3月は春のシーバスシーズン開幕期! RED中村おすすめ万能「稚アユ」パターンのルアー4種とその使い方を解説!



この季節特有の「バチ抜け」に限らず、3月頃のシーバスは産卵後の回復を企図して積極的にベイトを捕食する時期。暖かくなればなおさら動きは活発になって釣りやすくなると言えます。今回のシーズナルは特に「稚アユ」に焦点を絞り、代表的シーバスアングラー、レッド中村こと中村祐介さんに解説していただきました。

解説はレッド中村こと中村祐介さん!

【Profile】
中村祐介(なかむら・ゆうすけ)
ルアーメーカー、ポジドライブガレージの代表を務めるプロアングラー。全国各地への遠征釣行で培ったバーサタイルな対応力が持ち味。シーバスだけでなく、ヒラスズキ釣りの名手でもある。愛称は「レッド中村」。

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春のシーバスベストシーズンがいよいよ到来!

今回は3月のマルスズキがメインテーマ。少しずつ暖かくなる時期ですが、シーバスは具体的にどのような状態なんでしょうか?

中村「まだ寒い日もありますが、冬の産卵で消耗した体力を回復するために、エサを積極的に捕食する時期ですね。2月の最低水温期を乗り越え、沿岸部には様々なベイトが確認できるようになります」

シーバスだけでなく、気候が温暖になるにつれて捕食対象魚であるベイトの数や種類も回復する。

中村「地域にもよりますがハク(ボラの幼魚)を始め、カタクチイワシやバチ、コノシロ…あとは、特に春先の風物詩的なベイトで言えば、稚アユかな」

3月頃のシーバスゲームは「稚アユ」に注目!

アユは秋に川で孵化したのち、河口付近の漁港や干潟などの浅場で群れを形成しつつ、冬の間を海で過ごすのが特徴だ。

中村「春先になり、体長が5~6cm程度まで大きくなるとアユは川への遡上を始めるんです。シーバスは、このタイミングを狙って捕食しています」

春の注目ベイト、稚アユ。レッドさんによれば暖かい雨がキーになるという。

稚アユを主眼としたパターンに成立する条件などはありますか?

中村「水温がひとつの鍵かな。経験上、暖かい雨が降って川や河口の周辺の水温が上がると遡上する稚アユが一気に増える印象。体感気温が暖かくなったら、試してみる価値があります」

ちなみにもっと前の時期、つまり冬ごろ漁港に溜まっている稚アユをイメージしてパターンにハメることは可能でしょうか?

中村「湾内に入る稚アユは小さすぎて、シーバス用のルアーで攻めるには限界がある。やはり、遡上の頃合いを見計らって河口付近を攻めるのがベストっスね」

シーバス春の稚アユパターン/ポイントは河口付近!

具体的には河口のどんなポイントに気をつけて狙っていくのがベストですか?

中村「本命は河口に近い瀬の周辺。まだ遊泳力の弱い稚アユは岸側の障害物を経由しながら上流へ移動しつつ、瀬の下流側などの流れが緩むスポットに定位します。もちろん、経由点となる消波ブロック帯や水門付近も要チェックです」

稚アユは小魚でも寄り付きやすいストラクチャーや瀬の下流側など、流れの緩んだ地点に着く。

中村「泳ぐ力の少ない稚アユは身を休めながら遡上していくので、こうした場所がスポットとなるんです。時間としては、夜に下げの流れが効く頃合いを狙いましょう」



3月シーバスのRED中村的おすすめルアーチョイス術!

繊細な波動で経由点や瀬の直下を攻略! レンジは中層!

中村「稚アユそのものが5cm前後と小さいので、ルアーも小さめがベター。主力はバイブレーション系とシンペンっスね。キモはルアーが生み出すアクションとレンジ感っス」

稚アユイメージの弱々しさを演出することがひとつのテーマとのこと。

中村「稚アユパターンでは大きな波動よりも細かくタイトな波動や弱い波動に良く反応します。経験上、稚アユは中層付近に定位していることが多く、バイブとシンペンの使用頻度が必然的に高くなる、と」

それでは、RED中村さんが3月に使いたいルアーについて伺っていこう。

タイトウォブルで中層をアプローチ【フィンバックミノー】

フィンバックミノー75S(ポジドライブガレージ)

中村「稚アユを意識している状況では、中層を大きすぎない波動のルアーで攻めるのが定石。フィンバックミノーは、タイトなウォブリングで稚アユパターンにベストマッチ。レンジキープ力が高く、ミディアムスピードのリトリーブで中層をスムーズに攻められます」

ひと口サイズのコンパクトバイブ【ビットブイ12】

ビットブイ12(アピア)

中村「軽比重の亜鉛を採用しているため、48mmで12gとコンパクトな仕上がり。遠投性はバッチリで、遠くの浅い瀬の直下をストレスフリーにアプローチできます。動きは強めですが、サイズが小さいので問題なく騙し切れますよ」

ナチュラルな食わせのS字アクション【ジグザグベイト60S】

ジグザグベイト60S(ポジドライブガレージ)

中村「バイブレーション系に反応がなければ、シンペンを使った釣りにシフト。ジグザグベイト60Sはコンパクトで使い勝手が良いのが特徴。独特のS字軌道で適度にアピールしつつ、違和感を与えずにバイトに持ち込むことが可能です」

弱々しく泳ぐ稚アユを忠実にイミテート【ヨレヨレ・ミニ】

ヨレヨレ・ミニ(邪道)

中村「ヨレヨレのレギュラーサイズに比べるとややキビキビとした泳ぎの印象ですが、発泡樹脂ボディ特有の弱々しい自然な波動と存在感は依然として健在。リトリーブスピードでレンジを調整しやすく、飛距離も稼げます」

カラーパターン:レッドヘッドには存在感を曖昧にする効果が!

稚アユパターンに求められるアクションとシルエットとは、コンパクトで控えめであること。したがってルアーサイズは小さくなりがちだ。しかしそれは同時に飛距離の低下も招く。

そんなときに有効なカラーが古式ゆかしいカラー「レッドヘッド」なのだという。

中村「ルアーのサイズは稚アユの大きさに合わせた50~60mm前後が中心。ただ、より遠くのスポットを攻めたいときは、大きめのルアーを使いたいケースもあります。そんなときはシルエットを曖昧にする効果を期待できるカラー、レッドヘッドを試してみて下さい。赤白のアクセントでサイズ感をごまかしつつ、遠投性能を確保できます」

3月シーバスの釣り方の基本は「ドリフト」

中村「瀬の直下を狙う場合、その少し上流のほうへとキャストし、流れを活かしてドリフト気味にアプローチ。ベイトの溜まっているあたり、シーバスの目の前付近でU字を描くようにトレースするのが理想的な形です」

ストラクチャーを意識するならタイトめにルアーを通すことを心がけるのがコツだ。

ベイトが稚アユでない場合でも有効!

中村さんはここまで稚アユパターンを前提に解説してくれたが、春先は他のベイトも小さく、弱々しく、行動パターンも稚アユと似ている。

ジグザグベイトで叩き出した1本。

中村「だから、小型ルアーをメインに据えた稚アユパターンは春先の基本にできるんです。稚アユ以外のベイトが混在している状況にも強いと言えます。波動やレンジの違いで反応が一変するケースもあるので、臨機応変にローテーションしていきましょう!」