言わずと知れたシマノ最高峰リール・ステラ。22ステラは名機と言うに十二分の機構が搭載されているという。「大きく変わった点はスーパースローオシュレート。これを制御してくれる2つの機能があります」。そう語ってくれたのは黒田さん。そのスーパースローオシュレートを中心に、NEWステラの機能を紐解いていこう。
語っていただくのは国内最高峰トーナメンターにして大人気ブロガー
【Profile】
黒田健史(くろだ・けんし)
1985年生まれ。国内最高峰カテゴリーJBトップ50メンバーであり、昨季は第2戦で3位、第3戦で2位と連続お立ち台入りで年間ランキングも8位フィニッシュ。長年の経験と高度な技術、そして豊富な知識に裏付けられたタックルに対する造詣の深さは特筆すべきもの。バスのみならず、ソルトゲームにも精通している。シマノインストラクター。
22ステラ(シマノ)
【スペック】
- 品番:1000SSPG~C5000XG
- ギア比:4.4~6.2
- 自重:165~260g
- スプール寸法:40mm、13.5mm~52mm、19mm
- 最大巻上長:55~101cm
- ハンドル長:35~57mm
- ベアリング数:12/1~14/1
- 価格:85,400~91,900円
進化した「スーパースローオシュレート」で大幅に飛距離UP!
黒田「まず22ステラには、スーパースローオシュレートが入っています。もともとはミレニアムステラに入っていた機構ですが、当時のものより大幅に遅くなっています」
――スーパースローオシュレートというと、ローターがゆっくり動いてくれてスプールに密巻きされるものですよね。それがどう大きく影響したんでしょうか?
黒田「今回は特にゆっくり動いて、ほぼローターの上下動がないんじゃない!? というくらい。なので、ラインの出がめっちゃスムーズになっています。その結果、飛距離がすごい出るようになっています。もう、ラインがブルゥアアアアア……って出ていく感じ」
――飛距離UPはどの釣りにでも超重要ですよね。他にもメリットってありますか?
黒田 「ローターがゆっくり上がって下がるから、軸がブレず変化がすごく少ないんですよね。結果、飛距離UPだけじゃなくてドラグ性能もアップしています。スピニングリールにとってこの2つの性能って、要(かなめ)だと思うんですよ。で、ミレニアムステラにもスーパースローオシュレートが搭載されたんですが、実はラインが出やすくなったことでトラブルもあったんです」
――トラブルというと?
黒田「ラインが出すぎちゃうと、ラインが絡むといったトラブルがどうしても発生してくる。まだ当時はラインの出を制御しきれなかったんですね。でも、両方とも高次元でできる制御機能が追加されたんです」
ここからは、2つの制御機能を中心にどうやってラインのトラブルを減らしているのかを紹介していこう。
アンチツイストフィンでトラブルレス
黒田「ラインが出まくると絡んだりトラブルが発生しますよね。それを制御しているのが、ラインローラーの下にある、このフィン(アンチツイストフィン)」
――あ、フィンといってもそれほど大きくはないんですね。これがあるとどういう効果があるんですか?
黒田「このフィンのおかげでラインが通る部分のクリアランスがすごく狭いんですよ。これによって糸がふけたままであったり、撚れた状態で巻かれることがなく、しっかりテンションが掛かった状態で緻密にラインを巻き取ってくれる。よって放出時にしっかり制御できる状態になる。だからトラブルが少ないんです」
――この小さなフィンが大きな効果をもたらすんですね!
黒田「僕は天使の羽根って呼んでいますが、正式名称はアンチツイストフィン」
1つ目はラインローラー下のフィン。では、2つ目はどういった制御機能なのだろうか!?
ニューAR-C形状でラインの引っ掛かりを軽減
黒田「2つ目はすごく細かい話になるかもしれませんが……まず、ライントラブルが起こる現象っていくつかあるんです。ラインがどうトラブルのか? スーパースローの動画で何百回とデータを取ってみると、1番多かったのがスプールエッジからドラグノブの先端までの間。ここのどこかに引っ掛かっていることが多いんです。だから、その距離を短くすればするほど、引っ掛かりが減るんです」
その距離を減らすというと、具体的にどう変わってきているんですか?
黒田「まず、ドラグノブを低くしています。この高さが低いと引っ掛かりは減ります。スプールエッジの上の3~5mmあるかないかくらい。もうツラッツラにしてあります。でもドラグは回しやすいようにホールが空いています」
本当ですね! ドラグノブの出っ張りがすごく少ない。
黒田「あと、スプールエッジも新しくなっていて、最後のR部分も引っ掛かりにくいようにエッジが緩くなっています。ライン放出の際の妨げにならないようになっているんです。これらのスプール部分は、ニューAR-C形状という名称が付いています。どれくらいラインが出やすくなっているかっていうと、5lbのラインをベイルフリーにして下に向けると、ず~っと出続けるくらいです」
黒田「これは、スーパースローオシュレートによる密巻きの影響も大きい。密巻きでさらに抵抗値も低いスプールエッジなので、飛距離がすごい出る」
――良いこと尽くめですね……!
黒田「あ、でもベイルフリーにしてこのまま下に向けちゃうとラインが出まくってしまって、ある意味やっかいな場合もあります(笑)」
――たしかに……巻いてあるのがまだPEラインだから良い(笑)?
黒田「フロロカーボンだとめっちゃ出ます。だから、キャスト後ある程度したらラインメンディングしてあげる必要があります。外の環境で風が吹いていたら、バンバン持っていかれますから。でも、その代わりワームが沈んでいく時にラインを出してあげなくても、そのままでスーッて出ていきます」
――そういうメリットもあるんですね。
黒田「あと、抵抗が少ないのでキャストした時に手元へのブルブル感が少なくて、すごい綺麗に飛んでいくんです。だから、実際に飛距離もUPしているけど、体感的にもすごい伸びている感覚が出るので相乗効果というか、『めっちゃ飛んだ!』ってなります(笑)」
――それだけ、今回のステラは大きく変わったわけですね。
黒田「07ステラも大きく変わったんですよね。それ以来、15年に1回だけあるような大変革のターンといって良いと思います。あ、あと1個付け加えるとしたらC2500って、2500番のボディに1000番の小さいローターが付いていたんですよ。でも、今回はボディが1000番でローターは2500番で起こし直した。結果、C2500のために金型を出しているんで、ちょっと今までとは違った面白い番手になると思っています」
ブラックバスはもちろん、ソルトウォーターのあらゆるシーンでも飛距離が重要な場面は多い。さらに、トラブルレス。あらゆる面で大幅な進化を遂げた22ステラの期待度は高まる一方といえるだろう。
黒田「あ、ちなみに僕のオンラインサロンでも2022年の新製品について詳しい話をさせて頂きます! ブログでも結構書く予定ですが、それ以上に濃い内容をお届けしますよ! 是非ともご参加を! 損はさせません(笑)」
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