近年日本のソルトルアーフィッシングシーンの中でも、圧倒的な人気を誇り、一大ジャンルへと飛躍したサーフからのヒラメ釣り。広大な砂浜から、少ない情報や自身の観察力を駆使し、導き出さなければいけないその釣りは、決してイージーとは言えないが釣り上げたときの感動と爽快感は図り知れない。そんなヒラメゲームの新たな攻略法を探究し、発信し続けるアングラーが「ミッチー高橋さん」である。第2回目の連載は先日「THEフィッシング」でも放送された北海道でのヒラメゲーム攻略の舞台裏に迫ります!
語っていただくのは初代ヒラメ王・ミッチーさん!
【Profile】
高橋慶朗(たかはし・みちあき)
ヒラメを始めとしたフラットフィッシュから、シーバス、青物、ロックフィッシュなどあらゆるソルトルアー魚種に精通するスーパーエキスパート。固定観念に捕らわれず、常に進化を求めるアグレッシブなスタイルに定評がある。またシーバスやオオニベにおいてはレコードホルダーとしての顔を持つ(シーバスJGFA・IGFA20lbラインクラス日本&世界記録【107cm9.5kg】、オオニベJGFA20lbラインクラス日本記録【150cm26.4kg】)。グローブライド(DAIWA)勤務。愛称はミッチー。
北海道サーフ! 攻略の鍵を握るのは「タングステン」&「高比重」なルアーたち!
ミッチー高橋「皆様、こんにちは! DAIWAフィールドスタッフのミッチー高橋です。いよいよ僕の得意なフラットフィッシュや青物などのショアジギングも全国各地でシーズンイン。僕もロケやテストで全国を飛び回っている真っ最中です」
――ご多忙の中、原稿執筆本当にありがとうございます!(感謝)。ところでミッチーさん、先日地上波のTV番組「THEフィッシング」で北海道のヒラメを攻略されてましたね! 毎年北海道には遠征されているとのことですが、本州と北海道のサーフゲームでは大きな違いがあったりするのですか?
ミッチー高橋「お、番組チェックしてくれたんですね! ありがとうございます。北海道エリアのヒラメゲームは広大な遠浅のサーフから、水深があって流れも速い磯場がメインになります。
一般的なサーフの攻略法として、比較的手前のポイントを狙うのであれば、ジグよりもナチュラルなアクションを演出できる30g以下のジグヘッドワーム。さらにサーフの沖や流れの強い水深のあるポイントを狙うのであれば40g以上のメタルジグが有利となりますが、北海道の場合は、前述の理由により『40~60gクラスのメタルジグのみ』で狙うアングラーが多いんです」
――確かに関東とは比べ物にならなくらいの遠浅サーフ、さらに深くて流れの強い磯場の両ポイントで共通して使えるルアーは間違いなく「メタルジグ」になりますね。
ミッチー高橋「ただし40g以上のメタルジグは、遠投は出来てもその自重からサーフフィネスの真骨頂である『スローな誘い』が出来ないという欠点があります。これを補うため、ジグに近い飛距離&ワームのようなスローアクションが可能なヘビーシンキングペンシルも開発されましたが、アクションを優先させると上限重量に限界がありジグ程の飛距離が出ないというのが現状でありました。
ですが今回の釣行は、北海道のような遠浅サーフでも遠投が可能なタングステン製の小型ジグヘッドワーム、スローで引いてもしっかり泳ぐタングステン小型メタルジグ、およびスローリトリーブでもしっかり泳ぐ超高比重ヘビーシンキングペンシルというNEWアイテムを引っ提げて実釣に臨みました。
その結果、遠浅サーフと磯に於いてサーフフィネス釣法での優位性を確信することができたので、その詳細を解説したいと思います」
流れが強く水深のある磯は「TG」モデルが大活躍!
ミッチー高橋「ロケ初日は風が強かったことから、風の影響が少ないサーフで実釣した後、16時過ぎの夕方に風裏となる磯の先端部にエントリーしました。
磯にはすでに先行者が1名キャストしていて、まだヒットはない状況。
そこで、飛距離が出て、スローリトリーブでもしっかりとアクションする『ヒラメタルZ TG30(DAIWA)』をフルキャストして沖の竿抜けポイントを狙う作戦を試すことに」
ミッチー高橋「ここは水深が15m程で流れも強いエリアでしたが、PE1号+小粒タングステンジグのセッティングなので、30gでも明確にボトムを取ることができました」
――磯の水深15mとは… 遠浅サーフとのギャップがすごいですね…。でもそれ以上にボトムを取れて飛距離も出せるヒラメタルZ TGスゴイ!!」
ミッチー高橋「ですが、しばらくすると巻き返しの強風が横から吹き込み、思うように飛距離が出なくなったことから、タングステンジグの『ヒラメタルZ TG 40(DAIWA)』にチェンジして距離を稼ぐと、程なくして同行の佐藤博之テスターのロッドが弧を描きます」
ミッチー高橋「上がってきたのは43cmのヒラメ。ルアーはやはりヒラメタルZ TG 40のマットピンクでした。
――タフな状況でロコの意地を見せてくれましたね! 佐藤さん!!
