とにかく不思議と釣れる衝撃的なルアー《バス釣りヘブンズ・ドアー》

理由はわからないけどとにかく釣れる衝撃的なルアーたち。これまでにもいろいろとありましたが、そんなルアーがティムコにもあります。使い方は投げてゆっくり巻くだけ。それだけで不思議とデカいバスが釣れてしまう…そのルアーの名は「プロップペッパー」!

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

【Profile】大津清彰(おおつきよあき)

老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の『奇人』。

悪魔的トップウォーター「プロップペッパー」

  • サイズ:100mm
  • 重さ:16g
  • 価格:1,980円

ティムコにもある衝撃的ルアー

私自身、長い間バスフィッシングを続けていく中で、数々の衝撃的ルアーに出会うことがありました。数え上げればきりがありませんが、ビッグバドやキャスティークトラウト、ダイラッカ、ゾーイなどは本当に衝撃的で、数々の釣果を与えてくれました。

そんな中、私の勤めるティムコの歴史の中でも、とびぬけた性能を持つルアーがいくつかありました。
そのひとつが「プロップペッパー」です。発売から10年以上が経過し、一旦は販売数が落ち込み廃盤にもなった経緯を持っています。しかし、現在はSNS時代の到来とともに、その圧倒的釣果が世間で再評価され、 まさに実力で復活となった奇跡のルアーでもあるのです。

ゆっくり巻くだけが一番釣れる!

使い方は極めてシンプルで、バスがいそうなところにキャストし、ゆっくり巻くだけ。まったく難しいテクニックは必要ありません!もちろん、速く巻いても、ジャークしても釣れますが…このルアーの性能を100%発揮するには十分ではありません。そういった動きで誘うときは、他のルアーを選んだ方が良いことが多いでしょう。

効果的な時期は、6月上旬あたりから8月下旬くらいまで、いわゆる『トップウォーターが良く釣れる時期』にあたります。水質はクリアでも濁っていても効果があり、特にバスが興味本位で後ろから追尾してきた後、最後は回り込んで頭から本気で食い殺しにくるバイトは、他のルアーにはなかなか見られない特徴でもあります。また、大型のバスほどよく釣れる特徴もあり、一度使ったら病みつきになるルアーになるでしょう。

ペラから生まれる音と増幅するボディ

ではなぜこれほどバスが釣れるのでしょうか? プロップペッパーの最大の特徴は、ヒヨコブランドが特許を持つペラ形状にあります。中央部分の穴が四角形に切られており、またあえて重量を持たせるために0.8mm厚のステンレスを採用しています。このペラの重量、穴形状、ヒートンとワッシャー、これらを最大限に生かす計算されたペラの形状が独自のサウンドを発生。その音はさらにプラスチックボディ内で増幅されるという構造になっています。チリチリとしたサウンドを奏で、その音と振動がバスを惹きつける要因となっているわけです。

後方にフックがないことを不安に思う方もいると思いますが、腹側に2本あれば必要十分。ルアーというものは形状やその性質で、リアフックばかり食ってくるルアーもあるのは事実ですが、ことプロップペッパーにおいては頭から食ってくるので心配いりません。むしろ、キャスト時の根掛りリスクが軽減されるため、後方にフックがない方が良く釣れます。この辺りも計算され、設計されています。

釣れる本当の理由はバスのみぞ知る?

とはいったものの、プロップペッパーがこれほどまでに釣れるはっきりとした理由はわかりません(笑)。もちろん、ダブルスイッシャーとしての基本性能を追求した浮力や姿勢、ボディ形状、フック位置は色々と工夫はされているのですが、それは本質的な部分を活かすための設計であってバスが食ってくる理由にはならないと考えています。

プロップペッパーのような、餌に似ても似つかないルアーに対し、バスが本気食いしてくる…。これをはっきりと説明できる人はなかなかいないのではないでしょうか? 本当のところはバスに聞いてみないとわからないのです。ただ、バスの本能を強烈に刺激してしまう何かがある、そう考える以外ありません。しかし、バスアングラーにとって【釣れる】という事実が重要。世の中、釣れる理由を説明できるルアーのほうが稀で、サイコロラバーやビッグクローラーベイトなど理由が不明だが良く釣れるルアーのほうが多いと私は考えています。

利根川

豊英ダム
関東の各地で釣果が上がっているプロップペッパー。釣れるサイズのアベレージがいいのも非常に魅力的だ。

高滝ダム

発売から時間が経つ中で、廃盤の危機にも貧していたプロップペッパーだが、今やショップに入荷後即完売となる大人気ルアーに返り咲いている。

プロップペッパーが釣れる核心部ともいえるのがこの「ペラ」。一般的には真円になっている穴の部分が、四角形になっていることがわかる。


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