春の桜前線と共に南から北上してくるのが「マダイの乗っ込み」だ。産卵のために浅場に入ってきて釣りやすくなるマダイを狙って、船釣り師の気持ちはソワソワと浮ついてくる。春は大型が期待できるからだ。なお、味の旬は産卵が絡まない秋である。春は白子や卵に期待が持てる。マダイは見た目の麗しさどおり、香りの高い上品な魚。兜煮は特に旨味が凝縮され、マダイらしさを堪能できる。
●文:ルアマガプラス編集部
マダイについて
春の訪れを感じさせるさわやかな味わいの白身魚
スズキ目スズキ亜目タイ科マダイ亜科マダイ属沖縄を除く日本全国の沿岸部に分布し、水深の深い場所の岩礁帯などに生息。産卵期になると沿岸の浅場へと入ってくるが、産卵期は地方によってズレがあり、暖かい場所ほど早い傾向がある。春の桜前線と共に産卵期を迎える地域が多く、その頃に獲れたマダイは桜鯛と呼ばれ、特に美味で旬とされている。しかし冬に備えて脂を蓄える晩秋も格別に美味い。
代表的なブランド
マダイの名産地としては明石海峡をはじめ、鳴門海峡、関門海峡など、いずれも潮流の速い海峡部が多い。急流にもまれて育つため、身が筋肉質で締まるからだ。また潮流の速い場所では網での漁が難しく、1本釣りで水揚げされるものが多くなる。これも味の良さに貢献しているだろう。
おすすめ料理 | 旬 | 全国の主な産地 |
---|---|---|
刺し身、塩焼き、煮付けなど | 春、秋 | 陸奥湾、常磐、伊豆、瀬戸内、玄界灘、錦江湾 |
マダイの兜煮
ひたひたの水に調味料で下味を付け、あとは汁がなくなるまでコトコト煮込む。
材料(1~2人前)、調理時間目安(40分)
材料 | 分量 |
---|---|
マダイ | 頭1尾分 |
砂糖 | 大さじ5杯 |
しょう油 | 少々 |
インゲン | 2~4房 |
長ネギ | 1/4本(白い部分) |
作り方
【手順1】
兜を梨割りにする
兜は口を上にしてまな板の上に立てて、上くちびる真ん中から包丁を入れ、切っ先がまな板に当たるまで刺し込む。
まな板に付いた切っ先を支点にし、テコの原理を使って押し切るように頭の上半分を両断。残った下アゴ部分を切る。
【手順2】
鍋に兜を入れて水はり
兜に残ったエラを取って霜降り(ポイント参照)。鍋に置いて水を張る。量はひたひたで兜が水に隠れるぐらい。
【手順3】
調味料で下味を付ける
砂糖を加えて煮汁に下味を付ける。大さじ5杯ぐらい。上からアルミホイルなどで落し蓋をし、強火で煮込む。
【手順4】
煮込む合間に付け合わせ作り
インゲンをサッとゆで、緑を鮮やかに出すために氷水で締める。長ネギは白髪ネギにして水でさらしておく。
【手順5】
煮汁をかけつつ煮込む
鍋が沸騰したら、時折煮汁を兜にかけつつ、汁に粘り気が出て泡の出方が変わってくるまで、さらに煮続ける。
【手順6】
しょう油で味を調えて盛り付け
煮汁がほとんどなくなったら火を消し、しょう油を香り付け程度に少量たらす。皿に付け合わせと盛り付けて完成。
【ワンポイント】霜降り処理で汚れと臭みを落とす
鍋で水を沸騰させて、そこに兜をくぐらせ、表面が白くなったら取り出し、すぐに流水で荒熱を取る。これが霜降り処理で、臭みや残った汚れを落とせる。
完成!
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