【買えない人は閲覧注意】ルアマガ編集長はなぜ22イグジストを4台も買ったのか?バス釣りスピニングリール論争に終止符が打たれる!?

2022年にフルモデルチェンジを果たしたDAIWAのフラッグシップスピニング「EXIST(イグジスト)」。その性能に魅了され、4代も自腹購入したルアーマガジン編集長・フルカワがリアルな使用感を語ってくれた。何故イグジストなのか?その理由がいま明らかになる。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

フルカワ
ルアーマガジン編集長。1988年生まれのグランダー&釣りどれん世代。ブームのさなか、茨城県でバス釣りを覚えた生粋のバスフィッシング至上主義者。基本的にはストロングな釣りを得意とするが、話題の釣りも柔軟に取り入れる。Basser編集部を初めとした釣りメディア関係者を集めて行われた大会「メディアウォーズ」を2回制覇している。現在使用しているスピニングリールはイグジストのみ!

旧モデル使用から一気に複数台持ちへ!そのキッカケはルビアスだった

――今でこそ使っているスピニングはすべてイグジストだそうですが、その前は何を使われていたのですか?

フルカワ「ずっと変えてなかったんですよ。12ヴァンキッシュ、12イグジスト、07ステラがメインで使っていた3機種です。どれも10年選手でしたね」

――10年間の間で、新しいものを欲しくはならなかったのでしょうか?

フルカワ「正直な話、当時はそのリールで完全に満足していました。実際に使っていてもなにも問題を感じませんでしたからね。時代の差はあれど各社のハイエンドリール。長く使っていても不満はなかったんです。ハイシーズンはベイトタックルオンリーなんてことも多かったのでスタイル的にスピニングの出番がそもそも少なかったというのもあるでしょうけどね」

――それがいきなりイグジストに飛んだと。

フルカワ「まず前段として、時代の変化とともに自分の中でスピニングリールの重要度があがってきたんです。細PEを使ったり、マイクロベイト系の釣りが出てきたり…。新しい釣りを覚えていこうとするなかで、スピニングリールにも改めて注目するようになったんです。でも最初に欲しいと思ったのは、ルビアスでした」

――2020年にフルモデルチェンジを果たした「ルビアス」ですか?

フルカワ「まさしくそのとおりです。インプレッション取材で使わせてもらったのが最初だったのですが、それがもう本当に驚きました。ミドルクラスのリールなのに、自分が持っている10年前のハイエンドリールが涙目になる性能…。だって重量だけでも20gも軽くなってますからね。正直、ハイエンド機を一台買う値段でルビアスを3台買ってもいいかも…とさえ思っていました」

――でもすぐには変えなかったと。

フルカワ「迷っているうちにルビアスエアリティが発表されたり、周期的にステラやイグジストのモデルチェンジの頃合いが近づいてきまして(笑)。でもやはりハイエンドリールを使い続けていたということもあって、最高の性能を長く使えて高く売れるというハイエンド機ならではのメリットを経験済みなわけで、ミドルクラスのリールを購入する踏ん切りが付きませんでした」

――そして2022年にステラとイグジストがフルモデルチェンジするわけですね。

フルカワ「驚きましたよね。それと同時にどっちがどうなのか、純粋にきになるわけですよ。それでルアーマガジンで企画したのが、『ステラVSイグジスト』だったんです」

川村光大郎さんでも使い潰せない無限のタフネス

――ステラを黒田健史さんが、イグジストを川村光大郎さんがそれぞれ持ち寄って、その魅力を語り合う企画ですね。多くのアングラーが気になっていたところを突いたスゴイ企画でしたね(笑)

フルカワ「実は当時すでに、ビジュアル面でイグジストに気持ちは傾いていたんです。あのフルメタル感、エアドライブローターの形状…。見た目が好きって所有感に直結する大事な要素。性能以前に重要なことだと思います。そこに川村さんの話を聞いて、気持ちが決まりました」

――どんな話だったのですか?

フルカワ「取材時に川村さんが持ってきていた、1世代前にあたる18イグジストを触らしてもらったんです。ハンドルを回してみると、かなりの使用感がある見た目なのに、新品なのかと思うくらいの巻き心地だったんです」

――川村さんといえば陸王を筆頭に、過酷な岸釣りロケに追われているイメージがあります。

フルカワ「ですよね。そんな川村さんが使い込んでいて、外見は傷だらけなのにいざ使ってみるとダメージみたいなものを感じないんですよ。しかもよくよく聞いてみると、オーバーホールに出したりといったこともなかったそうです。旧モデルにもかかわらず、ノーメンテで川村さんの4年分の釣りに耐えられたのであれば、週休二日の一般人である自分レベルの釣行頻度なら新しいイグジストを一生使い続けられるかも、と、そう思ったんです」

――頑丈、という意味ではステラも相当なものだと思うのですが…?

