磯のロックフィッシュゲームで使用するルアーと言えば、メタルジグやテキサスリグなどをイメージするのが一般的。しかし、ハードルアーを使用することで、展開の早いロックフィッシュゲームを楽しむことも可能だ。そこで、シマノのインストラクターの折本さんに、実釣解説をお願いした。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
アングラー&実釣フィールド紹介
折本隆由(おりもと・たかよし)
1975年生まれ。千葉県出身・在住。ルアーフィッシングをメインにあらゆる釣りを得意とするマルチアングラー。ロックフィッシュゲームの草分け的存在で。グルーパーを追い求めて、日本全国を釣り歩く。
ベイトの有無、地形などを吟味して展開する
取材時の状況は、長引いた梅雨により、雨が降ったり止んだりの不安定な天候。終始曇天で、晴れ間がほとんど顔を見せなかった。
折本「グルーパーは晴れているほうが活性が高い気がしますね。ただ、活性が低い魚にスイッチを入れられるのもハードベイトの強さだし、荒れた状況でもしっかりアピールが出せるのも大きな利点です。それよりも、今回はベイトが少ないのが気になりますね。表層を泳ぐイワシやキビナゴなどがあまり見えない。沖に鳥山などもないですしね」
グルーパーのエサとなる生物は多種多様だ。回遊性が強いためイワシ、キビナゴといった小魚も捕食するし、甲殻類やコイカも大好物だ。
折本「他のフィッシュイーターが食べない、ネンブツダイやベラ、スズメダイといった、ボトム系の魚もよく食べますね。釣ったオオモンハタが、これらの魚を吐くこともありますよ」
その日の海況からグルーパーのベイトを予測し、エリアを絞り込むことも可能だ。沖に張り出した磯場は潮通しが良いが、どうもベイトが少ない。なので、シャローとワンドに隣接する磯に来てみると、すぐにバイトが連発した。グルーパーは根にいる魚を釣っていくだけでなはい。アクティブに動き回るイメージを持つと、さらに釣果は伸びていくはずだ。
折本流 ハードルアーロックフィッシュゲームのフッキング〜ランディング
バイトは巻き中にくることが多く、強烈なバイトとその後の反転によりほとんどは向こう合わせでフックアップする。魚の重みが乗ったら、すぐさまロッドを立ててファイトに入ろう。
グルーパーは根に潜ろうと下へ下へと潜っていくため、ロッドを立てて魚体を浮かせるようにゴリ巻きで寄せてくる。魚の引きに負けてロッドを寝かさないように心掛けよう。
折本さんは一気に抜き上げる、もしくはずり上げるスタイル。フッキングが決まって入れば抜き上げでポロリは少ない。ランディングネットは、ネットインする間にバレる危険性がある。
やはりハードベイトは勝負が早い!楽しいゲスト満載でアングラーを飽きさせない
テンポよくオオモンハタ、キジハタ、アカハタと、グルーパー御三家をキャッチした折本さん。それ以外にも、シーバスやマダイ、イサキなど、嬉しい外道も盛り沢山だ。
折本「マダイが釣れるのは悪いことじゃなくて、マダイはグルーパーとエリアをシェアしていることが多い。だから、マダイが釣れてからオオモンハタが釣れることも多いんです」
折本さんが使うハードベイトはバイブレーションがほとんど。やはり飛距離や操作性を考えると、バイブレーションが最も使いやすい。
折本「ただ、レンジが合えばどんなルアーも効くはずです。ロングビルミノーやジャークベイトも良いだろうし、ビッグベイトでも可能性はありますよ」
バイブレーションに近いモデルとしては、今回テールスピンのライズショットブレードも多用した。
折本「メタルボディなのでめちゃくちゃ飛距離が出るし、沈みも速い。根掛かりが少ない場所で、深いレンジをしっかり引いてきたい時は、こういったルアーが効きますね。このライズショットブレードは、風が吹いていても飛距離がものすごく出るし、ライントラブルも少ないのでめちゃくちゃ使いやすいですよ」
そして、さらにスローダウンしていくならジグヘッドリグ、テキサスリグへとローテーションしていけばOKだ。
