創立34年目を迎えた稀代のメーカー・メガバスが世に送り出してきたルアーは多い。なかでもハードルアーに関しては、驚異的なヒット作・ポップXや、超ロングセラー・ディープXシリーズ、世界で愛されるジャークベイト・ワンテンなど、誰もが知る、言わば伝説的なものを多く排出してきているのは存知のとおりだ。そして実は、それらには共通する要素がある。場所や季節、時代を問わずその機能を全うする『普遍性』という概念だ。2021年。メガバスが再びその『普遍性』を持つルアーをリリースする!
解説してくれるのはサトシンさん!
【Profile】
佐藤信治(さとう・しんじ)
愛知県でプロショップを経営するかたわら琵琶湖で長年ガイドを務め、多くの人にメモリアルフィッシュをもたらしてきた「サトシン」の愛称で知られるレジェンドアングラー。攻めの姿勢を貫き通すガイド『サトシン塾』は、ハードながらも劇的な釣果や多くの学びを得られるとあって人気が絶えない。近年は琵琶湖を飛び出し、全国各地での釣りを経験・吸収し、驚異的な成長を遂げている。ワンテンRの生みの親。
ミノーかつジャークベイトの『ワンテンR』を小型化!
X-ナナハン/X-ナナハン+1
【スペック】
●全長:75mm
●ウェイト:1/4oz
●タイプ:サスペンド
7月上旬発売予定
X-ナナハン。
つまり、X-80の少しだけ小さい版、もしくはX-70の大きい版がナナハンということかとは思うのですが、どういったルアーなのでしょうか?
サトシン「名前はともかくとして、ものとしてはワンテンRの小さい版という方がしっくり来ると思いますね」
ワンテンRといえば、サトシンさんがプロデュースしたワンテンの次世代版ですよね。そもそもあちらはオリジナルのワンテンとどう違ったのですか?
サトシン「ワンテンはジャークベイトとしては超一流ですが、ただ巻きで釣れる『ミノー』としての機能には不満があったんです。『ミノー』の本質はラパラにあると思っているのですが、それが無かった。そこで、ジャークもできるし、巻けばラパラのミノーのように釣れるルアーということで、ワンテンRを作ったんです」
なるほど! それでは改めましてワンテンRの小さい版、つまりX-ナナハンが生まれた経緯を教えて下さい!
サトシン「これまでの長い人生の殆どを琵琶湖で過ごしてきましたが、2017年からH-1グランプリに参加したりで、関東の釣り場にもよく行くようになったんですね。するとあちらではワンテンの110mmというサイズが大きすぎて、使用できる場面が少ないことを知ったんです」
確かに関東だと冬になるとみんな使っていますが、それ以外の季節にはあまり登板しないような印象があります。
サトシン「そうなんですよね。効かないことは無いけど、ちょっと特殊になってしまう。一方、H-1グランプリではX-80のただ巻きが大活躍したこともあります」
サトシン「ですが、関東のフィールドで釣っている人からするとX-80すらまだ大きくて使っていないというんです。さらに、近年は琵琶湖でもワカサギが増えたことで、小さなルアーが効く場面も増えてきました。そういった経緯で丁度いいサイズのワンテンRを作ることになったわけです」
数多のサンプルを経てミニワンテンRが完成!
ワンテンRが115mmですから、75mmにダウンサイジングって結構小さくなってますよね。
サトシン「そうなんです。そのため、内部構造やウェイトの重さなど、かなり試行錯誤しました。サンプル数も50個はあると思います。そこまでやらないとたどり着けなかったんです」
ワンテンRと同じ動きをさせたかったということですよね。
小さくなるとエアルームも小さくなるし、水の抵抗の受け方も変わってくるでしょうから、相当苦労されていそうですね。
サトシン「でもそこはさすがメガバスだなって感じましたよ(笑)。こうして欲しいという要望を出すとすぐに対応してくれましたしね」
オリジナルのワンテンでは2つのウェイトボールが重心移動していたところを、ワンテンRでは1つの大型ウェイトを重心移動させる方式になっていましたが、ナナハンも同様の方式ですか?