「ですね! ヒットパターンは遠投後、ボトムまで沈めてからのストップ&ゴーで、ハンドル5回巻き後のポーズで食ったとのこと。 アプローチはサーフと同じです。初日はこの1枚でロケは終了しました」
ミッチー高橋「そして翌日も、同じ夕方の時間帯から磯場にエントリー。
ロケ2日目は無風で先行者も居なかったことから、日中でもヒット率の高いジグヘッドワームの『FJロデム 3TG 30g(DAIWA)』をセットし、遠投してボトムまで沈めると、なんと着底と同時にヒット!」
ミッチー高橋「1投目から38cmのソゲを釣り上げることが出来ました!」
ミッチー高橋「さらに今度はルアーカラーをヒラメピンクイワシに替え、リフト&フォールで狙ってみると、またしてもリフト後のフォールで42cmのヒラメがヒット。
佐藤テスターも、同タイミングでロデム3TG 30gヒラメバーニングにルアーチェンジし、直ぐにストップ&ゴーで北海道らしい55cmのビール瓶アイナメを釣り上げました」
ミッチー高橋「この直前まで、佐藤テスターはヒラメタルZ TG 30gで攻めていてノーバイトだったことから、タングステン製の小型ジグヘッドワームが日中の食い渋りの時間帯にはいかに有効であるか、TVを視聴された皆様にもお分かり頂けたでしょう!」
――サーフフィネスの有効性が北海道のタフなシチュエーションでも実証されてますね。
ミッチー高橋「ただし、日が傾いてきてからは沖の竿抜けポイントをスローリトリーブで攻められるヒラメタルZ TG 30gの独壇場で、佐藤テスターはストップ&ゴーで50cmのホッケなど、北海道らしい魚を連発、私も40cmのヒラメの他、ホッケを連続ヒットさせることができました」
ミッチー高橋「途中にも、更なる沖を狙うべくヒラメタルZ TG 40gを投げてみたのですが、ヒット率は極端に低下したことから、『コンパクトかつ高比重なメタルジグによるスローリトリーブ』の有効性が証明できたロケとなりました。」
――ウェイトの違いによるアクションの差が如実に出たんですね。
遠浅サーフには飛距離が出てスローに誘える「ヘビーシンペン」が有効!
――サーフでの実釣はどうだったんでしょうか。
ミッチー高橋「ロケ初日に朝マズメからエントリーした本命サーフは、穏やかでいかにも釣れそうなシチュエーション。ランガンしながら、ここぞと言う岬状の両サイドのカケアガリ部分をヒラメタルZ TG 30gやロデム3 TG 30gの遠投&ストップ&ゴーで攻めるも、釣れるのはホッケとアメマスのみ。昼前まで粘っても本命のヒラメはノーバイトで終了」
ミッチー高橋「翌日も、朝イチから同じ状況だったので、このサーフはシケで沖に逃げたヒラメがまだ接岸していないと判断し、シケの影響を受けていないサーフまで大きく移動することにしました」
――北海道サーフも決してイージーではないんですね…。
ミッチー高橋「そうですね、でも決して攻略できないわけじゃありませんよ!
次のポイントに到着したのは9時過ぎで、ここは人気のポイントでもあり、すでに誰も居なかったが、サーフに残された足跡から朝は確実にルアーマンがエントリーしていたと推察できました」
ミッチー高橋「そこで、ジグでしか攻められていないであろう沖のポイントを、ジグ並みの飛距離が出てスローリトリーブもしっかり泳ぐヘビーシンキングペンシルの『オーバードライブ95S(DAIWA)』の遠投で丁寧に探り直す作戦を試すことにしました」
ミッチー高橋「このサーフは地形変化が無く、ポイントの見極めが難しかったので、まずは流れ込み周辺からキャストを開始。しかし、ヒットするのはアメマスとホッケのみだったので、移動しながら変化を探していくと、岸から沖に向かって流れる海流の筋を発見しました。
ヒラメは、このような流れの下に潜んでいることが多いので、筋に沿って遠投したのち、一度着底させてからスローのストップ&ゴーで攻めると、リトリーブを止めたところでゴンッとヒット! 程なくして上がってきたのは、待望の45cmのヒラメでした」
――沖の変化するポイントへ遠投できて、かつスローに誘えるオーバードライブ95Sがハマったんですね!
