関西発祥のフリーリグをベースとしたチニングゲームが、関東でも盛り上がりを見せている。そのパイオニア的な存在であるガイド船「オレンジフィッシングボート」の船長を務める若杉さんに、東京湾でのチニングゲームの実態について語ってもらった。さらに2月発売となるレジット初のチニングロッド「スクアドチニング」についても解説して頂いた。
●文:ルアマガプラス編集部
東京湾チニングゲームのパイオニアと言えばこの人!
若杉貴裕(わかすぎ・たかひろ)
オレンジフィッシングボートの船長として、東京湾ボートチニングを広めたレジェンドチニンガー。元々は陸っぱりチニングを年間300日以上やり込み、そのノウハウをボートでも発揮。レジットデザインフィールドスタッフ。
東京湾では2年前から流行したフリーリグのメリット
関西では、以前からフリーリグで狙うチニングが人気を博していた。そして関東でも最近になって急激に普及した。その経緯について若杉さんへ質問してみると…。
若杉「東京湾のチヌは魚を喰っているのでプラグがメインで、ボトムでは釣れないと言われていました。でも、2年くらい前からボトムでのワームの釣りが流行りだしたんです。その頃からフリーリグで釣りをする人が増えてきました」
――2年前というと、本当に最近なんですね。
若杉「自分では6年前くらいからフリーリグで釣っていました。それまではジグヘッドにワームも1.5inや2inを付けていたんですが、フリーリグへ移行しました」
――フリーリグを使い始めた理由ってなんでしょうか?
若杉「フリーリグはシンカーが分離しているので、バラシが少ないんです。チヌの口は硬いのでワームを使ったリグだとバレやすいし、頭を振るのでオモリが近いほど外れやすい。フリーリグだとチヌが頭を振ってもオモリが離れてくれるので、バレにくいんです」
チニングではバラシをいかに減らすかが鍵。それを大幅に解消してくれるリグがフリーリグという事だ。
若杉さんのフリーリグ使用例
- シンカー:バサーズシンカーTG10~14g/陸っぱりでは3.5~10g(DAIWA)
- ワーム:リトルスパイダーorクレイジーフラッパー(ケイテック)、ベローズスティック(ジークラック)、シルバーウルフ アーバンシュリンプ(DAIWA)、ハリーシュリンプ(ボトムアップ)、ボトルシュリンプ(メガバス)
ピークは梅雨時期? 1年中狙えるが「水の透明度」が鍵!
東京湾チニングのシーズンについて聞いてみると…ほぼオールシーズンOKとのこと!
若杉「冬でも魚はいますので釣れるタイミングはあります」
やはり低水温だと釣れにくい?
若杉「あまりに低い水温だと活性も低くて厳しいと思います。でも、冬は水の透明度が高い。これが原因でチヌは喰ってこないんです」
では、春から秋でも水がクリアなら釣れにくい?
若杉「どのシーズンでも前日より澄んでいればバイトは減ってきます。逆に濁りが入っていればチャンス大。そういう意味で雨が多い6月はベストシーズンと言えます」
どの月がどう釣れるか!? 若杉船長に聞いてみたので月別に紹介!
若杉的! チニング釣れ高カレンダー
- 1月:秋から続いていた魚がどうにか釣れる。日ごとに厳しくなる
- 2月:低活性で水が澄みすぎてかなり厳しい。水温も10℃以上はあった方が良いとのこと
- 3月:水温が上昇し濁りも出てくるので釣れ始める
- 4月:キビレ(キチヌ)のハイシーズン。しかし、キビレは群れを作るため群れの規模次第
- 5月:釣れる時期。チヌ(クロダイ)は少なめでキビレ多め
- 6月:雨が多く濁っており、チヌとキビレのどちらも良く釣れるベストシーズン
- 7月:チヌ率が上昇。チヌは障害物に付きやすいため安定して釣れる
- 8月:水温が低い場所で釣れる。夕方から夜にチヌ狙い
- 9月:まだ暑いため夕マヅメメイン。チヌ狙いでカキ瀬などが◎
- 10月:秋は一旦キビレが抜けるためチヌ狙い継続
- 11月:キビレも戻り、チヌと両方を狙える時期
- 12月:秋の魚が継続して釣れているが渋くなっていく。釣れなくは無いという状態
チニングではバラシを軽減する「曲がるロッド」が扱いやすい!
チニングは掛けてからが本番。「いかにバラさないか? 」釣るためにはこれが重要になってくる。そこで、タックルのなかでも重要視されているのがロッドだという。
若杉「どんなロッドがおすすめかというと、ティップが曲がって入ってくれるもの。釣り自体はフリーリグを魚に見付けてもらってしっかりと喰わせ、それをガッツリ掛けていく釣りになります。ある程度ロッドが曲がって入ることでフッキングも決まりやすくバレにくいんです。とくに魚が頭を振って暴れる時にバレやすいのですが、ロッドが魚に追従して曲がってくれることでバラシが減ってくれます」
――どちらかというと乗せ調子?
若杉「その方がどんな人でも扱いやすいと思います。以前まで使っていたのは、細かいアタリも感じ取れる硬めのロッド。感度はビンビンでカリカリのレーシングモデルのようなロッドでした。扱う人によっては武器になるものでしたが、ちゃんと曲がってくれる方が初心者でもバラシにくくキャッチ率も大幅にUPします」
――それが若杉さんも携わった新しいスクアドチニングモデルなんですか?
若杉「そうなんです、結構無茶なテストで試しましたが本当にバレにくい。スピニングとベイトの2機種ありますが、どちらもボートはもちろん陸っぱりでも扱いやすいモデルになっています」
アラミド繊維を使用し突然の引きにも対応できる粘りのベイトモデル『スクアド チニング SKC76ML-CHINING』
レギュラーファーストで良く曲がってくれる乗せ調子。チヌの硬い口にもきっちりフッキング出来てガッツリ掛ける事が可能。バット部分にアラミド繊維を使用しており、バットまで曲がってくれるが粘ってくれるので突発的なツッコミにも対応。
若杉「テストの時にフルロックで竿を立ててもまったく問題ないほど粘りました。ロッドがちゃんと魚の引きに追従してくれるので、やり取りも楽になります。あとリリースポイントも長くなるのでキャストしやすくなっています」
若杉さんのベイトタックルセッティング
- リール:メタニウム シャローエディションXG(シマノ)
- PEライン:バリバス4 0.8号(モーリス)
- リーダー:シーガー・グランドマックスFX3号を1~2ヒロ(クレハ合繊)
スラックコントロールしやすく陸っぱりもOKなスピニングモデル『スクアド チニング SKS610ML-CHINING』
ラインスラックが出やすいスピニングタックルでも扱いやすいように、ショートレングスで張りのあるファーストテーパー。バットから曲がってくれるのでバラシも軽減し、さらにキャストしやすいメリットもある。また、短い分アタリ等の感度も伝わりやすくフッキングまでの動作も手早く行える。
若杉「ボートではスピニングの方が扱いにくいイメージがありましたが、ベイトと同じように釣る事が可能になったモデルです。ラインスラックで喰わせの間も出しやすく、飛距離も十分だから陸っぱりでも活躍してくれます」
若杉さんのスピニングタックルセッティング
- リール:ヴァンフォードC3000XG(シマノ)
- PEライン:バリバス8 0.6号(モーリス)
- リーダー:シーガー・グランドマックスFX3号を1ヒロ(クレハ合繊)