2021年、いよいよ第2世代へとフルモデルチェンジを果たしたDAIWAバスロッドの最高峰“STEEZ”(読み:スティーズ)。日々移りゆくフィールドコンディションに対応すべく磨き上げられた新作の数は、実に全15モデル。当サイトでは今月から毎月、その1本をピックアップして開発プロアングラーがSTEEZのアドバンテージを解説していく。第1回目は『橋本卓哉×C68M+-SV・AGS“BLACK JACK”(読み:ブラックジャック)』。いざ、名竿列伝の始まりだ。
【Profile】
橋本卓哉(はしもと・たくや)
霞ヶ浦を拠点とするトーナメント団体W.B.S.で3度のA.O.Y.(=年間チャンプ)を獲得したほか、2007年にはオールスタークラシック初出場にして初優勝の快挙。快進撃を支える主な得意技はスピナーベイトとダウンショット、攻守の2枚看板。今回は後者で優れたパフォーマンスを発揮する守護神ロッドを解説。福岡県出身・東京都在住。
先代ヘビダンスペシャルは、新世代でどう進化したのか
サブネーム“BLACK JACK”。その名は瞬時に勝敗を決め一攫千金を得るカードゲームの名を彷彿。数あるSTEEZベイトロッドの中でも、端的に特徴を示したモデル名であることを後に理解できるだろう。
開発を担当したDAIWAプロアングラーは橋本卓哉さん。2015年に誕生した初代に続く、2代目モデルを数える。今度のBLACK JACKはどんなポテンシャルを秘めているのか。
橋本「元々は“(へビー)ダウンショットリグ”に特化したロッド。ところが今回の21BLACK JACKは、投げるリグ、投げる場所は大きく変わらないが、“すべてにおいて明らかに進化”したと言っていい」
15BLACK JACKのモデル表記は『681MMHFB-SV』。対して、21BLACK JACKは『C68M+ -SV・AGS』。
全長は共に6ft8inで1ピース、SVの文字も共通。
一方で、15モデルがティップM・バットMHのパワーであるのに対して、21モデルはM+、さらにAGSの文字が追加されているのがわかる。
はたしてこれらは何を意味するのか。橋本さんの言う「すべてにおいて明らかな進化」とは何を示唆しているのだろうか。
超感度を受け継いだまま、誰でも扱いこなせる1本に
橋本「15BLACK JACKはダウンショットが水中に入ってからの操作性を重視した竿だった」
橋本さんが「抑えの切り札」として早くから提唱してきたのが「止めのダウンショット」。微かな地形変化を探してシンカーを絡め、寸分のズレもなくシビアな入力。そこにいるであろう魚に対して、リグを魅せ続けることでバイトを誘う釣りだ。
橋本「ダウンショットを扱う場合、竿に求められるのは細かな操作を可能にすること。具体的にはティップがしなやかで、ベリー〜バットはしっかりしたファストテーパーが求められる。そこに徹底的に注力したのが、15モデルだった」
前述した15及び21モデルに共通する文字“SV”とは、超感度カーボンテクノロジー・SVF-COMPILE-Xの略称。ラインを介してシンカーが捕らえた振動を明確に手元へと伝達。
この類稀なるボトム感知能力を次なる方向性へと昇華したのが、21BLACK JACKなのだと橋本さんは言う。
橋本「ファストテーパーの竿は投げる人を選ぶ。スナップを利かせたキャストを要する。クルマに例えるならF1。乗りこなせるドライバーが必要だった。ところが、今度の21BLACK JACKはいわば、オートマ。それもスーパーカーレベルのクルマを誰でもに乗りこなせるようになった」
曲がりの支点を1点に集中させた15モデルから、21モデルは全体が素直に美しく曲がる、可変するマルチテーパーへと進化。
橋本「キャストがしやすくなっただけでなく、しなやかなテーパーはよりライトラインへの対応力も高めた。とはいえ、カーボンテクノロジーは先代譲り。つまり超感度はキープ」
21BLACK JACKは優れた感度を引き継ぎながら、投げやすさやより細いラインでも戦えるアドバンテージを身に付けたのだ。
特化型を維持したままフィネスバーサタイルへ!
橋本「かつてはテーパー設計に重きを置いたデザインが、今度はブランクのカーボンテクノロジーで実現。さらには“AGS”の搭載。そうです、カーボン製のDAIWAオリジナルガイドです」
今季のフルモデルチェンジでSTEEZ史上初となるカーボンガイド・AGSとカーボンラッピングシステム・CWSを採用。ティップが捕らえた微かな振動を手元へ伝え、的確な操作性へと直結する。
橋本「それらをブランクの最外層からX45フルシールドで締め上げ、ネジレを抑制。ブレのないキャストアキュラシーを向上して、パワーロスのないシャープなフッキングも可能にしてくれます」
軽さと感度、キャスタビリティ。優れたロッドを担う条件を揃えた21BLACK JACKはさらなるアドバンテージを身に付けた。
橋本「元々、5〜7gのダウンショットでの扱いやすさを求めて開発したロッド。すべてが進化した副産物として、あらゆるリグ及びルアーへの対応力が格段に高まった」
5g前後のライトテキサスやフリーリグ、フットボールジグ、高比重バックスライドなど、橋本さんが他ロッドで多用してきたメソッドも21BLACK JACKが可能にする。
橋本「もはやボトムサーチだけじゃない。ライトカバーも守備範囲。もはやダウンショットを軸とした“フィネスバーサタイル”と呼ぶべき1本。ハイレベルなワーミングを実現するモデルに仕上げることができた」。
その異次元の威力、ぜひ体感してみたい。
ハイギアSV TWリールとのセットアップが勝利へ牽引
最後に、橋本さんの21BLACK JACK、タックルセッティング例を解説。
橋本「狙うスポットによって、リールとラインを替ていく。ライトカバーなら『STEEZフロロtype-モンスター』の12lbまでをSTEEZ CT SV TW700XHL。カバーがより濃いなら同じく13〜14lbを、STEEZ SV TW1012SV-XHL。どちらもギア比8.1を使います」
他では獲れないバイトを瞬時に感知して、鋭いフッキング。そしてハイギアリールが魚をカバーから引き剥がし、セーフティーゾーンへと導く。
橋本「何せキャストがしやすく、バランスも抜群。ノーシンカーをシングルハンドでスキップさせやすく、竿を立てた際の操作性は他では得ることのできない快適性を覚える」
すべてにおいてワンランク上、いや遥か彼方トップ・オブ・トップスのユーティリティ性能。それがSTEEZという名のDAIWAバスロッド最高峰なのだ。