Xルアー工房が発売するエリアルアーは、『Xスティック』と『ぐるぐるX』の2シリーズ。ともに発売から20年以上経過しているにもかかわらず、今でも、各管理釣り場で爆発的な釣果を生み出している。初めて使った初心者でも魚が釣れ、ベテランエリアアングラーからも信頼させているのは何故か。その理由を探るべく、Xルアー工房代表の田中久さんに19の質問をぶつけてみた。
●文:ルアーマガジン編集部
Xルアー工房代表、田中久さんのプロフィール
田中久(たなか・ひさし)
1961年埼玉生まれ、埼玉在住。Xルアー工房代表。XスティックとぐるぐるXを駆使する管理釣り場のエキスパートであり、中禅寺湖のレイクトラウトシーンにおける名手のひとりでもある。
ちなみに「どうしても釣れないときに使うべきルアーは?」という質問には「Xスティックです!」とご回答。ですよね。
Q2. Xスティックってどんなルアーですか?
A:棒にハリが付いたほとんど動かないルアーです
ノーマル、ミニ、スリムミニの3サイズから構成されるスティックルアーで、釣れないときのお助けルアーとして定評がある。プラスティックの棒にフックが付いたシンプルな構成は、スプーンやミノー、クランクベイトしか知らないアングラーからは「?」と思われるかもしれないが、その形状から生み出される「動かない」アクションは、スレマスに激効きする。
マスが食いつく理由の最大は、その軽さ。ノーマルで1.2g、スリムミニなら0.6gという超軽量なので、フォールスピードが遅く、スローに誘うことが可能になっている。また動かないのでマスもミスバイトが少ない。
Q3.Xスティックの基本的な使い方を教えてください
A:スローリトリーブとストップ&ゴーです
スローリトリーブ
ルアーが45度の角度を保つリーリングスピードが基本。まずはそのスピードを体で覚えることから始めよう。
ストップ&ゴー
ハンドル1回転の素早いリトリーブでルアーは斜め上方向へ移動、そして2~3秒の水平フォール。ここでアタリが出ることが多い。
使い方1
水中で真横から見たときに、45度の角度を理想としながらスローリトリーブする。スローになればなるほど角度は深くなるが問題はなく、ルアーが垂直でもマスたちは食ってくる。リトリーブが速いと水平気味になるが、少しは尻下がりの姿勢がマストだ。
使い方2
ストップ&ゴー。素早くハンドル1回転で移動させ、2~3秒のフォール。フォール時、ルアーは水平姿勢を保つ。どちらの使い方でもキャスト後は狙ったレンジまでフォールさせてからリトリーブしよう。
Q4.初心者がXスティックを使うときのコツは?
A:まずはノーマルから覚えましょう
Xスティックは釣れるルアーで、スレっスレのマスには最小のスリムミニが最も効果的なのだが、スリムミニは0.6gと超軽量なので、慣れないとキャスティングが難しい。まずは一番重くて投げやすい1.2gのノーマルからキャストとリトリーブを覚えて、その後でミニ、さらにはスリムミニと挑戦の幅を広げるといい。
Xスティックを使うことで、釣果は格段に伸びる。手始めにキャストが容易なノーマルサイズを試してみよう。
Q5.それなら、ぐるぐるXの方はどんなルアー?
Q6.ぐるぐるXはどんなリトリーブが効果的ですか?
A:スローリトリーブです
ぐるぐるXは、ただ巻きで回転しながら左右へのダートを繰り返すルアーだ。一般的なスプーンに比べるとフォールスピードが遅いため、スローに誘えるので低活性の魚にも強いが、Xスティックと比べるとアピールが強め。
朝イチの釣り開始など、魚の活性が高いと思われる時間帯は、強めのアピールで魚のバイトを誘発し数を稼ぐのが定石。
Q7.オススメのカラーロテーションは?
A:派手系から試します
XスティックにせよぐるぐるXにせよ、カラーローテーションの基本は派手系から中間系→地味系へローテすること。初めて使う際は特に、視認性のいい派手な色で動きやリーリングと潜行レンジなどを確認するといいだろう。
釣り場に人が多いときは特にカラーローテを頻繁に行った方が釣果は伸びがち。空いていればひとつの立ち位置から扇状とか左右色々なコースを探れるが、混みあっていたらコースも限られるので、魚を飽きさせないように3~5投でルアーカラーの交換を繰り返すのが理想だ。
派手系 | たとえば蛍光イエロー |
中間系 | たとえばマットピンク |
地味系 | たとえばダークオリーブ |
Q8.どの色から買い揃えればいいでしょうか?