ミッチー高橋「その後ヒットは無く、夕方を待って今度はヒラメタルZ TG30g ヒラメピンクマーブルで、沖の竿抜けポイントを遠投で狙っていると、ストップ&ゴーのフォールでまたしてもヒット。ヒラメかと思ったが、上がってきたのは40cmのムシガレイ」
ミッチー高橋「今回のロケはこの魚で終了となりましたが、オーバードライブ95Sで日中に釣り上げたヒラメは、間違いなくジグでしか届かない沖のポイントを『スローに丁寧に』攻められたことによる釣果であり、遠投が可能でスローアクションにも対応できるコンパクト高比重ヘビーシンキングペンシルの恩恵であることは間違いありません」
――間違いなくサーフフィネス釣法だからこそ獲れた一尾ですね! 素晴らしい!!
超高比重ヘビーシンキングペンシルの優位性とは!?
――リアルタイムで僕も番組を見てましたが、北海道とはいえ、決してイージーな状況ではないんだろうなと思いました。でもロケでは前回ご紹介した「ロデム 3TG」をはじめ「ヒラメタルZ TG」でも釣果を出して、最後には新たなルアー「オーバードライブ95S」でグッドサイズのヒラメもキャッチしてましたね。
ミッチー高橋「そうですね!オーバードライブは昨年秋にリリースされたバーサタイルに使用できるヘビーシンキングペンシルになります」
オーバードライブ95S/120S(DAIWA)
フラットフィッシュ、青物、シーバス対応バーサタイルヘビーシンペン。後方重心スリム形状+95Sで35g、120Sで45gの高比重ボディにより飛距離が大幅に向上。ヘッドフィン搭載によりスローリトリーブでもワイドテールスイングアクションを実現。
【スペック】
- タイプ:ヘビーシンキング
- アクション:ワイドテールスイング
- サイズ:95mm、120mm
- 自重:35g(95S)、45g(120S)
- 潜行レンジ:50cm~
- カラー:全10色
- 価格:1,700円(95S)、1,800円(120S)
ミッチー高橋「ヘビーシンキングペンシルは飛距離が出て、且つ樹脂ボディの為スローリトリーブでもアクションすることから、ワームでは届かない沖を、ジグよりも繊細なスローアクションで誘えるサーフフィネス釣法では必需品のルアーとなります。
しかしこれまでのヘビーシンキングペンシルは、スローリトリーブでアクションさせるにはボディサイズに対して搭載可能なウエイト量は限られており、アクションを優先させると重量を制限せざるを得なかったことから、ある程度までしか飛距離を伸ばせなかった。 この欠点を劇的に改善したのがオーバードライブ95Sと同120Sなんです。
このルアーは後方重心の飛距離を優先したスリム形状で、更に95Sはで35g、120Sでは45gと通常のヘビーシンキングペンシルよりかなり重めの重量設定となっている為、飛距離が飛躍的に向上しています」
――確かにサイズの割にはだいぶヘビー。飛距離は出せるかと思うんですが、スローなアクションは難しいんじゃ…。
ミッチー高橋「たしかに本来であればこの重量、形状だとスローリトリーブでは殆どアクションしないんですが、頭部に『フィン』を付けたことで、スローリトリーブでも確りと大きくテールを振るアクションするんです! 」
オーバードライブのスイム動画はこちら
ミッチー高橋「このフィンはシーバス用ファットシンキングペンシル「ファシャッド」シリーズの技術を転用したもので、頭にフィンを付けることでルアーが横に倒れる動きが抑制され、重いボディでもきれいにテールスイングさせることが可能となります。しかもキャスト時はこのフィンがロケットの羽の役割を果たし、飛行姿勢が安定するので、飛距離向上にも一役を担っているんです。 その飛距離はジグに匹敵するほどです」
――ファシャッドシリーズはミッチーさんが監修されたルアーですよね。今ではビッグベイトモデルまでラインナップされていて秋のコノシロパターンの定番ルアーにもなってます。そのルアーのDNAがサーフ用のヘビーシンキングペンシルに組み込まれて「サーフフィネス」の一角を担うとは!
ミッチー高橋「まさか予想してなかったでしょう(笑)。でもふとしたところにヒントがあって、そこから新たなルアーが生まれたりするんです。釣り方や攻略法も同じですよ。
アングラーの皆さんも決して枠に収まることなく、いい意味で色んな情報やテクニックは積極的に吸収していってください。地方の釣りや釣り方を見てヒントを得られることは絶対にありますから!
ということで先日放送された北海道ショアヒラメを攻略した「THEフイッシング」の模様は後日DAIWAの公式動画チャンネルでも公開予定なので乞うご期待を!」
※待てない人は「TVer(ティーバー)」でも見逃し配信を期間限定で公開してますよ!
今回使用したタックル
- ロッド:オーバーゼアAGS109ML/M
- リール:NEWイグジストLT-4000C-XH
- メインライン:UVF モアザン デュラセンサー×8+Si² 1号
- リーダー:モアザンリーダーEX II TYPE-F 20lb ※すべてDAIWA
ミッチーさんの北海道ショアヒラメ攻略を知りたければ下記動画をチェック!
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