ハードルアー&ソフトルアー ローテーション
折本さんは、今期のグルーパーゲームでハードルアーを軸に、場合によってはソフトルアーも投入し、効率の良いルアーローテションを展開していた。実際に使用したルアーは、以下の通りだ。
【ハードルアー&ブレードルアー】
サルベージ70は、ベイトが小さい場合の小型バイブとして使用する。
折本「ベイトが小さいとき、潮流が遅いときなど、浅いレンジを引きたい場合などに使うのがこの70mmモデル。グルーパーの平均サイズが小さい場合もこのルアーがハマる。小粒だが飛距離は充分です」
一方、ライズショットブレードは、あらゆる魚種に効く万能テールスピン。
折本「どんなフィッシュイーターもバイトさせてしまうほどの釣獲能力を持ったテールスピンジグ。飛距離が出て、トラブルも少ない。バイブレーションよりもアピール度は低めというイメージですね」
【ソフトルアー】
3Dヘッドとグランデシャッドは、シャッドテールとブレードの喰わせコンビ。
折本「ジグヘッドとシャッドテールそしてブレードという、グルーパー狙いには欠かせないセッティング。ジグヘッドは30gを基準に使い分けていきます。アクションはバイブレーションと同様のイメージで使っていますね」
スイミングテンヤとワーニンググラブの組み合わせは、とにかくじっくり誘いたい場合に使用。
折本「スローダウンで弱く見せたい場合は、少ない抵抗でテールが動くグラブ系がオススメ。いろいろな釣りを試して反応がない場合などに投入します。スイミングテンヤは30gを使用してます」
ロングロッドを駆使すればロックフィッシュゲームはより面白くなる
今回の釣行で折本さんが使っていたロッドは、ハードロッカーXRの9ftを越すロングモデルだ。グルーパー用モデルとしてはやや長い設計だが、これがとても使いやすいという。
折本「ロッドを縦に構えて、ルアーをリフトする、フォールさせるという動作がとてもやりやすいんですよね。ラインに角度が付くから根掛かりも回避しやすいし。ファイト時には魚を浮かせて根をかわすこともできるし。新しいハードロッカーXRは、感度が良くて軽いし、パワーも物凄い。普通、竿は長くなればなるほど重くなって、縦の操作がやりにくくなるものですが、このロッドはそれがないですね」
本命のグルーパー(オオモンハタ)もしっかりとキャッチ!
釣行時は雨だけでなく強風にも悩まされた。さらに、風とは違う方向に潮が流れているので、ルアーをコントロールしにくかった。
折本「ルアーの着底が分かりにくい状況ですが、ロッドの感度が高いので、うまくカバーできましたね。着底をしっかり感じ取ることは、この釣りの非常に大切な部分。着底に気づかないと、そのまま根掛かりしてしまって釣りになりませんから。感度の向上と長さによる操作性のアップは、グルーパー攻略でも大きなメリットになりますよ」
ロングロッドは支点が高くなり根をかわしやすい
高い位置からの操作が可能になるのがロングロッドの大きな魅力。ラインに角度が付くことで、根掛かりを回避しやすくなるし、魚がねに潜られた時も対処しやすい。折本「ラインメンディングがしやすいし、根もかわしやすいですよ」
ルアーをキャストして巻くだけのシンプルな動作の釣りではあるが、その実、奥が深いのもこの釣りだ。水中をイメージして根掛からない軌道でルアーをリトリーブし、フォールでは流れを感じながら潮に差し込んでいくように落としていく。
ロングロッドは言わずもがな飛距離が出るという面でも有利。探れる範囲が広がれば、当然、魚との遭遇率もアップする。
そして、このような動作は、バイブレーションとロングロッドがとてもやりやすいのだ。普通のグルーパーゲームに飽きた人は、ぜひバイブレーションとロングロッドの組み合わせを試してみてはいかがだろうか。
折本さん使用タックル紹介
今回の実釣で利用した、爆釣磯に乗せてくれる渡船紹介
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