フルカワ「そうですね。でも基本的にバス釣りしかやらない自分にとっては、あそこまでの性能はオーバースペックかなと思ったんです。それなら少しでも軽いほうがバス釣りには適している。だから当時は後に出るであろう、ヴァンキッシュにの発表まで待つか悩みましたが、いち早く使い始めることでより、ハイエンド機のメリットを活かせるので待たずに購入しました」

清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入!キャスト精度が向上!エアドライブデザインの恩恵も凄まじかった!!

――それではイグジストは発売してすぐに買ったんですか?

フルカワ「さすがに値段が値段なので、そうはいかなかったです(笑)。結局買ったのは、2022年の12月頃でした。締め切り前のハイテンションでお店にいって、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでLT2500S-Hを買いました。レジ前のあの焦燥感はヤバいですね。高いリールを買う醍醐味とも言えそうですが(笑)」

――ハイエンドリールは「買う瞬間」までもエンターテイメントにしてくれるわけですね(笑)。実際に使うのはそのイグジストが初めてだったんですよね。

フルカワ「ですね。それまでは触らせてもらっただけとか、そんな感じです」

――いかがでした?

フルカワ「そりゃもうビックラポンですよ! ロッドにセットした瞬間にヤバいと思いました。なにせ圧倒的に軽い! それまで使っていた12イグジストが180gくらいだったのに対して、22イグジストは20gも軽くなった160g。軽さからくる感度の良さや操作性の向上はいまさら語るまでもありませんよね。それよりも驚いたのは、キャスト精度があがったんです」

――リールでキャスト精度、ですか?

フルカワ「そうなんです。オーバーヘッドキャストやサイドキャストのように、リールを下にして振り下ろす感じでタックルの重さが気にならない投げ方ならいいんです。でもピッチングやバックハンドキャストのように、タックルの重さを感じつつ振り上げるような軌道を描くキャストでは、イグジストの圧倒的な軽さが大きな恩恵になります。つまりリールの重さに振り回されにくくなるわけです」

――なるほど。挙動を抑制する必要がなくなる分、精度をあげることができると。

フルカワ「それからものすごい恩恵があるなと感じたのが、エアドライブデザインのローターでした。巻き出しは軽いし、止めるさいにもピタッと止まるわけです。低慣性化されているからこその使用感ですね。じつはそれまでスピニングリールはノーマルギアが好きだったのですが、巻き重り感を感じなかったことでハイギアモデルを選ぶことができました」

――ギア比による巻き心地の差を感じにくくなるくらい、エアドライブデザインが巻き感に影響を与えているということですね。

フルカワ「よくハンドルを勢いよく回して手を放すことでリールの回転をみる人がいるじゃないですか。イグジストの凄さはあれでは測れません。低慣性なので、すぐに回転が止まってしまいますからね。逆に言うと、あれでぐるぐる回るリールって、たしかに巻いている最中はスムーズかもしれませんが、巻きだしや巻き終わりのメリハリは効きにくいはずです」

――その利点って、釣りにはどのように影響するのでしょうか?

フルカワ「極端にいうと、より思った分だけハンドル操作でラインを操作できるわけです。ですから、ラインスラッグを適切に取ることができて、ラインを突っ張ってしまいにくいですし、軽いリグや小さなワームを動かしすぎることもないです」

フルカワ「それから『軽い力で回る』=『止まりやすい』。超低慣性のイグジストは巻き下ろす瞬間にもブレのない安定したリーリングが可能なんです」

――たしかに、良くまわすぎるリールだとハンドルを巻き下ろすときって巻き速度が早くなりがちな気がしますね

フルカワ「これはエリアトラウトのスプーニングのような繊細な巻きにはかなりメリットになるでしょうね。もちろん、バスでもシャッドなど、ただ巻きメインの釣りは同じことがいえます」

あまりの良さに3台目突入!? そしてSFの登場

フルカワ「イグジストは、明確に釣果が向上する素晴らしいリールです。あまりにも良かったので、もう1台買おうとしたら、間違って2台買ってしまって(笑)。でも返品する気にならなかった」

――それくらい良かったと。その時の番手はなんだったんですか?

フルカワ「LT2500S-XHですね。ハイギアであれだけ違和感がなかったのだから、エクストラハイギアだとどうなるのか気になりまして」

――いかがでした?

フルカワ「正直、目をつぶって触ると差がわからないくらい巻き感が軽いです。エクストラハイギアであっても、あんなに軽いなんて…。こうなってくると、ローギアモデルも気になってきますよね(笑)」

――購入したんですか?

