陸っぱりのアジングも熟成し、いまやボートアジングに興味を持つアングラーも増えている昨今。ボートアジングには『水深』の壁があり、それをクリアするためにバーチカルコンタクトアジング(バチコン)などのリグなどが台頭している。そして、もうひとつ、そのレンジを自在に操ってコントロールするARメソッドに注目したい。狙っていける。つまりギガアジ、テラアジがいる層を狙い撃ちできる。大物を捕りたいなら習得しておくべきメソッドのひとつだ。
●文:ルアマガプラス編集部(深谷真)
ボートアジングにゲーム性を持たせるためにはレンジコントロールを意識したい
ボートアジングの利点は、アジの濃いエリアにボートでアクセスし、それを効率的に狙っていくことができる点だ。比較的、アジの型もよいのもプラスポイント。陸っぱりのようにジグ単で攻略してゲームを楽しむことももできるが、比較的深い水深を狙うことが多くなることから、アジのレンジに素早くアクセスできるリグが非常に有効になってくる。
となると重めのウェイトを組み込めるバーチカルコンタクト、通称バチコンなどが対象に上がるが、このリグは操作しやすくハメやすい反面、変化する状況に適宜アジャストしていくには、ややスピード感が劣るのが弱点(アジャストさせれないわけではない)。一定のレンジを狙い続けるには非常に効率がいいリグのひとつ。
今回紹介するのは、ARメソッド。操作にジグ単的な理解は必要になるが仕組みが理解できれば、適切に活性の高いアジのレンジを釣りわけられ、サイズなども選んで狙っていけるのがこのリグだ。専用の道具を使わず、ジグ単用のロッドを流用できるのもメリットのひとつ。操作感は、ジグ単のソレに近いことから、ゲーム性の高さも魅力のひとつだ。
ARメソッドの利点、広いレンジサーチ能力とルアーのドリフト能力
バーチカルコンタクトリグ(バチコン)はウェイト先行のダウンショットリグの亜種。ARメソッドはキャロライナリグの亜種。かなりざっくりしているが、そう考えて良い。
例えば、『最大水深30m、反応があるレンジは底から3mの27m』この情報・状況が提供された場合、バチコンは無類の強さを発揮する。ある程度、狙いたいレンジが明確で幅広く無い場合は、調整がしやすkく、狙いやすいのがバチコンの大きな特徴だ。もうひとつ付け加えると、アジが捕食しているベイトや小魚などの場合は、さらにバチコンは強い。リアクションの釣りが比較的に簡単に演出しやすいからだ。
逆に『最大水深30m、反応があるレンジはボトムから15mの広範囲』。この場合ARメソッドが探りやすい。ただし『探っていく』釣りなので、ある程度のリグの理解度が無ければ、最も反応の良いレンジ、狙いたい魚のいるレンジを見つけ出すのに時間を要してしまう(バチコンが得意な状況も情報が的確な分、もちろんARメソッドで対応は可能)。しかし、広範囲のヒットゾーンをより絞り込んでいけるということの強みは大きい。
そしてもうひとつ。ARメソッドには大きなメリットがある。
特にレンジキープを意識したワームのドリフト力が上がる
それは、セットしたワームのドリフト能力を高くコントロールできる点だ。特に横方向のドリフトが実現できることから、レンジにいるアジの主食がプランクトン系の場合にはこのメソッドのドリフト能力が生きる。
陸のアジの主食はプランクトンであることが多く、アジングの基本はフォールとドリフトなのだが、ボートアジングの場合にもこの局面の場合、圧倒的に反応が良くなる。ただし、沖合のアジのベイトはプランクトンだけでなく、動きのあるベイトフィッシュ類であることも多い(割合的に、陸よりベイトフィッシュが主食になるパターンは多いように感じる)。
理屈的には、力の支点となるウエイト位置が、セットするワームの前にくるためにウエイトのコントロールさえしてしまえばレンジキープを主眼にしたドリフトが行いやすいのだ。ウエイトからワームのリーダー長を調整してしまえば、さらにドリフト力は向上する。
ただし、リーダー長を長くしてしまうとアタリが明確に出にくくなるので、ドリフト力が高まる反面、アタリが取りにくくなる(メソッド開発者の家邊さんは、比較的短いリーダーで十分機能するリグだと説明している)。状況に合わせてこういったリグの調整力が必要になるので(フィッシュ系がベイトの場合は短いリーダーで戦える)、ある程度の理解力が必要になる。しかし、そのバランスと状況の癖を掴んでハメた場合の爆発力は半端ない。
この卓越した『対応力』がこのメソッドの魅力。
リグの扱い方は、実はそんな難しく無い
基本的な使い方は簡単。
わかりやすいのはボトムを起点としてレンジを探っていくことだ。リグを着底させて、そこから決めた回数リールを巻くだけ。例えば5巻きのように決めてリールを巻き上げリグをドリフトさせる。
