夏~残暑のスロー展開を突破する伊藤雄大流フック術!【エリアトラウト】

水温が上昇する夏~残暑のエリアトラウト攻略のカギは、リトリーブ速度を抑えた【スロー展開】。だがリトリーブ速度がスローになるほどフッキングの難易度も上がってしまう。そんなときのために、伊藤雄大氏が開発したスペシャルフックが凄すぎると話題沸騰中!!

●文:立川宏

2024 シーバス特集

解説はエリアの絶対王者・伊藤雄大!

伊藤雄大(いとう・ゆうだい)

ベルベットアーツ代表。バリバスフィールドスタッフ。リヴァイブフィールドテスター。686Ambassador。トラウトキング選手権マイスター。

数々の全国区のエリアトーナメントで、表彰台の常連を誇る強さから【絶対王者】の異名を持つプロアングラー。卓越したテクニックと、緻密な理論の組み合わせは説得力の塊。

夏のトラウトだって食欲はある!

冷水を好むトラウトは、夏~残暑の高水温下においては動きがスローになる傾向がある。だが動きが遅くなるだけで、食欲までなくなる訳ではない。

伊藤:「食べたいけど速いリトリーブのルアーには追いつけない! そんな状況です。ですから釣るための方法はいくらでもあります」。

そのひとつがアンダー1gの軽量ウエイトのマイクロスプーンや、クランクベイトを用いたスローリトリーブの釣り。

夏~残暑攻略にオススメのマイクロスプーン。[上から順番]フォルテ0.9g。デイジー0.8g。フォルテ0.6g(ベルベットアーツ)

夏~残暑攻略にオススメの小型クランクベイト。[左上から時計回り]パペットサーフェス(スミス)。マイクロシケイダー(タックルハウス)。ちびパニクラ(ティモン)

伊藤:「リトリーブ速度が速いほど、カウンター気味にフッキングする傾向があります。
一方、リトリーブ速度がスローになるほど、カウンター要素が薄まり、フックは刺さりにくくなります。スローになるほどにフッキングの難易度は高くなります。

スロー展開でも、フッキング力を維持するためには、

  1. フックを軽くして、フックがトラウトの口の中に極力残りやすくする。
  2. 口の中に残ったフックが、なるべく吐き出されないようにする。
  3. 細軸にして【スッ】と入るようにする。

以上の点に配慮して開発したフックがバリバス スーパートラウトエリア トーナメントフック キャンバス(以下キャンバス)【#9、#11】です」。

2023年5月の発売以来、マイクロスプーンや小型クランクを駆使した「スロー展開最強フック」として、目の肥えたエリアアングラーを中心に人気爆発中の【キャンバス#9&#11】

サイズによる用途に応じて形状も変化!

エリアトラウト専用フックであるキャンバスは、すでに【#4】【#6】【#6.5】【#7】【#7.5】【#8】【#8.6】の7タイプが発売されている。

フックは一般的に番号が小さくなるほどサイズが大きくなる。キャンバスもその基本概念は同じだが、キャンバスは番手ごとに「サイズ」が違うだけではなく、サイズごとに「形状」も異なっていることに特異性がある。

伊藤「エリアで使用するルアーサイズは多岐に及びます。フルサイズのクランクベイトから小型プラグ・・・さらには0.3gのマイクロスプーンまで使います」。

伊藤「そのためエリアゲームで必要なフックサイズはおおよそ#4~#12まで。フックサイズの幅は広いですが、スローで多用する番手、速巻きで多用する番手など、大きさと用途がコミットしていることが多いです。

キャンバスの場合、放流での出番が多いのが#4と#6。つまり、この番手のキャンバスは重ためのスプーンにセットして、速巻きで使用することが多いです。そのため速く巻いたときに使いやすい形状に設計してあります。

一方、小さい番手のキャンバスは軽いルアーにセットして、デッドスローで使用するシチュエーションが多いです。そのためスロー対応用に、ややナローな形状に仕上げています」。

キャンバス#9、#11の登場で何が変わるのか?

