年がら年中フィールドに浮いていれば、相応に釣りの腕前は上達るするかもしれない。しかし、土日しか釣りに行けないアングラーの腕前はどうなのだろうか?そんな壁を見事ブレイクスルーし、界隈ではその名を知らないアングラーがいないほどの存在感を放つ峯村祐貴さんにその上達法をお聞きした。
●文:ルアマガプラス編集部
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スタイルを固定することでブレイクスルーしたターニングポイントの突破方法
小学校時代にバス釣りをやっていた経験のある峯村さんだが、今のように本格的に始めたのは27歳の頃。本業がインテリアデザイナーの彼は、当時仕事がかなり忙しくて、週に何度も徹夜するような状態だったのだという。
峯村「あまりにも忙しくて、夏だか冬だか、朝だか夜だかわからない生活でしたね。そういう季節の流れを感じたくて、釣りをし始めたのかもしれません。会社が赤坂だったので、弁慶堀が近いんです。だから、例えば土曜の朝だけとか、弁慶堀でバス釣りをするようになったんです」
弁慶堀とは、東京のど真ん中、赤坂見附の交差点に隣接するお堀で、なんと、レンタルボートでバスやライギョを狙うことができるのだ。
峯村「弁慶堀ではたまに大会にも出るようになりました。でも、普段はそこそこ釣れるのに、いざ大会に出たら全然勝てなかったですね。やがて、違う設計事務所に転職して、房総の亀山ダムとかにも行ける環境になったんです。エレキとかを買って、亀山の大会にチョロチョロ出始めたのが30歳くらいのときですね。でも、それなりに自信があったのに、まったく勝てなくて…」
ところが、その翌年から、突然試合に勝てるようになったという。
峯村「何をしたかというと、スタイルを少し変えたんです。もともと僕はカバーも好きだし、サイトフィッシングも好きだし、巻きモノもハマるときはハメたいし…というオールラウンドな釣り方だったんですね。それをやめて、サイトだけに絞ったんですよ。それは試合の時もプライベートでもそうだし、冬でも秋でも、たとえ濁っていてもサイトのみ。1日、ずっと釣りしていて、1~2尾しか見えなくても、サイトしかやらなかった。そしたら、成績が出るようになったんですね。4年くらいずっとサイトばかりやっていて、年間10勝とかしたし、1年通して5割くらいはお立ち台に立つ年もありました」
サイトフィッシングだけに絞って釣りをする…これが、彼のターニングポイントになった。
峯村「サイトフィッシングをほぼ10割にしたので、サイトによるバス発見数も圧倒的に増えました。一番結果が出やすいのは、こうやって釣りを絞り込むのがいいと思います。フルタイムのバスプロは別にして、休日に釣りを楽しむ人は、頑張っても週1~2回しか釣りに行けないと思うんですよ。それを、巻いて、カバー撃って、サイトしてとやると、せいぜい一つの釣りに半日しか費やせない。1カ月トータルで2~3日くらいです。それを1つの釣りに絞れば、1カ月に8日間その釣りを練習できる。藤田京弥くんや青木大介さんなんて、オールラウンダーでみんな憧れると思うけど、彼らはプロだから練習量が違う。一般人が同じようなことをしても、伸び悩むことが多いです」
トーナメントで圧倒的な成績を出し、サイコロラバーの使い手として知られるようになった峯村さんは、やがてメディアにも登場するようになった。そして、自分の軸となっていた、サイコロラバーの使い方も公開した。
峯村「今までサイトフィッシングで釣ってきた魚っていうのは、ほんの一握りの人しか釣れないような魚を釣っていた。それを軸にして、誰にでも釣れるような魚をプラスしていたんです。でも、釣り方を公開してから、自分にしか釣れない魚が減ってきたという感覚はありますね」
確かにサイコロラバーを使う人は増えた。それは、自分の釣果にまで影響を及ぼした。でも、峯村さんは、公開したことを後悔してはいない。
峯村「隠せばあと5年くらいは釣れたかもしれないんですけど、そんなに長く隠しても仕方ないんですよ。試合に出ても、毎回同じ釣り方で、やっぱり釣れる魚を釣って、それをウエイインするという、『作業』になっちゃっていたので。個人的につまらなくなってきていたんですね」
そして、峯村さんは新たなターニングポイントへと歩き出した。そのきっかけは、ルアマガの人気企画『艇王』に呼ばれ、藤田京弥さんと対決したことだった。
峯村「あの時、艇王で藤田くんに負けたから、僕もライブスコープシューティングしかやらないという方向に切り替え中です。藤田くんの勝ちに絡んだ魚は、ほとんどライブシューティングでしたね」
ライブシューティングは着々とスキルアップして、試合でも結果を出している。ただ
し、まだ、軸となる強力な釣り方は模索中。もしそれが確立されたら、大きなターニングポイントになるだろう。
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