
実は、バス釣りメインのメーカーがソルトへと進出するというのは(特にここ数年は)珍しいことではなかった。しかし、いきなりビッグゲームというのは異例。シーバス、ロックフィッシュ、エギング…というのが手堅いのかもしれないが、最初からマグロというのがいかにもデプスらしい
●文:望月俊典
奥村和正(おくむら・かずまさ)
琵琶湖を原体験に、ビッグバスのみを想定したルアーやタックルをプロデュースし続ける「デプス」総裁。しかしその実力派日本全国に留まらず本場アメリカのフリークも絶賛。以前より怪魚を含めたビッグフィッシュへの経験を深めつつ、オフショアゲームへも全力で取り組んでいる。
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ヒュージペンシルなどが活路を開いた「デプス×ソルト」の新たな水平線
奥村「東京湾のビッグベイトシーバスがきっかけだったと思う。ヒュージペンシルだったり、スライドスイマー250だったり、デカいルアーでデカい魚を狙う、というのが自分がバスでやってきたこととリンクしていた。次はアカメに挑戦しようとなって、ヒュージペンシルとギラギラコウゲキで3発釣った。そこで、アカメのファイトを目の当たりにして、『巨大魚ってやっぱりすげーな…』と」
ヒュージペンシルNABURA●全長:225mm●重量:4.6オンスクラス●価格:3850円(税込)
その後、G-フィッシング(ガーミンの日本代理店)の今井社長からGTフィッシングのお誘いを受けたのが新たなきっかけとなり、オフショアのビッグゲームの世界へと乗り出すことになる
奥村「ビッグディッパーに乗れる、と。福井(健三郎)さんのすごい世界があるって聞いて、それなら渡りに船で経験しとくしかない。急遽、ロッドとリール一式をDAIWAさんにお借りして、奄美へと飛んだ。GT用のルアーは現地で借りることになるだろう…と思っていたが、持っていったヒュージペンシルでGTが釣れてしまった」
ヒュージペンシルNABURA
奥村「ヒュージペンシルのウォーカータイプをベースに、ウエイトチューンしたナブラ撃ちモデルが真っ先に商品化に繋がりました。内部ウエイトを20〜30g増量して、より飛距離を出すために後方重心、ほぼ垂直浮き。もともと3フックだったのが2フックになって、4/0、5/0あたりのデカいトレブルフックが背負えるようになっています」
さらに、これまでのオフショア系ペンシルベイトにはなかったであろう機構がデプスの誇る「バリアブルバランサー」である。重心移動システムのようなウエイトルームがあり、その底面が凹凸になっていて、ルアーの姿勢変化でボールウエイトが転がるたびにゴロゴロと音を出すのだ。
奥村「この音はこのルアーにしかできないアピールです。ディープの根に潜んでいるようなGTを水面まで引っ張り上げようというときに、この音が相当効いてるんじゃないかな…と、ノーマルのヒュージペンシルウォーカーを使ったときに感じていた。明らかにバイト率が高い。スーパーナブラみたいな状態で水面がけたたましいことになっていても、音で魚がルアーを発見してくれる。実績しかないルアーなので、一番最初に商品化に結びついています」
GT経験者からは「水面を滑る系はダメですよ」と言われていたのに、それが通用してしまった。そこに可能性を感じて、ハマっていったという。
奥村「それはたまたまご縁があったから。ただ、GTはすごくバスっぽい。エサを食う以外にも好奇心だったり威嚇バイトみたいな感じのもあるし、到底エサとは思えないものにも食ってくる。大物釣りは過酷やけど、努力の末に巨大魚を手にする喜びみたいなのが自分の性に合っているのかな」
デプスのプロトオフショアルアー4!
ダイビング系ペンシル
背中の出っ張りと、水平位置に付いたアイが特徴のペンシルベイト。「割とベーシックなダイビングペンシルを作ってるんやけど、背中に襟巻きのような出っ張りを設けて、ダイブするときにわずかだけどエアを噛んでくれる。ダイブしたときのスラロームアクションを出すのにも一役買っている」(奥村)
フラットサイドペンシル
オデコにアイが付いたやや細身のペンシルベイト。「これは完全に喰わせを意識したペンシル。ヒラマサとかにも効きそうなルアーですね。まだテスト段階で試行錯誤中です」(奥村)
ポッパー
これもデプスのバスルアー、パルスコッドをどデカくしたようなポッパー。「しっかり泡を出して、ボディにバブルを纏わせてシルエットを誤魔化す、あるいは捕食音のような音でスイッチを入れるような、従来のポッパーをいろいろ参考にさせてもらっている。音以外のどこでオリジナリティを出そうか、というところを試行錯誤しています」(奥村)
ダーター
オールドスクールなバスルアー然としたダーター。ただし、サイズはマグロルアー。「過去にスペルトリガーというダーターを作ったことがあるんやけど、それをベースにサイズアップさせたのがきっかけ。回収時に潜りすぎて疲れるので一旦ボツにした。が、カップ形状を改良したら『イケてるやん!』ってなって、現在も進行中」(奥村)
福井健三郎さんに聞いた、奥村和正とGTフィッシング
福井健三郎(ふくい・けんざぶろう)ビッグディッパー代表。幼い頃から海に親しみ、青年期にダイビングを開始。1992年にトカラ列島宝島に移住し、ダイビングガイドと素潜り漁師になる。そこでGTフィッシングと出会い、2004年にGTガイド業・ビッグディッパーを立ち上げ、現在に至る。日本を代表するGTガイド、アングラーである
ーー奥村さんの釣りは福井さんから見てどうでしょうか?
福井「奥村さんはいつも絶対釣りますもんね。あれはアクションで釣っている気がしますね。僕はGT釣りから始めてしまったので、その世界しか知らないんですが、池や湖のスレた魚を釣るのは僕には想像ができないくらい難しい気がするんですよね。なので、そういう釣りをされていた方が彼らなりの哲学を海に持ってきていると思うんですよ。ルアーのアクションも動かし方もちょっと違う。なんかね、すごくバイトが多い気がします。奥村さんなどバスプロの方がいらっしゃって、新しい風が入ってきた。僕もすごく勉強になっています」
奥村「僕がやっている釣りってGTを長くやっている人からしたら変ですか?」
福井「全然変じゃない。バイトさせますし、いつも奥村さんだけ釣りますしね。ああいう使い方もあるんだなあ…って、今回も見ながら思っていました。だから、新しいことをやる人に来てもらいたいんですよ。かつてはポッパーの時代があって、スキップベイトやダイビングペンシルが流行って、ポッパーはもう時代遅れだと言われたり、ぐちゃぐちゃになって…今は新しい風が吹いていますよね」
ーー最後にGTフィッシングの魅力を改めてお願いします。
福井「確かに、GTはなかなか釣れないんですよ。ただですね、あのコッペパンみたいな大きなルアーを大海原に投げて、それでGTを騙す。飛びつかせてフッキングして、暴力的な引きに耐えながら。フックが外れてしまう、折れてしまう、根ズレで切られてしまう…という心配をしながら、それを必死になって上げたときの達成感は本当にもう、何ものにも変え難い。人生が変わってしまうんじゃないかというくらいの達成感があると思います。だから、機会がありましたら皆さん、チャレンジしてみてください」