A:まずは、蛍光ピンク、キャラメル、ライトグリーンの3色
XスティックとぐるぐるXの良さに気づいた人なら、既に多くのカラーを揃えているかもしれないが、最初から全色買うのは勇気がいる。まずは蛍光ピンンク、キャラメル、ライトグリーンを揃え、使った後で気に入ったなら、からし、オリーブ、ブラウンのあたりを揃えるのが田中さんのオススメだ。
最初の3色 | 蛍光ピンク、キャラメル、ライトグリーン |
次の3色 | からし、オリーブ、ブラウン |
Q9.アタリはどのように出ますか?
A:ラインの変化を感じましょう
エリアの魚は常にルアーを見ていて、2度も3度も釣られて経験値の高いマスも多いので、かなりスレていると思っていい。ルアーに食いついて反転する魚は少なく、その場で食いついてすぐ放してしまう魚も多いのだ。一般的な、ガツンと手元にアタリが出ることもあるが、スレていると、スローリトリーブでややたるんだラインが一瞬張るという微妙なアタリもある。さらに釣り場の水がクリアなら、魚が食った瞬間を見てアワせるという技術も、上級者は獲得している。
Q10.アワセは強め? 弱め?
A:理想は巻きアワセです
リールのハンドルを巻いてアワせるのがベストです。ロッドを立ててアワせてもいいのですが、その場合は弱めにしましょう。ルアーの抵抗が小さいため水面から飛び出て自分の方に飛んでくることがあるので注意が必要です。
Q11.赤いフックが付いていますが、交換も赤?
A:Xスティックは是非赤で
Xスティックは動かないルアーだ。動かないゆえにフックもマスたちに注視されるので、色も重要になる。赤フックのときが一番バイトが多いというデータから、販売時点で赤いフックが装着されており、ハリ先がなまって交換する場合も赤いフックを選択するのが得策で、安定した釣果が担保される。ぐるぐるXは回転するルアーなので、フックの色にはそれほどこだわらなくていい。
Q12.ロッドは何を使っていますか?
A:掛け調子のものと乗せ調子のものを用意しています
予算が許すならロッドは1本ではなく、掛け調子のロッドと乗せ調子のロッドを用意することで釣果が伸び技術も向上する。
その日によって当たりのロッドが出ることもあるので、釣行時、田中さんは掛け調子のものと、乗せ調子のものを用意していた。今回使ったのは、ATS60SUL/R-S(乗せ性能にこだわったオールラウンドロッド)、HK S60SUL/F(操作性に秀でたオールラウンダー)、HKS60L/F(超攻撃的な掛け重視のパワフルロッド)の3本。
釣り場が混んでいるときは、周囲に迷惑をかけないよう、強めのロッドで早めにランディングするのもいい。ラインはPEの0.2~0.5号で、リーダーは0.3号のフロロをヒトヒロ半結んでいた。慣れないうちは、オレンジなどのより視認性のいいラインにすると使いやすい。
Q13.魚の放流直後は何を投げるべきですか?
A:ぐるぐるXです
大体決まった時間になると、トラックが放流魚を乗せてやってきて、池を回って放流していく。元気のいい魚が入ることで池全体が活性化することもある。
放流直後の魚はやる気があるので、アピール強めのルアーで数を伸ばすべき。なので、ぐるぐるXのノーマルサイズ、カラーは蛍光オレンジや蛍光ピンクなど派手めのものがベスト。
時間の経過とともに徐々にマスの活性も落ちていくので、カラーは地味に、サイズも下げて対応する。アピールの強い順に、ぐるぐるXノーマル→ぐるぐるXショート→Xスティックノーマル→Xスティックミニ→Xスティックスリムミニだ。
Q14.そもそも、なんでこんな形のルアーが生まれたのでしょう
A:トラウトは細長いものに反応がいい
昔、芦ノ湖でニジマスの釣りに多用されていたムラセミノーなど、ミノーは細長いシルエットのものが多かった。そこからトラウトは細長い形状のものへの反応がいという発想が生まれ、そのイメージを追求したルアーとして発案されたのがXスティックだ。そして、「家庭で使うスプーンのすくう部分は釣り用のスプーンになるけど、柄の方はルアーに使えないのかなあ」とルアーにしてみたのが、ぐるぐるXのスタートらしい。
Q15.苦手な条件はありますか?
