ここ数年、秋の風物詩として、ソルトルアーフィッシングの好ターゲットとなっている「サワラ」。ところがその実、本気で狙っている船はごく僅かだとか…。青物五目とも、ランカーシーバス狙いとも違う。サワラのルアーフィッシングに魅入られた漢・久保田秀樹さんのスタイルが今注目されています。
東京湾の「マグロ」!? サワラを追い求めるロマンと破壊力
凶暴かつ精悍な顔つきに強烈なファイト。そして食味も抜群と、ソルトルアーフィッシングのターゲットとしては申し分ない要素を兼ね備えたサワラ。
最近では、青物五目やランカーシーバス狙いでたまに釣れる魚から変化し、メインターゲットとしての人気が高まっている。
特にその傾向は東京湾の遊漁船で顕著であり、シーズンともなればあちこちにサワラを追いかける船が見られるはずだ。
このサワラを追いかけるというスタイルの第一人者とも言えるのが、Bullmariの船長、久保田秀樹さん。
【profile】
久保田 秀樹(くぼた・ひでき)
横浜発の遊漁船「Bullmari」を主宰する若き船長。現在の仕事を始める以前にも様々な海の仕事をこなしている生粋の海の漢。シーバスや青物、アマダイ、マダコなど、様々なターゲットのガイドを得意とする。中でもサワラに関しては語り尽くせないほどのこだわりをもつ。
電話番号:08073451828
LINE:bullmari2525
久保田「サワラを追いかけて獲るという漁をやっているのは剣崎の漁師くらいのもの。自分はそこで修行をして、学んだことをベースにやってるんです。だから他の釣りのついでにサワラを狙う様な船だとは思ってほしくありません」
そこにはサワラの本質を知る船長だからこその思いがある。
久保田「ベイト次第では岸近くでも釣れるサワラですが、その本質は頭のいい回遊魚であり、沖の魚なんです。言わば相模湾のマグロ釣りだと思ってください。だから燃料を焚きまくって、本気で魚を追いかける。釣りをする時間より移動時間が長いなんてざら。でも破壊力が違うんです」
そのスタイルだからこその釣果が確かにそこにはあるのだ。
久保田「居るかいないかわからないような場所に船を止めて、1時間に1本出ればいい。そんな釣りとは違います。他の船が釣れていない中で、入れ喰いのように短時間で10本以上も釣れることがざらにある。それが自分のスタイルであり、サワラ釣りの面白さだと思っているんです」
まるでシャチ!? サワラの特性
漁師の元で修行し、東京湾の遊漁船船長の中では最もサワラに詳しいかも知れない久保田さん。
彼の話を聞くと、サワラがただの青物の範疇に収まらない、格好のターゲットであるということがよく分かる。
久保田「ベイトや鳥山、跳ねているサワラを目安に追いかけて釣るわけなのですが、例えばベイト、鳥山、サワラ、それぞれの動き全てが関連づいていることも多いんです」
鳥山の下にはベイトやサワラが居るはずである、という事象は釣り人なら誰もが知るところ。しかし、それらがどの様に繋がっているのかを理解している人は少ないのでは無いだろうか?
久保田「実はサワラって、群れでベイトフィッシュを追いかけて、囲むようにして泳ぎ回るんです。だからベイトの群れが団子状になって密度が上がっていきます。そしてどんどん水面側に追いやられていくと、海鳥の目にもとまって鳥山ができるんです」
つまり、海鳥たちは積極的に飛び回ってベイトフィッシュを探しているわけではなく、捕食者に水面まで追い込まれたベイトを食べにやってくるわけだ。
久保田「ちなみに、ベイトの群れの形で魚種が何に追われているかがわかったり、サワラの跳ね方で状態や狙い方がわかったりもしますね。詳細は企業秘密ですが、もちろん乗られた方にはお教えしますよ(笑)」
本当に釣れるサワラ専用ルアーはまだ存在していない
職業柄、釣れるルアーには敏感な久保田さん。
様々なルアーでサワラを狙った経験があるわけだが、実のところ、本当に釣れるサワラ専用ルアーは未だに存在していないのだという。
久保田「深く追求している人がいないから当然といえば当然なんですけどね。誰もサワラのことをわかっていないわけですから」
それでも少しでも釣ってもらうため、ガイド時には指定のルアーが、あるにはある。
久保田「みんながサワラ狙いで使っているあの人気ルアーです。コンパクトでよく飛ぶんですよ。ナブラ撃ち主体のスタイルなので飛距離がものすごく重要で重宝しています」
ところが欠点もあるという。
久保田「非常に致命的なのですが、泳ぎが悪いんですよ。だから使ってもらう際には縦ジャークで動かす様にお願いしています。ロッドワークで無理やり動かしてやらないと、いい動きが出ないんですね。それでもやはりナブラに届かせることがまず大切になってくるので、そのルアーを使っているわけです」
泳ぎの良いルアーは確かに釣れる。特にバス釣り用ルアーのように、しっかりと泳ぐことが好ましいらしい。しかしやはり、ソルトルアーに比べると飛距離が劣るのだという。
つまり、久保田さんの求めるサワラ用ルアーとは、ナブラ撃ちで十分な飛距離が出るせなおかつ、泳ぎがいいルアーというわけだ。
ありそうで無い、サワラ専用ルアーは登場するのか…!?
Bullmariのスタイルに共感する人だけが来ればいい
久保田「サワラを追うときは、サワラだけを釣って欲しいんです」
サワラが駄目ならシーバスを狙う。多くの遊漁船が行っているこの動きも、久保田さんに言わせれば逃げなのかもしれない。
久保田「例えば、相模湾でマグロを追いかけている船が、マグロがいないからってそのへんの青物を狙いだしたらなんか違いません? それよりも、ガソリンをたくさん焚いて走り回ってサワラを追いかけるほうが面白いと思うんです。だからそもそもサワラを狙って乗るのなら、ジグすら持ってきてほしくないです(笑) それにせっかくお金を出して船に乗っているのに、大して走らずに1日が終わってしまうのって嫌ですよね。釣れなかったという結果が同じだとしても、船であちこちに回ってやりきって終われれば、それでいいと思うんです」
横浜から出港する久保田さんだが、船橋や木更津など、東京湾の東側に行くことも至って普通なのだ。
久保田「この考えに賛同していただけないのであれば、うちを利用していただく必要はないと思うんです。このスタイルに共感してくれる人さえ来てくれればいい。東京湾でナブラを追いかけて、ライトなタックルで、時にはメーターオーバーの魚を釣る。こんなにエキサイティングで、スポーツ的で、面白い釣り、なかなかありませんよ」
熱い思いと深いこだわりとプライドを持って追いかけ続ける。
サワラはそれだけの価値がある稀有な魚なのだ。
「Bullmari」に乗ってみたい! そんな方へ!
今回の話はサワラ狙いで出るのなら! というお話です。
事前に伝えておけば、その他の魚種を楽しく狙うのも全然OK!ルアー釣りそのものが初めてでも優しく教えてくれますよ!
なお最近の釣り物ですが、bullmariではまだまだサワラ狙いで出船中! 東京湾を南下していく魚を狙っての釣りになるとこのとです。また、大人気のボートシーバスや ティップランとカワハギのリレー船なんかも楽しめますよ。さらにこれからの季節は、タイラバも面白くなってくるとか!
ちなみにBullmariにはホームページが無いため、乗船したい、また興味がある方はまず、インスタグラムをチェックしたり、久保田船長に直接連絡してみてください!
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