ガン!
ファーストポイントでのアタリ、セカンドポイントでのヒットをうけ、斜め護岸からの地質変化-ファーストブレイク狙いに確信を持った永野さん。
似たようなポイントを求め、やってきたのは北利根川の中程の左岸。いわゆる王様水門周辺です。
引き続き、ゲジおもリグのずる引きを貫き通す永野さん。
上流側に移動しつつ投げて行きます。
アタリは何度かあるものの、なかなかヒットにまで進展しません。
永野「うーん……。近づいているのに近づけないぞ…」
気がつくとすでに13時過ぎ。
昼食をとりつつ、次の作戦を立てることになりました。
たまらんばい永野の表テク&裏テク!?
本編の武者修行と関係あったりなかったり? 永野さんプレゼンツのコレは知っていてほしい! というテクニックや情報をお届け!
究極のズル引きを身に着けろ!
永野「常にボトムを取り続けるズル引きのポイントはロッドを曲げないことにあります。ズル引いている最中にロッドが曲がりっぱなしだと、スピードが早すぎて、ルアーがボトムから離れている可能性がありますね。もっと言えば、ティップから伸びるラインがたるんだ状態を維持できているのがベストですね。ちなみにズル引く角度は個人的に横のほうが釣れる気がしています(笑)」
なお、永野さんのズル引く動作はリールを持つ片手で行われることが多く、その姿は余計な力が入っていない自然体。これが長時間ズル引きを続けられるポイントのようです。
ちなみに永野さんはロッドワークで動かしきったあとはロッドを元に戻しつつ、スタードラグを指先で回すことでラインスラッグをとっている姿が印象的でした。
初日:水系最下流エリアでついに……!
遅めの昼食を取って訪れたこの日4箇所目のポイントは、北利根川のはるか下流。
常陸利根川の最下流部です。
永野「練習でも反応が良かったエリアです。岸から少し離れたところに竹杭が点々と入っていて、明らかにそこがブレイクだとわかる感じですね」
そして何本目かの竹杭に向かってゲジおもリグをキャストし、すこしズル引いたところでバイトが!
HUMRC-65MHST/RSが美しい弧を描きます。
これは間違いなくガッツリ乗っているはず!
永野「おもし! でズバシ!」
ついに永野さんがカスミバスをキャッチです!
永野「ツツーンってラインが走って、ギューンっと持っていかれました。ロッドを変えたかいがありましたよ。でもこうなってくると、朝のバラシが悔やまれますね。あっちのほうが明らかに太かった……」
ーーいえいえ天候もどんどん悪化していますし、この状況下で言えば間違いなく価値ある1尾ですよ! ところで今日ここに来るまででアタリは何回もあったそうですが、コイケシュリンプをサイズダウンさせる選択肢は無いんですか?
永野「今回は普段から投げていて、自信があるビッグに絞ることにしています。もちろんサイズダウンして狙う方法もありですが、実際にこれでちゃんとしたバイトが出てる以上、続行してやり切ります。それにこれだけズル引き倒しても根掛かりもほんとんどしていないからリズムが作れていますしね。コイケシュリンプビッグ、本当にこの水系に向いていると思います」
その後も少しずつ上流部に移動しつつ釣りを続ける永野さんでしたが、いよいよタイムアップ。
ーーお疲れさまでした。初日終了です。
永野「お疲れさまです! カスミは広すぎますね。ルアーもポイントも決めておかないとやりきれない」
そうはいいつつも、バイト多数2ヒット1キャッチの結果を出した永野さん。
果たして最終日となる2日目はどうなるのでしょうか?
たまらんばい永野の表テク&裏テク!?
本編の武者修行と関係あったりなかったり? 永野さんプレゼンツのコレは知っていてほしい! というテクニックや情報をお届け!
ハイドアップのハードルアーにも注目!
名作中の名作ワーム「スタッガー」ファミリーの印象が強いハイドアップですが、実はハードルアーにも実力派が沢山! 今回はその中でもこれからの季節に活躍しそうな2アイテムを紹介!