2023年5月に新しく登場したキャンバスフック#9、#11は、キャンバスの中では最小クラス。セッティングするメインルアーは、0.9~0.3gのマイクロスプーンと、最近流行のマイクロクランク。さらには小型のトップウォータープラグ。

キャンバス#9&#11と相性がいいルアー一例。[左上から下へ]ちびパニクラ(ティモン)。ミニシケイダー(タックルハウス)。パペットサーフェス(スミス)。[右上から下へ]フォルテ0.9g(ベルベットアーツ)。デイジー0.8g(ベルベットアーツ)。フォルテ0.6g(ベルベットアーツ)。クアトロ0.4g(ティモン)。M2 0.4g(フォレスト)

通常、番手ごとに形状が変化するキャンバスだが、#9と#11の関係性だけは例外。

伊藤:「#9と#11はあえて形状を合わせて、等倍で大きさと重さのみ変えています。どちらも軽量ルアーにセットしてスロー展開で使用するフックです」。

軽量ルアーにセットするスロー展開用のキャンバスといえば、以前から存在しているキャンバス#8があまりにも有名。実際、今までの#8と新しい#9のサイズ感を比較すると、さほど変わらないように感じられる(形状は異なるが)。

伊藤:「既存の#8と新しい#9の違いは、同じスロー展開の中でも比較的ディフェンシブなフックが#8です。そのため#8の形状は【ややネムリ気味】&【ナローゲイプ】設計で、#9と比較すると軸もやや太いです。スロー展開の王道的なフック形状が#8です」。

伊藤「同じスロー展開でも、よりトーナメントを意識した攻めたフック形状にしたのが#9です。センシティブな状況下で、1尾を確実にとらえるために軸をやや細くして、#8よりも【ワイドゲイプ設計】にしています。軸を細くしてフックウエイトを抑えることによって、トラウトの口の中に纏わり付かせて、ワイドゲイプで掛けきってしまうフックです。

新しく発売した#9&#11のキャンバスは、今でのキャンバスでは踏み込めなかった、【少しだけ尖った状況】に対応できるように味付けにしたフックです。マイクロスプーンにおけるスロー展開の中では、攻撃的な領域を担うのが#9&#11のキャンバスです。

そして攻撃的なマイクロスプーンの釣りにおいては、#9&#11の形状が、自分の中でベストだという強い自信があります。ですから、この2タイプのフック形状はあえて変えませんでした」。

キャンバス#9と#11の使い分け

#9と#11の使い分けの一番のキモは使用ルアーのウエイト。

■#9は主に0.9~05gのスプーンと組み合わせて使用。
■#11は主に0.7~0.3gのスプーンと組み合わせて使用。

伊藤:「#11の方がよりフィネスに対応しています。軽いスプーンほどゆっくり巻くことになります。そしてゆっくり動くモノに対しては、トラウトはあまり口を大きく開けずに『ハムッ』というイメージで食べることが多いです。ですから、なるべく軽いフックの方が口の中に纏わり付きやすいです。

一方、0.9gクラスのスプーンになると、マイクロの中でも比較的鋭いアタリが出ることが多いので、フックサイズを多少上げて#9にした方が刺さりやすくなります」。

エリアゲームの常識は日々変化を続けている。そして、エリアに放流されているトラウトの習性も時代に合わせて変化を続けている。目まぐるしく変わり続けるエリアゲームを、1週間に5~6回のペースで真剣に釣行している伊藤雄大さんが確信していることがある。

それは…

キャンバスの#9&#11は、変化を続けるエリアゲームにおいて、【今という時代性にベストマッチしたフックである】という現実だ。

TACKLE DATA

[右]●ロッド:ローズ612Lプロトモデル(ベルベットアーツ)●リール:22イグジストLT2000S-P(DAIWA)※ハンドル:ファンネルカーボンハンドル45ミリ(リヴァイブ)●ライン:スーパートラウトエリアマスターリミテッド[スーパーエステル]0.3号(バリバス)●リーダー:スーパートラウトエリア マスターリミテッドVSPフロロリーダー0.6号

[左]●ロッド:ローズ612Lプロトタイプ(ベルベットアーツ)●22イグジストLT2000S-P(DAIWA)※ハンドル:ファンネルカーボンハンドル45ミリ(リヴァイブ)●ライン:スーパートラウトエリアES2エステルナチュラル0.25号(バリバス)●リーダー:スーパートラウトエリア マスターリミテッドVSPフロロリーダー0.6号

取材協力:須川フィッシングパーク

須川フィッシングパーク●住所:静岡県駿東郡小山町藤曲1026-1


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