フルカワ「気にはなってるんですけどね。イグジストSFが出ちゃったじゃないですか」

――2023年の新製品、それも隠し玉的な登場でしたね。

フルカワ「ちょっとまってくださいよDAIWAさんって思いましたよ(笑)。でも今年のルアーマガジンのインプレ号(2023年7月号)で使ってしまったらもう後戻りできなくなりました…」

――そんなに違いを実感したんですか?

フルカワ「10年ぶりに買い替えた22イグジストが、それまで使っていたものに対して20gも軽くなって感動したんですよ。SFはその10年分の軽さをわずか1年で超えて140gです。言ってしまえば、12,15,18の3世代かけて軽くなったものを、わずか1年で塗り替えた。買わない理由がありません(笑)」

――でも持ってるイグジストは全部で3台なんですよね。

フルカワ「さすがに間違って買ってしまったエクストラハイギアは1台手放しました。ハイエンドリールですから、リセールバリューが良かったのでSFは難なく買えました。もしLTモデルとSFで迷っていたら試しにどちらかを買ってみて、合わなかったらリセールしてもう片方を買い直すのもありだと思いますよ」

イグジストLTとイグジストSFどっちがいいのか?

――ということは、持っているイグジストは、LT2台とSFが1台ということですね。正直、どっちがいいとかって、ありますか?

フルカワ「20gの差がありますからね。軽さで得られるメリットは基本的にSFのほうが上回っているといっていいと思います。感度や操作感の向上、キャストやシェイクのやりやすさなどですね。振り抜けの良さによる飛距離アップはまだ実感できていませんが…」

――LTが優れている部分もやはりある?

フルカワ「ことバス釣りのみで考えるとSFだけでも事足りるといってしまえるかもしれません。でも使い比べてみるとやっぱり見えてくるものがありますね。例えばノイズのない巻き感、みたいなものはLTのが上回っていますね。これはSFではオミットされてしまっているメインシャフト部のボールベアリングによるもののようです」

――LTでは『エアドライブシャフト』、SFはその前モデル相当の『リニアシャフト』ということですね。

フルカワ「それからこれは好みの問題もあるのですが、ドラグの効きの幅が気になります。SFはマックス3kg、LTはマックス5kgです。もちろん最大値が違うことで、LTであればパワーフィネスもできたり、みたいなメリットもあるのですが、SFはドラグMAXが低いのでノブをLTと同じだけ回したときの変化が小さいんですよね。つまりファイトしながらドラグを締めたり緩めたりがやりにくいんです。事前にドラグをしっかり決めてATDを活かしたい人や、指ドラグを駆使する人はそのままのSFでもいいと思います。ファイト中にクイックにドラグの効きを変えたいひとはLTがいいかもしれません。自分の場合はすべてSLPWのクイックドラグノブをいれてますけどね」

――なるほど。

フルカワ「それから剛性感ですね。これはもちろんしょうがないところではあるのですが、SFはLTのときに感じた無限のタフネス、みたいなものは感じられませんね。といっても特別華奢な印象があるわけではないです。というか、LTモデルが異様に強すぎるんですよ(笑)。まぁLTのほうがドラグ力が強かったり高負荷もやりやすいと考えると、懐は広いなって感じです」

――具体的にはどんな釣りに使い分けてるかんじですか?

フルカワ「そうですね。SFはULのスピニングと組み合わせて使います。とにかく軽いリールですから、その利点を活かすためにも軽いロッドで繊細な釣りをするのがベスト。PE0.3号+フロロリーダー1~1.2号を組み合わせて、フィッシュローラーマイクロやベビーライクのホバストといったマイクロベイト系からライトリグ全般までで使っています」

――LTはいかがでしょうか?

フルカワ「ロッドでいうとフィネス用のULからパワーフィネス用のHクラスまで用途に応じて使い分けます。釣り的にはシンカーを使うライトリグ全般からサカマタシャッド5インチのパワーミドスト、シャッドやメタル系の釣りなんかにも使っています」

――フィネス特化ならSF、スピニングリールの釣り全般はLTという感じですね。

フルカワ「LTは釣りの幅が広いので、今は替えスプールがほしいです。SLPWから出ているものはイグジストのフルメタル感が薄まってしまうので、ぜひ通常スプールと同じものを一般販売して欲しいです(笑)」

釣りのスタイルを変えたイグジスト

――約1年、イグジストを使ってみていかがですか?

フルカワ「とにかく使っていたくなる道具なんですよ。変な話、家に帰ったら触りたくなる(笑)。当然釣り場も同様です。スピニングタックルを持っていかない日がなくなりましたし、気がつくとフィネスが得意になっていました。ラインが過剰に出てしまったりといったトラブルも皆無。ハイエンドだからこその信頼感もあるしビジュアルも見飽きない。むしろ使うことへの高揚感すらありますからね。10年後も使っていたい。そう思えるリールですね」


※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。