A:横風はちょっと…
どちらも軽量なのでその傾向があるのが、Xスティックは特に巻き抵抗の小さいルアーなので、ラインが風をはらむと簡単にルアーが浮いてきてしまう。アタリを取るには、ラインはできるだけ直線のほうがいいので、風があるときは、向かい風か追い風になる位置取りをするのが無難だ。
Q16.初心者にオススメの釣り方は?
A:Xスティックノーマルを投げてみましょう
PEラインは慣れないとトラブルが多発するし、リーダーを結ぶのも初心者には大変なのでトラブルの少ないナイロンナインがオススメ(フロロでOK)。そして必ず、流れのない場所を選択しよう。表層から探り始め中層、下層と徐々にレンジを下げていくといい。
Q17.Xスティックは初心者用ルアーですか?
A:上級者にも奥深い使い方をしていただけます
ポンド型の管理釣り場でもわざと流れを作っている場所がある。超軽量ルアーは、流れがある場所を不得意とするが、上級者はそんな流れがある場所でも釣果を伸ばすことが可能だ。
田中「流れの向こうにキャストしたら、流れの影響を受けないようにラインを水面につけずにスローリトリーブし、流れに入ったらほぼリトリーブせずにドリフト。流れから外れ手前に来たらスローリトリーブかストップ&ゴーというのがひとつの狙い方です」
ボトム付近の攻略も釣果アップのキーになる。
田中「Xスティックは、スローシンキングで引き抵抗がないルアーなので一定のタナをリトリーブできるようになると、更なるステップアップにつながります」
より深いレンジを狙えるのはXスティックミニ。ノーマルは比重が軽いのでミニの方が沈めやすいのだ。
管釣りでも、カナダの湖かと勘違いするほど(と言うのはいい過ぎだが)の可憐なニジマスも釣れる。レッドバンドが見事に浮き出ている。
Q18.キャスト位置は釣果に関係しますか?
A:しますよ!
流れの全くない釣り場ではマスはあちらこちらを向いているが、わずかでも流れがある場所では、魚は流れの上流を向いて定位している。その魚に対して、ルアーを真横に引くか、やや下流から上流へ引くようにすれば、魚はルアーを振り返ることなくバイトすることができる。
軽量ルアーは流れを得意とはしない。しかし、流れの中にもマスはいるし、流れを攻略できれば、そこには新しい地平が広がっている。
田中「上流から下流へ動くルアーにバイトしようとすると、マスはいったん通り過ぎたルアーに対して反転して食うような動作になるんですが、スレマスは、なかなかこういう行動はとりません」
田中「中禅寺湖などで使うぐるぐるX/Nは、ぐるぐるXの別バージョンとして開発しました。魚は同じでも湖とエリアは別の釣りと思ったほうがいいですね」
Q19.朝霞ガーデンはどんな管理釣り場ですか?
A:都内からも近い住宅地隣接釣り場です
高速の渋滞がなければ、都心から30分ほどで到着する管釣り。受付に近いポンドが上流側に位置していて、順番にルアー&フライ用、エサ釣り用、ルアー専用、フライ専用、ルアー&フライ用と5つの池がある。
田中「上流のほうが水がよりクリアで、下流のルアー&フライポンドはやや濁り気味で水深も浅め。売店ではXスティックなども置いてもらっています」
釣り場名 | 朝霞ガーデン |
所在地 | 〒351-0032 埼玉県朝霞市田島2-8-1 |
電話番号 | 0484-56-0258 |
営業案内 | 毎週金曜尾定休 1日券、6時間券、3時間券あり 2,400円~6,000円(メンバーカード有無と釣り物による) レンタルロッドあり |
ルアー&フライ | 4月~10月:6:15~17:30 11月~3月:6:15~17:00 |
エサ釣り | 6:15~16:30 |
Webサイト | http://www.a-garden.com/ |
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