サトシン「当初はそれで進めていたのですが、あまり飛ばなかったんです。そこでオリジナルのワンテンと同様に、2つのウェイトボールを使ったところ、圧倒的に飛ぶようになったので、そちらを採用しています」
結果として、アクションはどの様になったのですか?
サトシン「しっかりワンテンRになりましたよ。はじめはただ巻きの安定感が出なくて苦労しましたがそれもクリアしていますし、ジャークベイトとしての性能ももちろん抜群です。プロトルアーでの釣果も良く、小さなルアーですが、釣れる魚のサイズがダウンすることもありませんでしたね」
『使い方』と『使い分け』
そんなX-ナナハンですがどんな使い方がオススメでしょうか?
サトシン「繰り返しになってしまいますが、ジャークしても釣れるしただ巻きでも釣れるルアーです。しかもサイズ感が絶妙なので、全国各地のフィールドで季節を問わず使えると思いますよ」
その季節に関してもう少し詳しくお願いします!
サトシン「いわゆる冬のジャークベイトが効くタイミングはもちろん、春からはプリスポーンのオスバスにはジャーク、メスバスにはただ巻きが有効です。それ以外の季節でも、夏ならカバー周りを移動距離を抑えたジャークで誘い出したり、秋ならシャローを巻いて流したりと、ミノーやジャークベイトが好きならいつでも使えるはずですよ。自分の場合、今まではシャローバンク沿いのポイントについて最初に投げるルアーはトップウォータープラグが多かったのですが、今はナナハンになっています」
パイロットルアー的に、とにかく投げて反応を見られるルアーになっているわけですね!
ワンテンRやX-80、またリップの長い+1モデルとの使い分けはいかがでしょうか?
サトシン「ワンテンRとはそのままサイズ感の使い分けですね。ナナハンより重く大きいものが使いたいときはワンテンRです。X-80はただ巻きで使うわけですが、ナナハンよりも大振りなアクションですので、その違いを意識して使います。リップの長さはそのままレンジの違いですね。ノーマルは1.5m、+1は2mが狙える水深になってきますよ」
タックルはベイトでOK
使いこなすためのタックルも教えて下さい!
サトシン「小さめのトップウォータープラグとかを投げるベイトタックルでいいと思いますね。ジャークするので、ルアーにしっかりと演技をさせやすい短めのロッドが特におすすめです。ラインはフロロ8~10lbで」
スピニングタックルは使わないんですか?
サトシン「小さいルアーだとスピニングタックルを使いたくなるかもしれませんが、ナナハンは誰が投げてもよく飛ぶように出来ているんです。ベイトタックルで使っても、同サイズクラスのルアーであればトップレベルに投げやすいはずです。なのでスピニングの必要はありませんね」
世界初のコンパクトタイプミノー兼ジャークベイト!
サトシン「H-1グランプリに出るようになって驚いたのが、関東の人が多くのルアーを使い分けていることでした。同じタイプのプラグひとつをとっても、ちょっとした違いを持つルアーを何種類も使い分けていたんです。実際自分も、関東に来て、ポップXを中心に3種類のポッパーを使い分けてバイトの出方が違うという経験を得られました。琵琶湖にいただけでは気づけなかったそういった世界があって、X-ナナハンはそんなローテーションの一角を担えるルアーになれるはずです。このサイズ感で、ジャークも出来てただ巻きにも対応する。狙って作られたルアーはおそらくこれが世界で初めてだと思います。理想通りのものが出来ましたので、是非、使ってみてください!」
季節や場所を問わず活躍でき、ジャークベイトとミノー、双方の頂点に肉薄することとなった『ナナハン』。
私達アングラーはきっとそこに、『普遍性』を感じ、新たな伝説が生まれる瞬間を目の当たりにするのです。