欲しい物がなければ作る! 意欲的な創作活動によって生み出された『ism』。ブランドのアイテムは、見た目以上の多彩な機能を持つ。偶然の出会いによって導かれた、必然のマグナムジャークベイトもしかり。サイズのインパクトを超える小技に注目だ!
2020年末、遂に発売となった規格外のジャークベイト「マグナベリウス」。昨今、バスでは広大なレイクや水深のあるリザーバーにおいて攻略の一手として起用されるのが「マグナムクランク」。またはバスのみならずソルトルアーに転用することも加味した「マグナムペンシル」や「マグナムミノー」なども多くリリースされている。そんな中、ジャークベイトのジャンルにおいて「マグナム」サイズをリリースしたのはismの『マグナベリウス』のみ。このルアーが生まれた背景、または使い方などを同社の取締役を務める杉山さんに色々とお伺いしちゃいました。
マグナベリウス180F(ism)
18cmのマグナムミノーでもロッドワークに敏感に反応してキビキビとしたダートアクションをみせる。その秘密のひとつがミノーマスター山木一人さんによるリップデザイン。また、付属のスナップ付きブレードをセットする位置で、異なる性質のルアーに早変わり。タイプの異なるバスをひとつのルアーで引き寄せることができる。
【スペック】
●全長:180mm ●重さ:約59g ●カラー:5色●タイプ:フローティング●潜行深度:0~2m ●価格:2,980円(税抜き)
何故180mmのジャークベイトを作ろうと思ったのか?
改めてマグナベリウスとはどんなルアーですか?また作ろうと思ったきっかけを教えて下さい!
杉山「見たまんまですよね(笑)。でっかいジャークベイトです。制作したのは超つまらん理由なんですけど、だってマグナムクランクがあってマグナムペンシルもあって、マグナムジャークベイトないじゃん!って思ったんですよ。『じゃあ作っちゃえとww』作ったら面白んじゃないかと思いまして」
釣果を超えて、誰もやっていないからやろうと(笑)
杉山「もう完全にそこです。誰もやっていないだろうと言う。大きいミノーはないわけではないですけど、昔のソルトウォーター用ルアーだとウッド製とかはありましたが、ABSではなくて。それにジャークベイトとうたうからにはジャークして飛ばなきゃってのがひとつあったのでマグナムといえど、サイズには少し悩んだ部分がありました。
仮に大きいジャークベイトを作ったとしても、今度は逆に大きすぎてもロッドが限られてしまう。ある程度のヘビーロッドで投げられる範囲だと2oz程度までで、いわゆる180mmクラスのビッグベイトサイズですよね。そこに収められるボディとごつさを持つ方向で作ってたんですよ」
逆に言えば許されるならもっと大きくてもよかった?
杉山「まぁ極論を言えばそうです(笑)そもそもこのルアーを作ってる時点でオレどうかしてるなって思いましたけど。18というとスノボとかスケボーとかのトリックで、“ワン・エイティ”ってあるじゃないですか。なので『180mmだ!』って(笑)」
制作過程でみえた新たな「可能性」と性能を引き出す「フック」の存在
マグナベリウスはサイズを大きくすることで既存のジャークベイトとどういう違いを目指したんですか? それとも小型の動きをそのまま大型化したかったですか?
杉山「本当を言うと小さいサイズと同じように軽快に動くのが理想なんですけど、どうしても容積が大きい分不可能なんですよ。なのである程度諦めてたんです。まず大前提として目指してたのはちゃんと左右に飛ぶことだったので。
それで進めてたんですけど、ジャークさせるだけの水を掴もうと思うと、どうしてもそのサイズだとウォブルがでかくなっちゃうんですよ。
こういう風に飛ばそうと思ったら致し方ないくらいかと思っていたんですが、テストして本型までいった頃、弊社に山木一人が取締役として加わったんですよ。山木といろいろミーティングしてて、いまこういうジャークベイトやってるんですけどって見せたら『これリップをこうしてこうしたら問題解決するぜ』って」
杉山「それで実際にやってみたら、ただ巻きで暴れすぎない、絶妙なバランスに仕上がったんです。しかもリップの受ける面を変えたわけではないので、結局ジャークした感覚は損なわれずに。さすがだと思いました(笑)。
あとは4年くらい前にキープキャストでサンプルを展示していた際に食いつきが素晴らしかったんです、特にソルトの方々に(笑)。ちょうどそのときに見合ったフックを探していて、たまたまリューギの宇田君に会って話してたら、『いいフックありますよ!』となって“ツインフック”を見せてもらったんです。それをルアーにセットしたら素晴らしかったんですよ」
いわゆる「シンデレラフィット」だったと?