HUミノー
永野「2サイズありますが、どちらも同サイズクラスの他のミノーに比べて、水押しがかなり強い設計になっています」
永野「というのも、ボディ側部がフラット+スリットというデザインになっており、水の掴みが強いんです。このおかげで、フルキャスト+ロッド3本分くらいラインを出して琵琶湖で行うドラッギング・爆風ミノーパターンであっても、手元に泳いでいる感覚がしっかりと伝わります」
永野「そのくらいハイアピールなので、ミノーとは言いますが濁りにも強いです。それこそ関東でも活躍してくれるはずですよ。ただ巻きはもちろんですが、ストップ&ゴーやジャーク&ポーズの様な、水押しのON/OFFのメリハリを付けた使い方もおすすめです!」
エヌグリーディー
永野「この秋リリースとなる新作で、バスだけにとどまらず、色々なターゲットを狙えるオールマイティなハードルアーです」
永野「フローティングでバイブレーションの様な形状で、上側のアイを使えばバイブレーションとして、真ん中のアイを使えばミノーの様にも使えるんです。なお顎下にもアイがありますが、こちらはシンカーをぶら下げたりする場所となります」
永野「普通に巻いても釣れますし、縦ストラクチャーやカバーのそばでストップ&ゴーで魚を引っ張り出してきてつることもできちゃいますね」
永野「貫通ワイヤーを使用しているので強度は非常に高く仕上がっています。そのため、バスはもちろんですがシーバスやビワコオオナマズ、アカメ、はてはピラルクやGT、バラマンディまでなんでも狙えます(笑)。プロデュースしたハイドアップの乃村は、実際にこれらのターゲットをキャッチしていますよ」
Weight:約17g
Type:Suspend
2日目:悪天候の隙をつく
迎えた2日目は悪天候予報をうけ少し送らせての開始。それも天候の合間を見てのショートタイムでの実釣です。
まずは初日にバラした北利根川の水門周りからスタートした永野さん。
永野「いい思い出は先に潰しておく派なんです(笑)」
幸い、このエリアは風を背中に受けられるため、釣りがしやすい様子。
そんな場所選びが功を奏したのか、開始早々に永野さんにヒット!
今回もフッキングはバッチリです!
素早くブッコ抜き!!
永野「一瞬巻かれた感じがあったのですが、ラインの性能を信じて引っ張り出すことができましたよ」
初日ほどのサイズでは有りませんが、元気なバスをキャッチです!
永野「風があってズル引きのしにくい天気ですが、リグ、ロッド、ラインがマッチしているかからボトムを捉え続けることができています。ちなみにやっぱりハードボトムで喰ってきました」
その後も永野さんは、下流方向に釣りを続けながら移動。
最終的には常陸利根川まではなんとかたどり着いたものの、天候は回復する兆しが見られません。
そのため、安全を考慮してこの時点で取材終了を決定。
残念ながら、永野さんのカスミ水系武者修行は2尾キャッチで終了となりました。
たまらんばい永野の表テク&裏テク!?
本編の武者修行と関係あったりなかったり? 永野さんプレゼンツのコレは知っていてほしい! というテクニックや情報をお届け!
強いラインは感度も高い! そして実はコスパも良い!?
ガノア アブソルートAAA
永野「自分がメインで使用しているのが、ガノア アブソルートAAA(バリバス)というラインです。このラインの特徴を一言で表すなら、固くて伸びない。そのため、一般的な他のフロロカーボンラインに比べ、とにかく感度が良いんです。そして、ルアー操作もよりダイレクトに、意のままに行えるんです」
永野「もちろん、強さも持ち合わせます。他社のフロロラインがナイロンに感じてしまうくらいに硬いラインですので、例えば琵琶湖の取水塔にゴリゴリこすれても大丈夫ですし、スピニングで4~5lbのラインを使っていても、ウィードにも巻かれたバスを引っ張り出すことができたりします」
永野「さらにこれらの特徴はラインの耐久性にも関わっていて、とにかく劣化しにくいです。毎日フィールドに立っている自分でも、2ヶ月はそのまま同じラインを使い続けるくらいです。しかも2つのスプールで中間がわかりやすい100~150m巻きなので、きっちり2回分は使える。つまり実はコストパフォーマンスにもすごく優れているんですよ!」
主な釣法:バス
素材:フロロカーボン
号数:2号 / 全長:150m / 強度:8lb
カラー:ナチュラル
並行巻
0.235mm
オカッパリでタックルが限られるシチュエーションや、絶対にミスの出来ないトーナメントシーンで多くのバサーから愛用されてきたアブソルートがリニューアル。
独自のPUT製法により、フロロカーボン分子の密接率を約20%アップさせ、耐摩耗性や結節強度などバスフィッシングに求められる全ての要素でAAA(トリプルA)を達成。
オーバーポンドスペックも実現した事で一般的なフロロラインと比べて同じ強さでもワンランク細いラインを使用可能です。
確かな手応えと物足りなさ
ーー天候不良で強制終了とスッキリしない終わりでしたが、お疲れさまでした。実釣を終えて、いかがでしたか?
永野「振り返ってみると、10バイト以上あって、とれたのが2尾。本数をもっと出したかったですね。前日までにタックルセッティングを詰めきれなかったのが原因と思っています」
ーーとは言え、慣れない岸釣りでしかもカスミ水系。琵琶湖の釣りを押し通してキャッチした2尾は非常に価値があるように思います。
永野「そうですね。この水系で、自分にあったポイントと釣りを見つけられたのは大きいと思います。投げ続け、ズル引きし続けたので最後の方にはハードボトムの違いも何となく分かるようになってきましたし(笑)。そして実際やってみて、ここで鍛えれば琵琶湖での釣りもレベルアップできるという確信が持てました」
ーー一筋縄ではいかなかった?
永野「はい。でも簡単じゃない分、1バイトや1尾に本気になれるように思います。腕試しに持ってこいですね(笑)。もっとレベルアップするために、ぜひともまた来たいと思います!」
ーー永野さんありがとうございました!
それでは皆様。
永野さんの次の挑戦にご期待ください!