巻きモノの釣りに欠かせないアイテムのひとつといえばベイトリール。ひとえにベイトリールと言えどもギア比やハンドル長などスペックは様々。そこで今回は巻きモノ釣行におけるベイトリールのギア比とハンドル巻き手やカスタムについてのお話を選りすぐりの達人10名に大調査! この記事を読んで自分に合ったベイトリールを再発見するきっかけになると幸いだ。(photo by Ken Kubota)
●文:ルアーマガジン編集部
折金一樹さんの場合【6.3&7.1|右投げ左巻き】
折金一樹(おりかね・かずき)
房総リザーバーを中心に活動する凄腕トーナメンター。ハードルアーのみで戦うH-1グランプリでは2度の年間優勝を飾る実力者。O.S.Pのプロスタッフとしても艇・陸問わず活動しYouTubeでも人気を博している。
【ギア比】6.3と7.1を使い分けています。
基本的には6.3と7.1の2機種をメインに使っています。スピナーベイトやスイムジグを使う時には6.3を使い、クランクベイトやバズベイトなどの着水してからすぐに巻き始めたいルアーに関しては7.1を使用しています。ブレーデッドジグに関しては状況によって速くも遅くも巻きます。基本的に引き抵抗が強いものは遅く、引き抵抗がそこまでないものは速く巻く傾向にあると思います。
【ハンドル】カバー際での繊細なトレースは直ぐ巻ける左巻き!
右投げ、左巻き。
僕は基本的には何もカスタムチューンはしておらず純正を使用しています。アルファスエアーTWとジリオンSV TWをメインに使っているので、ハンドル長は80~90mmですね。リーリングは普通かやや速めといったところ。ハンドルはすべて左巻きに統一しています。右でキャストするので手返しの良さを重要視していますね。
川島勉さんの場合【ノーマルギア|右投げ左巻き】
川島勉(かわしま・つとむ)
房総リザーバーを中心に活動するスーパーロコアングラー。2022年に自身のブランドである「BETO BETO」を立ち上げ、より楽しくより釣れるルアーを世に送り出すべく邁進中。
【ギア比】巻きモノは大半がノーマルギアです!
様々なジャンルの巻きモノを使用するのですが、大半がノーマルギアですね。リップレスビッグベイトや速く巻きたい状況下ではハイギア(HG)を使う場合もありますが、エキストラハイギア(XG)とかは巻きものでは100%使わないですね。具体的な数字でいくと6.2とか6.3ぐらい。僕はギア比を揃えてリーリングを変化させて巻きたい人種ですね。
【ハンドル】ピンスポットだけを効率よく巻けるので左ハンドルです。
右投げ、左巻き。
最近はカバーの美味しいポイントだけを効率よく巻いていきたいので、左巻きに統一しています。ハンドルはシマノの純正。あとリーリングスピードは、自分がしんどいと思わない速さで巻いています。「マグナムクランクを速巻きすると釣れるよ」という話を仮に聞いたとしてもしんどいのでやりません(笑)。あくまでも自分が楽しくやれる範囲のスピードで(笑)。
川村光大郎さんの場合【バーサタイル7.1or5~7|右投げ左巻き】
川村光大郎(かわむら・こうたろう)
陸王最多戴冠者にして大人気メーカー・ボトムアップの主宰。オカッパリのみならずボートでの釣りもこなすマルチアングラー。カバーフィッシングに対する釣りに定評がある。
【ギア比】巻きモノは大半がノーマルギアです!
撃ちも巻きもこなすバーサタイル系のタックルには7.1に落ち着いています。ギア比6台だと手返しが悪いし、ギア比8台だと巻きモノが扱いにくい。そのどちらにも調整が効くのがギア比7くらいなんですよね! ただし、専用タックルとなると話は別。ラインの弛みを生かしながら軽く巻きたいクランクベイト専用タックルには6.3を組みますし、巻くことがないベイトフィネスタックルには手返し重視で8.1を組みます。あとはスプール径にもよりますよ。小口径ならギア比を上げて、巻取りスピードを合わせます。
【ハンドル】ピンスポットだけを効率よく巻けるので左ハンドルです。
右投げ、左巻き。
ボクは右投げの左巻き。キャスト後ロッドを持ち替えずに済む手返しの良さ、そして、利き手でのロッド操作と力強いアワセのためです。手首のスナップが利き、親指先での繊細なサミングにも有利なワンフィンガーでキャスト。そのまま誘ったり巻くことも多いですが、余裕があれば2~3フィンガーに持ち替えしっかりアワセられるようにしています。ハンドルは80mmがボクにはしっくりきますが、ヘビー系タックルには、やや力を込めやすくなる85mmに交換しています。
佐藤信治さんの場合【ローギア|右投げ右巻き】
佐藤信治(さとう・しんじ)
愛知県でプロショップを経営するかたわら琵琶湖で長年ガイドを務め、多くの人にメモリアルフィッシュをもたらしてきた「サトシン」の愛称で知られるレジェンドアングラー。
【ギア比】日本で1番低いギアにこだわっています。
1997年にイクシオーネの4.9のラインナップを出してから今に至るまで、ずっとローギアにこだわり続けていますね。現代でハンドル1回転あたり55cmのリールなんてほとんどないですよね(笑)。なぜローギアにこだわるのかと言うと、リズムが作りやすいというのが1番なんですよ。人間、速く巻くことは簡単なんやけど、遅く安定させて巻くのは精神的に安定しないんで。一定に巻くということを体が勝手にリズムを作れるのがローギアの強みやね。
【ハンドル】ハンドルは92mmをベースに使っていますね。
右投げ、右巻き。
イナーシャという、ウチが作っていたハンドルがあって、それを境にカスタムのパワーハンドルって広まっていったんやないかな。現代のリールって平ノブでハンドル長が80台とかが1番多いじゃないですか。リズムを作って安定して回すには、つまむのではなくて握れるハンドル。手と一体化できる形状のモノがベストかなと思いますね。
関和学さんの場合【5.8&6.2&表層サブサーフェス8.0|右投げ左巻き】
関和学(せきわ・まなぶ)
2012年、それまで以上にバスフィッシングと真摯に向き合うため、都内から関東のメッカ水郷エリアへ移住したベテランアングラー。1971年8月1日東京都生まれ。
【ギア比】季節や狙う場所によって変化させていきます。
表層からサブサーフェスを巻くときは8.0を使用しています。ルアーが目視で確認できるので、ハイギアを使用してもトレースしやすいですね。スピナベ、クランク、ブレーデッドジグなどを使用するときは、冬場は5.8、冬以外だと6.2を使っていますね。魚が食う場所が長年やってきて限られるということが分かったので、要点だけを絞り込んで流していくためにはこのぐらいのギア比がオススメですね。
【ハンドル】カーボンハンドルの90mmで統一しています。
右投げ、左巻き。
ベイトフィネス以外はどの釣りもカーボンハンドルの90mmで統一しています。長年やってきて行きついた長さですね。リーリングスピードに関しては、普通の人よりも遅めだと思います。僕はルアーが泳ぐギリギリの速度で巻くのが1番釣れると思っているので。バスベイトであればペラがギリギリ水面で動いたり、スピナーベイトであればブレードがギリギリ回転するぐらいのスピードで巻くと経験上バイトが1番多いですね。