そこで反応が薄かったり、違う魚のさらに大きな魚の群れを狙いたいなどがあれば、さらに3〜5巻きして反応や釣れてくる魚の状態を見る。これをくりかえしつつ反応の良い層を探っていく。
釣れるレンジや大物狙いを意識したときに、意図的にレンジを探っていくことができることからARメソッド(オールレンジメソッド)と名付けられている。
敢えて難しさを指摘するなら、そのドンピシャの層を探して行けるかという部分。でも釣果の薄い層、濃い層、はたまた魚の大きい、小さいなどを探って絞り込んでいく作業はゲーム性が高い。ここは面白さのひとつだ。
ということで、考案者である家邊さんのARメソッドの使い方について、もう少し時系列を追いつつ詳しく解説していただこう。
家邊さんによるARメソッドの使い方(詳細解説)
(1)リアクションパターン攻略
家邊「ボートアジングの場合最初にすることはその日のパターンがリアクションなのかステイなのかをまずは見分けることです。
最初にリアクションをかけてのそのパターンかどうかを探るのですが、その場合シンカーからジグヘッドまでの距離を25cmくらいと短くしてシンカーの動きにリンクさせるようにします」
動かし方としては、ワンピッチ、ワンジャーク5秒ステイでレンジを探っていきます。
水深にもよりますが大体最大水深の1/3の深さあたりまで、この方法で探りそれを2、3回繰り返してアタリがなければステイパターンを探ります」
(2)ステイパターン攻略←ARメソッドが最も生かされる
家邊「おおむねステイパターンがARメソッドの能力が一番発揮されると考えているのでこの場合のパターンが一番多くなります。
先ず底潮の動きを考えます。
基本ボトム基準で全て始まるので底潮の動き次第で色々変わっていきます。
シンカーからジグヘッドまでの長さは、35〜40cmを基準としてジグヘッドはストリームヘッド0.3g〜0.5g基準にします。
ステイをさせる時間は僕のカウントで60カウント。これを大体ハンドル3回転ずつで探っていくのですが、ステイの場合は、それほど上まで探らず大体ハンドル20回転、底から12〜13mまでです。
20カウントに一回くらいの間隔でロッドを動かしてワームを動かすのですがこの動かし方もその日のパターンを探るために数パターンあります。
- 誘い上げからジグヘッドの落ちるスピードで落とすパターンと一気にフリーにして落とすパターン。
- 50cmくらいの幅で3回ロッドで揺らすパターン。
- 素早いトゥイッチで誘うパターン
- ステイからの50cm程度のテンション抜きで反応を見るパターン
これらの動きをステイと併用してどれがその日に1番あたるパターンなのかを探りますがこれらは全てシンカーを止めた後のジグヘッドの動きが重要ですので、ジグヘッドの変更やジグヘッドまでのリーダーの長さをその状況に合わせて変えていきます。
僕は経験上この感じだとこうだと言うのが大体分かって来ましたから、外さずにアテる事がで来ますが、最初は0.3gのストリームヘッド、リーダーまでの距離35〜40cmの基準で素早いトゥイッチ一回からのステイで殆ど釣れるので、動きのパターンとステイ時間だけ掴み釣れなくなったらそれらに着手する方が効率的だと思います」
使用するジグヘッドのウエイト調整で、さらなる状況アジャストが可能!
システム図解では確認しにくいかもしれないが、ワームはジグヘッドに装着して使用する。比較的軽めのジグヘッドを使うことが標準的(0.3〜0.6g)だが、このウエイト調整により状況にさらにアジャストしていけるようになるので、ゲーマー気質のアングラーには面白味のひとつ。
ウエイトそのものは、潮の流れの強さ、アジの活性と密度で調整すると家邊さんは語る。
家邊「ほかには、うちで作っているゼログラヘッドなどを採用することで、アタリのでかたが大きく変わることがあります」
家邊さんの言うゼログラヘッドはサーティフォーが販売している、ヘッドを樹脂コーティングされたジグヘッドフック。樹脂コーティングすることでキャスト時の重さは増えるが、比重の関係もありフォールスピードが遅くコントロールできるというアイテム。通常のジグヘッドに加えて、この引き出しがあることで調整のバリエーションが増え、さまざまな状況にフィットさせていくことができる。
ボートアジングに興味のあるアングラーは、ぜひ試していただきたいリグのひとつ。バチコンと合わせて習得できれば、ボートアジングでの攻撃力は格段に上がるはずだ。
さぁ、近年盛り上がりを見せつつあるボートアジング。陸っぱりの主力リグ「ジグ単」ももちろん楽しめるのですが、陸っぱりよりも攻略する水深の幅が大きいことが多く、胴付き仕掛け的なリグや、キャロライナリグ系が[…]
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