釣り人にとってカワハギはフクザツな感情を抱く魚だ。水中をホバリングするように器用に泳ぎ回る性質があり、上手にエサだけを掠め取っていく。難しい釣りなだけに、釣り人は夢中になる。が、釣れない。だから面白い。なんといってもその美味しさも際立っている。釣ったカワハギの肝臓の美味しさは、食べたことがある人ならカワハギこそ最高……と惚れ込む。夏場は身の旨味が際立ち、歯ごたえとあわさって「美味いフグ」のよう。が、とにかく釣れない。……最高である。個性の強い味を持つ魚、寒くなる季節は煮付けてみては如何。
●文:ルアマガプラス編集部
カワハギについて
繊細な白身に濃厚な肝、寒い冬のごちそう
フグ目カワハギ科カワハギ属。体長20~30cmほどで側偏した魚体を持つ。身にはほとんど脂肪がないが、大きな肝臓は脂肪分豊富。それは他の魚のように泳ぎ回ることがないので、身に脂肪を貯めこむ必要がなく(=貯めこむことができない)、かわりに肝臓が貯蔵庫となっているから。晩秋から冬にかけて身ではなく肝が大きくなるのはそのためである。
代表的なブランド
北海道以南の日本各地の沿岸に生息し、全国で水揚げされているカワハギ。暖かい水を好むため、南の海の方が種類も生息数も多い傾向がある。ブランドとしては、長崎の「生月はぎ」がある。
おすすめ料理 | 旬 | 全国の主な産地 |
---|---|---|
肝和え、唐揚げ、煮付けなど | 夏(身が旨い)、晩秋~冬(肝が肥大する) | 長崎、富山、東京湾など |
カワハギの煮付け
珍味の肝も合わせて炊く煮つけ、どう食べても旨いカワハギの旨味を全てに凝縮したお酒にもご飯にも合うおかず。
材料(1人前)、調理時間目安(30分)
- カワハギ:1尾
- 料理酒:約200cc
- 黒糖:5~6片
- みりん:適量
- しょう油:適量
- ショウガ:適量
作り方
【手順1】
鍋にカワハギを入れ料理酒を注ぐ
ワタを抜き、皮をむいたカワハギを鍋に入れ、全体が浸る程度まで料理酒を注ぐ。日本酒ではなく料理酒の方が、味が浸みやすい。
【手順2】
黒糖を入れて煮立たせる
5~6片の黒糖を入れ、中火で煮立たせる。アク取りと落とし蓋を兼ねて全体にキッチンペーパーをかぶせる。
【手順3】
しっかりと煮立ったら味付け
煮立ったら中火から弱火に落として、みりんを追加する。全体に2周ほど回し掛けるように味付けする。
【手順4】
最後にしょう油とショウガ
ショウガは搾り汁を用意。みりんを追加後に煮立ったら、しょう油を2周ほど入れ、最後にショウガの絞り汁を小さじ1入れる
【手順5】
味を調えた段階で肝を入れる
肝は煮過ぎると溶けてしまうので、味付けが終わった段階でカワハギを取り出してから投入して一煮立ちさせる
【手順6】
肝を取り出して煮汁を煮切る
肝に火が通ったら取り出してカワハギに添える。煮汁は強火で一気に水分を飛ばすように煮切っていく。
【手順7】
煮汁を全体に掛けて盛り付け
煮汁の水分が飛び、飴状になってきたら、盛り付けたカワハギと肝全体に煮汁を掛けて完成。
【ワンポイント】あぶくが粘るまで煮切る
煮汁は最後に強火で煮切る。目安としては沸騰したあぶくに粘り気が出て飴状になる頃合い。
完成!
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