ここ数年でPEラインの性能は飛躍的に向上し、リーズナブルに使えるエントリー&バリューモデルから超ハイクオリティ&ハイスペックのハイエンドモデルまで、多種多様なPEラインが市場を賑わしている。そんなPEラインの『元祖』とも『本家』とも言える、エックスブレイドが今春に放つPEラインが何やらスゴイらしいので、根掘り葉掘り聞いてみました!
解説してくれるのは大手釣具問屋のラインスペシャリスト!
【Profile】
福元秀樹(ふくもと・ひでき)
大阪を拠点にした大手釣具問屋・(株)魚矢の『エックスブレイドYGK課』というライン専門部署に所属し、マーケティングおよび生産管理を担当。日本各地で釣れる魚種の違いや釣り方の違い、そして自然環境の違いなどから生まれるさまざまなライン需要に応えるべく、いつも頭の中は糸のことで一杯のラインスペシャリスト。
直線強度と耐摩耗性を両立した『アップグレード原糸』を採用!
今春発売されるオフショアゲームをフィーチャーした最新鋭PEライン『オムニウム』について、そのコンセプトと特徴、使いドコロなど、詳しく教えて下さい!
オムニウムX8アップグレード(エックスブレイド )
スペック
●サイズ:0.6~10号の全12種 ●100m、150m、200m、300m、500m、600m ●カラー:全1色(5カラー1m毎黄黒黄黒黄マーク 5m毎イエローマーク)●価格:2,200円~12,000円
(社)日本釣用品工業会釣糸部会が制定する『PE糸の太さ標準規格』に準じた設定。サイズと糸巻量によって12連~18連スプール、もしくはハンガーパックで発売している。
福元「今回採用した最上級グレードの特殊素材『アップグレード原糸』は、一般的な原糸と比較して直線強度と耐摩耗性が圧倒的に高いんです。だから重量級ジグやシンカーにより常に高負荷が掛かる、そして船ベリやオマツリで擦れる可能性が高いオフショアゲームには最適と判断し、原糸として船ジャンルに初めて投入しました」
引っ張りにも擦れにも強いとは、PEラインとして隙が見当たりませんね!
福元「ただ、直線強度と耐摩耗性というのは『相反する性能』で、実はこれらを両立するのは非常に難しいんです。例えば直線強度を強くするなら、一般的には広い幅でラインを組み上げます。でも、これでは擦れた時に原糸1本ごとに掛かる負担が大きく、耐摩耗性を追求できません。
一方で耐摩耗性を上げるならば幅を狭く、より密にラインを組み上げます。しかし、これでは過度に引っ張る力が加わった時に原糸同士が擦れ合い、切れてしまうんです」
ハイテンションでの編み上げがラインブレイクを防ぐ!!
でも、オムニウムはそれを両立しているんですよね…どうやって!?
福元「ハイテンションを掛けながら密に編み上げることで、直線強度を落とさずに耐摩耗性を上げることに成功しました。ただ、密に編み上げるだけではラインが伸び縮みしやすくなり、前述のように原糸同士が擦れ合ってのラインブレイクにつながりやすいんです。
また、ハイテンションで編むことで原糸同士の隙間が埋まり、PEラインにありがちな水含みが抑制され、ドライな状態を保ちやすくガイドへの糸絡みも少なくなっています。もちろんリールが水浸しになることもなく、間接的ではあるけれど防錆にも貢献しています」
ライトタックルでのディープゲームにはぜひともオススメ!!
オフショアゲームといってもいろいろありますが、どんなスタイルの釣りに使いやすいラインですか?
福元「基本的にバーチカルスタイルならばあらゆる釣りに対応しますが、ルアマガプラスの読者を対象とするならば0.6~2号を使ったタチウオジギング&テンヤ、ティップラン、イカメタル、ディープタイラバなどがオススメですね。
伸びがないぶん感度がとても鋭いので、ディープレンジの触れるようなアタリでも明確に感じ取ることができます。人間工学を応用したマーキングを採用し、タナを把握しやすいだけでなく視認性もアップしています。これまでのPEに物足りなさを感じているアングラーには、ぜひとも使って欲しいです!」