釣り人とSDGs:石垣島の砂浜から知る世界レベルの海洋ゴミの問題



ここ最近、耳にする機会が増えた『SDGs』。これがどんなものかご存知ですか? なんとなく知っていても、大きな話すぎて、ピンとこない人もいるかと思います。でも実は、とても身近な話題だったりもするんです。例えば今コレを読んでいるあなたの手元にあるペットボトル。それの行きつく先って知っていますか?

1分でわかる『SDGs』

『SDGs』とは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称で、国連が定めた17の世界的な概念目標、期限などが定められた169の達成基準、232の指標から成り立っています。

もうむちゃくちゃ多いので、全体を要約すると、国籍や老若男女問わず人権が尊重され、貧困や飢餓に苦しむこと無く安全に暮らせるようにしましょうといった内容や、経済や産業の発達や雇用の促進、環境を守りなおかつ人間が生活する上で必要不可欠なエネルギーを末永く使えるようにしましょう。みたいな感じです。

地球上の全てに優しくなりましょう、ってイメージですね。

ものすごく広い範疇の話なので、極端な話、「私は無関係です」といえる人は存在し得ない、誰もが参画できるものなんです。

釣り人とSDGs

そんなSDGsですが、釣り人としての関わり方はどんなものがあるのでしょうか?

例えば、17の目標の一つに『14: 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する』というのがありまして、なんとなく「魚を守ろう!」的なイメージがつくと思うのですが、もっと身近な話題がSDGsにつながっていいるんです。

釣り場の『ゴミ問題』です。

今や各地の釣り場でゴミは問題になっており、場合によってはそれがきっかけで釣り禁止のフィールドが誕生してしまったりもしているわけです。

釣り場のゴミ問題に関係が深そうなのは、17の目標のうち、例えば『6: すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する』という内容にある達成基準『2030年までに、汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する。』に関わる部分です。

つまり、釣り場、もっと言えば水辺のゴミを減らすということは、我々釣り人もSDGsに簡単に参画できるとっかかりになるんです。

石垣島で水辺のゴミ問題を目の当たりにした

先日、ルアマガスタッフは、縁あって石垣島で砂浜の清掃活動に参加しました。

その場所というのは、石垣島の最北端に位置するビーチで、景勝地となっている平久保崎灯台のすぐ東。

最北端の碑がある観光名所からも見ることができます。

これがその写真です。

右上に見えるのが砂浜です。

天候がいまいちなのはともかく、綺麗なビーチに見えますよね。

でもそれは遠くから見ているからに過ぎません。

拡大すると…

ゴミだらけなんです。

実際に砂浜に立ってみると、さらに唖然としてしまいます。

ものすごい量です。

清掃活動ではこれらのゴミを片付けるわけですが、実はこの活動、昨年も行われているんです。

この意味がわかりますか?

そうなんです。

1年でこの状況になるんです。

それでも清掃しないと浜が埋まってしまうから、やらないわけにはいかないのです。



漂着物は中国産。それでは日本のゴミはどこへ行く?

落ちているゴミを観察していると、あることに気が付きました。

書かれている文字の殆どが中国語なんです。

石垣島からは300km足らずで台湾、中国本土からも500kmほどしか離れていませんし、日本の本土よりも圧倒的に中国のほうが近いのは確かです。

なんだか腹立たしいですか?

でも、日本のゴミもどこかに漂着しているとしたらどうでしょうか?

実は日本からはるか東にある、『ハワイ』諸島に日本のゴミが流れ着いているんです。

そして石垣島と同様、有志による清掃活動で、日本語の書かれたゴミが拾われているのだそうです。

ちょっと衝撃的ですよね。ゴミが世界レベルで循環してしまっているんです。

出さないもしくは減らす努力が必要

もちろん、石垣島に限った話ではありませんが、どこ由来かはともかく、日本全国で漂着ゴミというのは見られるものです。

それらは拾わない限りはどんどん積もっていき、景観を崩し、環境を悪化させていきます。

幸いなことに、石垣島はもちろん全国各地でゴミ拾い活動は行われており、そういった活動に積極的な団体も数多く存在しています。

ちなみに我々ルアマガも『ブリングオーシャン』という活動に参加しています!
これは、海洋ゴミを回収しそこから衣料製品等を製造するとともに、環境問題への意識を高め、海洋環境を守るための活動です。

ですが今のままでは流れ着いたゴミを拾っても、またゴミは流れ着き、再び拾うを繰り返すいたちごっこ。

根本的な解決方法はまず、ゴミを減らすこと、そしてゴミを出さないことにあるんです。

極端な話、ペットボトルが今日からまったく世界中で使われなくなったとすれば、そのうちペットボトルという漂着物は無くなるはずです。

当たり前のことだと思いますか?

でも出来ていない。

出来ていないから漂着ゴミが存在するんです。

釣り人も簡単にSDGs的活動に参画できる!?

ゴミを積極的に拾うことはとても立派です。

でもその一歩前にある、ゴミを出さない、減らす、という部分にももっと注目しても良いのかもしれません。

例えばついつい買ってしまうペットボトル飲料。

このペットボトルというのは漂着ゴミの中でも割合が高く、また昨今問題視されているマイクロプラスチック問題の最たる原因であったりもします。

であれば、ペットボトル飲料を買うのではなく、マイボトルに飲み物を入れて持参するのはどうでしょう?

保温性が高ければ釣り場でも温かい飲み物が飲めますよ!

例えば釣り場で不意に出たゴミ。

ラインの切れ端やおやつの包装袋など、油断すると風であっという間に飛ばされてしまい、ゴミになってしまいますよね。

それならばいっそ、専用のポーチを持ち歩くのはどうでしょうか? ゴミが出た時に何処に仕舞おうか考える間もなく、さっと入れられる場所があれば、きっと風に飛ばされるリスクも減るはずです。

ルアマガでも現在ダストポーチを製作中!

ちょっと意識するだけで、ゴミを出さない、そして減らすというアクションは取れるはず。

釣り人として、SDGsは決して他人事ではありません。

でも決して難しい話もでありません。

まずはちょっと意識、してみませんか?

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