杉山「おそらく、軸が太くて同径のトリプルフックと重さはほぼ変わらないんでしょうけど、一本フックがないだけで水の抵抗が減るんですよね。トリプルよりも動きが良くなったわけです。『即採用』でした。魚に優しいとかバレにくいとか後から知ったんですけど(笑)。結果オーライみたいな感じです」
良い出会いがあったんですね。もう一つの特徴として「ブレード」が付属されているのですが?
杉山「これもちょっとしょうもない話なんですけど(笑)なにせこんなにでかいルアーなので誰が買うんだろうと考えたんですよ。ジャークベイトというと、ジャークベイトが効くときしか使えないじゃないですか」
杉山「それでふと思ったのが、お尻にブレード付けたら面白くなるのではないかと(笑)。それとどうせならこれひとつでいろいろ楽しめるならいいかなって。それならば現場で簡単に付け外しができるようにスナップタイプにしたんです。例えるならばティムコさんのフェイカーのような、ボディを揺すらずにブレードが回るタイプのルアーに変わるんで、これは使える幅が広がるのではないかと考えました」
マグナベリウスの使い方とタックル
ではこのルアーを使いこなすためのアドバイスをお願いします。
杉山「ズバリ投げて潜らせてジャークをしてください(笑)。でも問屋さんに言われたのが、とあるビッグレイクのとあるゲームでちょろ巻きでシークレットで使ってる人が多いらしくて売れてますと。できれば公にして欲しいんですが(笑)」
杉山「このルアーの大前提はジャークしてポンポンと飛ばすもので、そのためにただ巻きのアクションは多少犠牲になっても仕方ないと割り切ってたんですけど、それも最終的には改善されてただ巻きでも非常にいいアクションを出せるようになりました。
もちろんルアーが大きい分、ランカーサイズのバスも釣れるし、小さいサイズもかなり反応してきます。個人的にはソルトでテストも行ったのですが、大型サイズの青物もキャッチすることができました」
タックルはビッグベイト対応モデルでOK?
杉山「はい、ジャークする体なので硬すぎるロッドだとしんどいので、ある程度は曲がってくれるヘビーロッド、最近各社からリリースされているレギュラーテーパー寄りの操作前提のビッグベイトロッドならやり切れると思います」
おすすめカラーは?
杉山「一番オーソドックスなのはワカサギですね。あんなサイズのワカサギはいないんですけど、あの手のカラーはどんなベイトフィッシュにもイミテートできる。でも売れてるのはサイズ感からかハスみたいです。あとソルトアングラーからはピンクが人気です」
サイズ: 180mm / 自重:約45g
タイプ:フローティング / 潜行深度: 0~2m / フックサイズ: RYUGI ツインブルータル #1
付属:スナップ付きブレード
サイズ: 180mm / 自重:約45g
タイプ:フローティング / 潜行深度: 0~2m / フックサイズ: RYUGI ツインブルータル #1
付属:スナップ付きブレード
最後にマグナベリウスの名前はどういった由来が?
杉山「それ聞きますか(笑)。このルアーを作ってた当時、気に入ってたマンガがあったんです。それに出てるキャラがナベリウスって言うんです。だからホントはナベリウスがよかったんですけど、マグナムサイズだからマグナベリウスだよなと(笑)」
無限の可能性を秘めた”種=アイテム”を産み出す者達をコンセプトに、使用者がismを見い出せるタックルを世に送り出します。
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